以前、患者会のメーリングリストで情報のあった、公益財団法人かずさDNA研究所 かずさ遺伝子検査室でのドラベ症候群に対する遺伝子検査の実施について、一般公開情報がなかったため問い合わせを行ったところ、正式にドラベ症候群を遺伝学的検査リストに掲載していただくことができましたので、情報を共有します。
ドラベ症候群に対する遺伝子検査
価格:保険点数収載がないため、自費検査を原則として48,600円(難病にも認定されたので、今後の保険診療への取入れが課題かもしれません)
検査内容:SCN1A 及び鑑別診断として PCDH19 遺伝子のタンパク質コード領域エクソンとその両端のスプライス部位領域を、次世代シークエンサーで解析し、主に検出されたアレル頻度 1%以下の稀なバリアントについて報告。
追加質問に対する回答概要
ハプロ不全のトランスケーション変異 (短縮型変異とも呼ばれ、正常な遺伝子のタンパク質の発現が不足して発生する異常)による遺伝子異常と、ミスセンス変異(遺伝子のタンパク質の一部がアミノ酸が置換されて起こる異常)による遺伝子異常の区別がつくか?
回答:
DNAシーケンサーでタンパク質コード領域とイントロンの境目の全域の配列を解析する。そのため、塩基置換や短い配列の挿入と欠失の検出を主目的とする。
この方法であれば、トランケーション変異(途中でタンパク質合成が止まってしまうようなナンセンス変異やフレームシフト変異の場合)やミスセンス変異の大部分は検出可能。
厳密にはハプロ不全の原因をすべて調べている方法ではないものの、一般的な遺伝子解析に用いられている主流の方法での結果を提供している。
結果報告書では、検出された低頻度バリアントがアミノ酸配列にどのような影響を与えるかなどの情報は提供されるため、それがアミノ酸置換型なのかトランケーション型なのか確認可能。
加えて、専門家からのコメントを取得し、必要に応じて主治医を通じて報告することもある。
検査検体:採血管2本にそれぞれ 1ml 以上ずつの採決された血液(真空密封型採血管 EDTA-2K(または Na)顆粒)。
検査にかかる期間:検体が本所に届いた日から 60 営業日以内。
検査依頼:検査自体は、医療機関を通じて申請する必要があります(初めて検査を依頼される方へのページ参照)。
遺伝子検査は診断を確定するのみならず、近年では、治療方針の決定にも役立つことが報告されています。必要に応じて下記のページも参考にされて下さい。
日本のドラベ症候群患者における、SCN1Aのトランスケーション(短縮型)変異とミスセンス変異による違い
ドラベ症候群患者における遺伝子異常の有無と抗てんかん薬の治療効果の違い(日本からの報告)