気分はガルパン、、ゆるキャン△

「パンツァー・リート」の次は「SHINY DAYS」や「ふゆびより」を聴いて元気を貰います

知恩院総門から三門へ

2022年10月10日 | 洛中洛外聖地巡礼記

 大徳寺総見院を辞して、大徳寺前バス停より市バス206系統に乗り、北大路、東大路を経て知恩院前バス停で降りました。今回の京都散策におけるU氏のリクエストの二番目が知恩院でした。今まで行った事が無いので一度は行きたい、というのが理由でした。私も知恩院には行った事がなかったので、良い機会でした。

 

 バス停から南へ少し行くと、上図の総門の前に出ました。東大路に面して建つ知恩院一山の表門にあたり、別名を「新門」といいます。U氏が「要するに、新しい門であるわけかな?」と聞いてきたので、「新たに追加した門、という意味かもしれん」と答えておきましたが、U氏は「なるほど」と納得した様子でした。

 

 総門から三門までのゆるやかな登り坂の参道筋に桜が咲いていました。U氏は桜が好きなのでテンションも上がりっぱなしで、何度も写真を撮っていました。

 

 三門の前まできました。徳川秀忠が寄進して元和七年(1621)に建立されたもので、「空門(くうもん)」「無相門(むそうもん)」「無願門(むがんもん)」という悟りに通ずる三つの解脱の境地を表わす門、三解脱門(さんげだつもん)を意味する三門です。入母屋造、本瓦葺き、五間三戸の二重門で、高さは24メートル、現存する日本の寺院の三門(山門)の中で最大の二階二重門です。

 私はこの三門の前は何度も行き来していますが、門をくぐるのは今回が初めてでした。知恩院は周知のように現在の伽藍や文化財が江戸期に徳川家の永代菩提所となって以降に形成されているため、藤原期仏教美術史専攻だった身からすれば全く縁が無かったのでした。そのことはU氏も知っていますから、「君は一に平等院、二に浄瑠璃寺、三に法界寺、だったもんなあ、知恩院に行く契機とか無かったもんなあ」と言いました。

 

 三門からは上図の「男坂」と呼ばれる階段が上の伽藍へと続きます。「うええ・・あれを登るのか」と思わず口に出したところ、U氏は「仮にも徳川家の流れに連なる水戸家28万4千石の誇りにかけても、桜を散らして登るのじゃ」と意気揚々と答えてきました。

 

 くぐったばかりの三門を振り返って仰ぎ見ました。「でかい門やなあ・・・」「そらそうだよ、東大寺南大門よりも大きいんだぜ」「それは知ってるけどな・・・」「この日本最大の三門の規模こそが徳川家の心意気と威信であるぞ」「そういうことやな」などと話しました。

 

 「男坂」の階段を登り始めましたが、段差が大きいうえに急なので、半分も行かないうちに息が荒くなってきました。左右の石垣も高くそそり立ち、城郭の構えや階段とほとんど変わりませんでした。
 それもそのはず、徳川家が知恩院を永代菩提所と定めたのは表向きの理由で、伽藍の整備は城郭のそれに準じて防御性も持たせて軍事的拠点として機能するように寺域を整備したといいます。伽藍そのものも高所に築いて周囲に石垣を巡らせています。そうして二条城とともに京都における徳川家の拠点となし、その威勢を誇示し、京都御所を見下ろし朝廷を牽制する狙いがあったとされています。
 知恩院が選ばれたのは、徳川家が浄土宗徒であるため、というのもひとつの理由ですが、それ以上に知恩院第二十五世の超誉存牛(ちょうよそんぎゅう) が松平氏第四代松平親忠の子であり、徳川家康の先祖にあたるのが大きかったとされています。

 

 男坂の途中で、一休みして三門を振り返りました。U氏が「いざとなれば徳川の兵が知恩院に立て籠もって三門を物見櫓となして扉を閉じて防塁となす、というのがよく分かるな」と感心しつつ言いました。最大規模の三門であるのは、有事の際に最大規模の防御施設として機能させるためであったからでしょう。
 例えば、門の扉口前と二階の高欄とに弓鉄砲を並べてつるべ撃ちにすれば、いかなる敵も三門に辿りつけずに撃退されるに違いありません。

 

 男坂を登り切ったところで、再度三門を振り返りました。まだ屋根のてっぺんの方がこちらよりも高い位置にあるように思えました。この三門が、伽藍域への表通路である男坂を外から見えなくしているのだな、と気付いて、いわゆる城郭内の目隠し櫓のような機能も併せ持った門なのだな、と理解出来ました。

 そのことをU氏に言うと、「流石は徳川家、ってなるだろ、260年の泰平の世をしいた史上最強の武家政権なんだぜ、こういう門だけでも京都を圧倒しておるわけだ。わははは」と自分が将軍であるかのように胸を反らして威張って言うのでした。  (続く)  

 

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