胃生検の小部屋 Cottage for Gastric Biopsy

胃生検からはじまる消化管病理の美しい世界

IBD, crypt-associated granuloma, crypt abscess

2015-10-16 | 大腸炎症
 IBDの大腸生検です.まだ治療が始まっていなかった初期の頃の組織像です.写真の真ん中くらいに陰窩膿瘍と類上皮細胞肉芽腫が認められます(クリック!).少しだけ病理を勉強したひとなら
・陰窩膿瘍→Ulcerative colitis
・類上皮細胞肉芽腫→Crohn病
が結びついてしまいます.実臨床でもこのキーワードが一人歩きしてしまうことがあります.
 
 陰窩膿瘍はあくまで活動性の指標です(UCに特異的なものではありません.色んな腸炎で出現します).肉芽腫も存在様式に注意したいです.最近の医師国家試験でもUCで陰窩膿瘍を答えさせる出題がありましたが,あまり感心しません.
 
 この肉芽腫は業界用語でいう'crypt-associated granuloma'です.Crypt-associated granulomaは文献的にCrohn病よりもUCで出現する頻度が高いと報告されています.

 本例はCrohn病と確定されています.
 無心にHE切片をみると,陰窩上皮の捻れ・歪みと異常分岐がみられ,慢性活動性炎症を伴いますが,炎症細胞浸潤に濃淡があり(不連続炎症パターン),炎症が強いわりには粘液産生が保たれており(mucous preservation),Crohn的な組織像といえます.
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