寸又峡の夢の吊橋からの急な三百四段の登り坂は、とにかく長いので、次第に足が痺れて息も荒くなってきました。途中で何度か立ち止まって休みましたが、三度目の小休止の際にふと振り返ってみたら、真下に夢の吊橋が見えました。
同時にこの景色に既視感を覚えたので、後で確かめて原作コミック第11巻125ページ4コマ目のアングルだと分かりました。土岐綾乃がひいひい言いながら登っているシーンでした。
少し戻って、夢の吊橋がよく見える位置に行きました。うわー、こんなに高低差があるのか・・・。70メートルだとか聞きましたが、もっとありそうに思えました。
デジカメの望遠モードで撮影。人影は見えませんでした。それでこの時間帯は私だけが吊橋を渡って、急坂を登っているのかなと思いました。
いったいどこまで続くんだ・・・。三百四段あるのかと数えていたのが、途中でくたびれて頭が回らなくなり、何段あるのかが分からなくなりました。
くろう坂ですか・・・。本当に苦労してるんですから、そのまんまのネーミングはやめて欲しい・・・。もっと励ますような、元気を出せるような名前にしてほしかった・・・。
いつしか階段が、ゆるやかな登り道になりました。おお、ゴールが近い・・、近いのか・・・?
まだ階段があるじゃないですか・・・。ここで休んで下さい、と言わんばかりのベンチ。原作コミック第11巻125ページ5コマ目のアングルです。土岐綾乃がぜぇぜぇ言いながら登っているシーンでした。
「やれやれどころ」ですか・・・。やれやれどころか、艱難辛苦どころですよ・・・。
階段を登りきると道標がありました。どうやら寸又峡プロムナードコースに着いたようでした。左に進んで飛龍橋まで350メートルです。右の尾崎坂展望台には行きませんでした。
付近にあった地蔵尊とみられる素彫りの木造の祠。円空仏みたいな雰囲気でした。
道の合流地点にもベンチがありました。原作コミック第11巻125ページ6コマ目のアングルです。このベンチに土岐綾乃が腰かけてひと息ついていました。
ふたたび寸又峡プロムナードコースを進みました。道幅はいかにも森林鉄道の軌道のそれで、廃線跡の雰囲気が色濃くただよっていました。
間もなく、前方左手に鉄橋の一部が見えてきました。あれが飛龍橋ですな・・・。 (続く)