ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「密室黄金時代の殺人 雪の館と六つのトリック」

2022年08月10日 | 書籍関連

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密室不解証明は、現場の不在証明と同等の価値が在る。」という判例
により、「現場が密室で在る限りは、無罪で在る事が担保された日本。」では、密室殺人事件が激増していた。

そんな中、著名ミステリー作家遺したホテル「雪白館」で、密室殺人が起きた。館に通じる唯一の橋が落とされ、孤立した状況で凶行が繰り返される。現場は何れも密室、死体の傍らには奇妙なトランプが残されていて・・・。
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第20回(2021年)「『このミステリーがすごい!』大賞」 の文庫グランプリ(第18回は優秀賞という名称。)に選ばれた小説密室黄金時代の殺人 雪の館と六つのトリック」(著者鴨崎暖炉氏)は、「密室殺人と“認定”されれば、どんなに疑わしい容疑者が存在し様とも、其の無実が担保されている日本。」というのが舞台。3年前、日本で“最初の密室殺人事件”が起こり、裁判によって容疑者の無罪が確定したからだ。先ずは此の様な荒唐無稽な設定を考え出した事に感心してしまう。

クローズド・サークル(閉ざされた空間)たるホテル「雪城館」で、次々と殺人が行われる。其のホテルは元々或る著名なミステリー作家の私邸で在り、其処では10年程前、其の作家が考え出したと思われるトリックによって「密室殺人“擬き”の事件(密室内で胸にナイフが突き立てられた、人に見立てフランス人形が置かれていた。)」が起こり、未解決のだったのだが、今回発生した殺人は何れも、様々な“趣向”が凝らされた密室。1回読んだだけではトリックを理解するのは難しい物許りだが、読み直して理解出来ると「良くもまあ、こんなトリックを考えた物だ。」と、ミステリー・ファンとしては喜びを感じる。

「トリックが現実的では無い。」という面は在る譬え「最低1週間は、外部から人間が来られない可能性大。」という“縛り”が在るにせよ、「宿泊者達が勝手に死体を動かしたり、証拠品を素手で触り捲ったりと、現場保全を完全無視する。」なんていうのも含めて、現実的では無い世界だ。(「此の作品は、娯楽徹しているのだ。」と言われてしまえば、何も言い返せないが。

以前にも書いたけれど、自分は人の名前を覚えるのが苦手。だから、小説の登場人物が多いと、「どういう人だっけ?」と、前に遡って確認する事が多い。そんな自分でも、此の小説は読み進め易かった。「アイドル“マネー”ジャーの真似井敏郎(“まねい” としろう)」等、其の人物のプロフィールが思い浮かぶような“語呂合わせ”の名前が多くに付けられているので。とても親切!

ノックスの十戒」や「密室の定義」が詳しく記され、其れ等が謎を解く上で大きなポイントになる等、ミステリー・ファンにとっては堪らない内容。非現実的な世界で在っても、“面白い作品”と言える。

総合評価は、星3.5個とする。


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