Whitesnake / Slip Of The Tongue (1989)

2007-02-28 21:43:41 | Music > HM/HR
 
Steve Vai が Whitesnake に加入すると聞いて、戸惑いを隠せなかった WS ファンは多かったのではないでしょうか。大方の予想通り、見事に彼のカラーに染まった "Slip Of The Tongue" は "Serpens Albus" のメタリックなサウンドから一転、超ド派手なエンターテイメント性が前面に押し出され、いまひとつ焦点の定まらないアルバムになってしまった気がします。告白しますが、実は僕もそんなガッカリ組の一人でした。敬愛する Adrian の不参加に加え、あらぬ方向に流れてしまったこのアルバムを当時の僕はどう捉えたらよいかわからなかったんですね。すべては David の人選から始まったことであり Steve に非がないことは明らかでしたが、つい主犯的な扱いをしてしまうファン心理のなんと残酷なことか・・・。ある意味、Steve 本人が一番の被害者だったのかもしれませんね(笑)。

ところで、今でもそう思っているのかと問われれば、答えはノーです。ここが人間の感性の面白いところで、しばらくするとすっかり慣れちゃいました(笑)。もともと職人揃いのバンドでしたから、方向性の是非はともかく、アルバムの完成度は折り紙付き。クセの強さに対するネガティブな感情など、時間がきれいさっぱり洗い流してくれましたよ(笑)。

余談ですが、"Sweet Lady Luck" というアウトテイクをご存知でしょうか。もとはシングル "The Deeper The Love" に収録されていた曲で、その後も編集盤などに何度か顔を出しています(僕の手元にあるのはリリース当時に入手したシングル盤)。疾走感のあるとてもカッコイイ曲で、アルバムから選曲漏れしたのが不思議なくらいです。まあそんな話はいいんですが、実は僕、この曲のイントロがギターであることにしばらく気が付かなかったんですよ。よく聴けば両手タッピングでビロピロとやっていそうな Steve お得意のフレーズですが、なぜかずっとキーボードだと思っていました。「だからどうした?」と言われればそれまでなのですが、僕にとってはちょっとした発見だったんです(笑)。ただ残念なことに当時の僕の周りにはこんなマニアックなネタに付き合ってくれる人は皆無で、今の今まで誰かに話したいという気持ちを抑えていました。そんなわけで最初から気付いていた人も知らなかったフリをしてください。それだけで僕は救われますから・・・(笑)。