Prophet:
Russell Arcara - vocals
Ken Dubman - guitars
Scott Metaxas - bass, backing vocals, acoustic guitar
Michael Sterlacci - drums, backing vocals
Joe Zujkowski - keyboards
デビュー作で眩いばかりの美しさを放っていた "Everything You Are"。友人がくれたお好みテープに入っていたこのバラードが Prophet との出会いでした。1st アルバムは僕にとって "宝物" といえるほど思い入れのある超私的名盤。HR/HM ファンの間では Danger Danger の Ted Poley や Message(かつて Bon Jovi の Richie Sambora らが在籍)のメンバーがいたバンドとして知られているようですね。本作 "Cycle Of The Moon" はそんな Prophet が 1988年にリリースした通算二作目のアルバムです。
前作ではリード・ヴォーカルを Dean Fasano, Scott Metaxas, Ted Poley の三人で分け合っていましたが、その後 Ted は Danger Danger 結成のため脱退、Scott も今回はバッキング・ヴォーカルに徹しているため、新加入の Russell Arcara がすべてのリード・ヴォーカルを担当しています。透明感のあるしなやかな唄声は違和感なくバンドに溶け込んでおり、ヴォーカルの交替劇があったことをあまり感じさせません。むしろ音楽性に若干の軌道修正がなされたことのほうが気を引くのではないでしょうか。前作はアメリカン・ハード・ポップをプログレ風に料理した元気印のサウンド。エレドラがいかにも80年代前半という感じで、ラフなミックスながらもコマーシャル性の高い音作りが印象的でした。一方本作はプロダクションからして高水準。洗練されたクリアな音像はどこかヒンヤリとした空気を漂わせ、曲によっては北欧のバンドを聴いているかのような錯覚すら覚えます("Can't Hide Love" の出だしなんか Alien の名曲 "Go Easy" にそっくり!)。その主たる要因は大きく変わったドラム・サウンドでしょう。タイトになった音がアルバム全体に締まりを与えました。
そんなわけで、僕自身この二枚のアルバムは同系列に捉えていないんです。似て非なる別バンドを聴いている感覚とでも言ったらいいでしょうか(笑)。受け継がれている部分も確かにあるのですが、どうしてもイメージが重ならないんですよね(苦笑)。
デビュー作ほどではないにしろ、2nd アルバムもお気に入りの一枚です。サウンドは John Elefante 時代の Kansas をベースに、楽曲をもうちょっとポップにした感じ。とりわけクリソツなのが "Tomorrow Never Comes" というバラードで、サビの部分は "Chasing Shadows" のもろパクリです。さすがにこれは確信犯でしょう(笑)。両者をお持ちの方は是非聞き比べてみてください。アルバム中、最も人気の高い曲が "Sound Of A Breaking Heart"。本作のベストトラックと言ってもいいのではないでしょうか。キャッチーなメロディと透明感のあるキーボードが心地良いです。"Hyperspace" は疾走感も爽やかなプログレ風味のインストで、Dream Theater を綿飴にしたような軽さがグッドですね(笑)。
最後に一つだけ不満な点を・・・。リマスター盤発売の際、ボーナストラックが一曲追加されました。本編のラストではイントロと同じ SE が流れ、余韻を持たせつつアルバムは幕を降ろすのですが、突如始まるこの曲がすべてを台無しにしています(苦笑)。ラストではなく間に挿めばという意見もあるかもしれません。ところがミックスがオリジナルの楽曲と掛け離れているため(音量もやけに大きい)、そんなことをしたら強烈に浮いてしまうこと請け合いです(笑)。できればアルバムに加えても違和感のないクォリティで仕上げてほしかったなぁ。音質からしてデモ音源の可能性も高いですが、エンジニアには「せめて音量くらいは揃えろよ!」の苦言を呈します(笑)。
この辺のバンドが殆ど未聴な私からすると、あまりの守備範囲の広さに脱帽です。とはいえ、何となくバンド名やジャケットを覚えている私はメモリーの無駄遣いをしているようです。聞いていないのに「預言者」という単語をこのバンドで覚えた私って一体...。
ちょっと捜してみよう、と思いますです。
僕の場合「広く浅く、ただし所々深く」って感じです(笑)。深そうな部分のネタばかり話しているだけですよ~(笑)。
音楽絡みで英単語を覚えたりって結構ありますよね。ただこのバンドの場合、"Prophet" の読みが印象深いです。といいますのも、最初に買った 1st のアナログが「プロフィット」だったので、のちに「プロフェット」と表記が訂正されても気持ち悪かったんです。「リック・エミット」が「エメット」になったのも同じですね(笑)。
キラキラ系ハード・ポップの 1st 共々、ちょっぴりクールな 2nd もお薦めです! 見つけたら是非保護してあげてください!