ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「法廷遊戯」

2020年11月30日 | 書籍関連

*********************************************************
法曹の道を目指してロー・スクールに通う、久我清義(くが きよよし)と織本美鈴(おりもと みれい)。2人の“過去”を告発する差出人不明の手紙を切っ掛けに、 彼等の周辺で不可解な事件が続く。清義が相談を持ち掛けたのは、異端の天才ロー・スクール生・結城馨(ゆうき かおる)。真相を追う3人だったが、其れ其れの道は思わぬ方向に分岐して・・・。
*********************************************************

第62回(2020年)メフィスト賞を受賞した小説法廷遊戯」は、冤罪をテーマにしている。、正確に言えば“冤罪”と“無罪”をテーマにした作品だ。

*********************************************************
有罪か無罪かは裁判官が決めますが・・・、多分、冤罪かどうかは神様しか知りません。」。神という単語が急に飛び出したので驚いた。「面白い答えだ。」。奈倉(なくら)先生は顎髭撫でた。「それぞれの定義は、どうなる?」。無罪の定義はセイギと同じです。検察官立証に失敗したという一つの結果でしかない。。「冤罪は?」。罪を犯していないのに、有罪判決を受けたこと。再審請求を蹴られて死刑執行されても、歴史的な犯罪者として文献に記されても、獄中で精神を病んで命を絶っても、その人が罪を犯していないのなら、全て冤罪です。
*********************************************************

著者の五十嵐律人氏は、1990年生まれ。司法試験に合格し、弁護士を目指している現役司法修習生だとか。“法律の専門家”が書いた小説なので、法律という物に対して“具体的”に、色々考えさせられる内容で在る。

殺人犯として捕まった美鈴が見せる不可解な言動の理由が、意外な事実へと結び付いて行く。精緻描写やストーリー仕立て等、とても新人作家の作品とは思えないレヴェルの高さだ。唯一残念に感じたのは“1人の少年の存在理由”で、「後々、彼が大きな意味合いを持つのかな?」と予想していただけに、全く意味を持たなかったのは拍子抜けした。

「今年のミステリー関連の年間ブック・ランキングでは、上位に選ばれるだろうな。1位に選ばれる可能性も、充分考えられる。」という思い。総合評価は、星4つとする。


コメント    この記事についてブログを書く
« トラブル回避 | トップ | 2020年も残り1ヶ月 »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。