真夜中の映画&写真帖 

渡部幻(ライター、編集者)
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1972年「プレイボーイ」誌のお洒落なクリント・イーストウッド

2015-10-30 | 雑感
 

1972年の「PLAYBOY」誌に掲載されたクリント・イーストウッド。この写真は日本で発売された40周年アニバーサリー版で知ったのだが、お洒落なイーストウッドというコンセプトが新鮮で、いつもこの号が欲しいと思っていた。

ところで、米「PLAYBOY」がヌードの掲載をやめると聞き、調べると、すぐに朝日の記事が出てきた。「デビッド・ハルバースタム氏は著作で「セックスが隠れて求める暗いものではなく、楽しむものだという考えを広めた」」とあるが、そうだろうと思う。しかし、さらに時代は変わるのである。

2011年の「ニューズウィーク日本版」に「プレイボーイ・クラブの虚像と実像」という記事が掲載されている。筆者は、気鋭のコラムニストであり、『シルクウッド』『恋人たちの予感』などの脚本家であり、映画監督としても有名なノーラ・エフロン。彼女は次のように書いている。
「ヒュー・ヘフナーという人物がまだ消えていないことを、私はずっと不思議に思っている。(略)彼がつくったものはとっくに20世紀の中古品ショップに放り込まれた」
もっとも、エフロンが「中古品ショップに放り込まれた」と書いているのは、ヒューヘフナーが築きあげたプレイボーイ・クラブ、バニーガール、バンパーステッカー、Tシャツなどであり、ヘフナー帝国とその黄金時代である。朝日の記事がここで考えているのは「雑誌」がヌードを呼び水にし、いい意味でも悪い意味でも人の価値観を変えた「黄金時代」の終焉のほうである。

イーストウッドの「プレイボーイ」フォトはもちろんヌードではなく、むしろファッション写真なのだが、ヘフナーの考える「いい男といい女」の理想像が提唱されており、その先には「ヌード」があり、当然「セックス」が待っているというわけだ。確かにこの「理想イメージ」は過去=20世紀のもので、それなりの距離を感じさせるかも知れないが、だからこそ今あらためて眺めていると「おもしろい」のである。(渡部幻)

  

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