真夜中の映画&写真帖 

渡部幻(ライター、編集者)
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ヴェラ・リンの「また会いましょう」~『博士の異常な愛情』

2015-01-02 | 音楽


『博士の異常な愛情』でスタンリー・キューブリック監督は
人間が築きあげてきたすべてが吹き飛んでしまう痛烈なラストにこの歌を流した。

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"We'll meet again,"
「また会いましょう」

またあいましょう
どこかで
いつの日か
きっと また 会えるでしょう
ある晴れた日に

ほほ笑み 忘れず
あなたらしく 笑みを絶やさず
青い空の輝きが
黒い空を払うまで

そして お願い
友人や隣人に もし出会ったら
じきに行くと 伝えておいて
別れ際に この歌を
力の限り 歌っていたと

またあいましょう
どこかで
いつの日か
きっと また 会えるでしょう
ある晴れた日に

**************

映画史上に名高いブラックユーモア。

水爆の爆発にあわせて流れてくる
イギリス人歌手ヴェラ・リンの優しい歌声が、
耳から離れないのは、それが反語として響くからだ。

人はどこまでも愚かな生き物になりうる。
それはもっとも「哀しいメッセージ」である。

私たちが、一度吹き飛ばしてしまったものとは、
「きっと、もう二度と、会えないでしょう」




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