一昨日、報道番組で面白い技術が紹介されていた。「良くもまあ、こんな技術を考え付いたなあ。」と感心してしまったので、今回紹介してみたいと思う。
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「罅割れが・・・自己修復するコンクリート」(5月17日、FNN PRIME)
橋、トンネル、高速道路等のインフラは、建て替えや修復が必要になりますが、予算は限られています。命に関わる此の課題の解決に繋がる新技術です。
大きな問題となっているトンネルや橋等、社会インフラの老朽化。此れ等の問題を根本から変えるかもしれない技術が開発された。其れが、自分で傷を治すコンクリート。
會澤社長は「コンクリートを人体、人間の皮膚の様に人体化する技術。」と話した。北海道に在る「會澤高圧コンクリート」。此処に、画期的な技術が在った。
會澤高圧コンクリート・會澤祥弘社長は「人間の人体と同じ様に、傷を負ったら、自分で傷を治してしまう。絶えず其れを遣り続ける技術が、我々が世に問うている『自己治癒コンクリート』という概念なんですよね。」と話した。
自分で傷を治すという、「自己治癒コンクリート」。実験用のコンクリートの塊。縦に0.3mm程の罅が入っているが、此れが2ヶ月程経つと、傷が埋まっている。傷が在った所に、何か白い物が在るが、此れが自己治癒した証。
通常のコンクリートは、30年もすると劣化が始まり、罅割れ等を埋めなければ、剥落や倒壊に繋がる事が在る。然し、此のコンクリートは、何もしなくても、自分で補修をしている。
其の秘密を解く鍵が、茶色い粒。會澤高圧コンクリート・河田義郎研究員は「此方の茶色のカプセルの中に、バクテリアと餌となる乳酸カルシウムが入っています。」と話した。
茶色い粒の中に在るのは、バクテリア。では、バクテリアがどうやって、コンクリートを補修するのか。仕組みはこう。
先ず、バクテリアを餌となる乳酸カルシウムに包み込み、休眠状態にしてコンクリートに混ぜ込んでおく。コンクリートが劣化し、傷が入ると、其の隙間から雨や空気が入って来る。すると、バクテリアが目覚め、活動を開始する。バクテリアは餌となる乳酸カルシウムを食べ、代わりに炭酸カルシウムを排出する。此の炭酸カルシウムこそが鍵。実は、炭酸カルシウムは、コンクリートの主成分で在る為、バクテリアの排出物が傷を埋める元になる。
河田研究員は「罅割れが埋まって、中が乾燥状態になると、又、バクテリアは自分を殻に包んで守り出します。又、休眠に入る。其処から又、200年間程生き続けて、又、再び罅が入って、水が入って来ると活性化し出して、修復するという事を繰り返して行く。」と話した。
オランダで開発された、此の技術。日本では、會澤コンクリートが独占販売権を取得した。會澤社長は「200年間は壊れないコンクリートで行ける。そうすると、今の技術では30年も経つと、略々劣化が始まりますから、そういった意味では、事実上、実質的にはメンテナンスフリーの状態に持って来れるという技術ですね。」と話した。
日本では現在、此の技術を応用した補修剤が販売されていて、生コンクリートも1~2年の間に製品化される予定。
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我が国の高度経済成長期にコンクリートで作られた構造物は劣化が進み、剥落や倒壊の危険性が指摘されている。早急に建て替えや修復を行わなければいけないのだけれど、「莫大な費用が必要。」という“壁”が立ちはだかっているのが現実。
「人が行うには困難を伴う補修部分にドローンを使用し、効率化&コストダウンを図る。」とか「罅割れしないコンクリートの開発。」といった対策は知っていたが、今回の“自己修復するコンクリート”というのは知らなかった。
簡単に言ってしまうと「休眠状態のバクテリアを餌で包み、コンクリートに混ぜ込む。→劣化したコンクリートの罅から、雨や空気が入る。→バクテリアが目覚めて餌を食べ、“ウンコ”をする。→ウンコで罅を塞ぎ、バクテリアは再び休眠状態に。」というサイクルの繰り返し。発想が凄い!!
「“人類の歴史”は“戦争の歴史”で在る。」なんて言いますね。愚行を繰り返す人類ならば、窮地に追い込まれた中で活路を見出せるのも人類。「真剣に取り組めば、必ず解決策は在る筈。」というのは、其の通りだと思います。
目先に在“個人の利益”を死守せんが為、“大局的な利益”から目を逸らす。アメリカで銃規制が出来ないのも、我が国で原発にしがみ付いているのも、結局はそういう面が強いからなのでしょう。
窮すれば通ず、という事ですね。
真剣に取り組めば必ず解決策はあるはず。
先にも書きましたが、日本は「原発」という安全パイ(?)を手放さないから、再生可能エネルギー開発に真剣に取り組まないし、だから革新的なアイデアがなかなか出てこない、という事だと思います。