
福岡県出身のコラムニストでイラストレーター、歌手、絵本作家などと多くの肩書きを持つリリー・フランキー氏が書いた小説「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」が200万部を越える大ベストセラーとなって早2年。テレビドラマ・映画化もされ、それによる社会的現象は依然、続いています。今月からは連続ドラマもスタートし、「文庫本になるまで待とう」と今まで読んでいなかった私もついに、この本を購入して読むことにしました。
私はこの本が発売される前から、テレビのバラエティ番組にコメンテーターとして出演しているリリー氏を見ていました。あご髭をたくわえた彼は、いつも片隅に静かに座り、意見を求められると小さな声でポツリポツリと答える、人見知りをするシャイな男性に見えました。しかし、その発言内容は下ネタが多く、私はいまいち彼の正体をつかむことができませんでした。発売当初、ふざけたようなその本のタイトルやテレビを通して感じていた彼に対する印象から、それほどの内容ではないと勝手に判断していました。
しかし、それは私の早合点だったようで、幼少時からの生い立ち、オカンこと母親とのつながりを赤裸々に描いた「東京タワー」は、若者を中心に多くの読者の心をつかむ名作になりました。昨年春亡くなった脚本家の久世光彦氏はこの本を「泣いてしまった…。これは、ひらがなで書かれた聖書である」と批評しています。
小説の舞台は、昭和30~40年代にかけての福岡県筑豊の炭鉱町。リリーこと中川雅也は家庭の事情で母親と筑豊を離れ、母親の実家のある北九州市小倉で多感な少年時代を送ります。そして、イラストレーターになることを目指して東京の大学に進み……。持ち前の陽気さと力強さで明るく振る舞い続ける母と、母を愛しながらも気持ちをうまく伝えることができない息子。リリー氏は、母親との想い出をふんだんに盛り込みながら自分の半生を赤裸々につづっており、私も主人公の「ボク」に自分を重ね合わせながら、その物語の世界にぐいぐいと引き込まれていきました。その随所随所に目頭の熱くなる場面があります。
昨年の「本屋さん大賞」受賞作。この本は、不朽の名作になること間違いなしです!
私はこの本が発売される前から、テレビのバラエティ番組にコメンテーターとして出演しているリリー氏を見ていました。あご髭をたくわえた彼は、いつも片隅に静かに座り、意見を求められると小さな声でポツリポツリと答える、人見知りをするシャイな男性に見えました。しかし、その発言内容は下ネタが多く、私はいまいち彼の正体をつかむことができませんでした。発売当初、ふざけたようなその本のタイトルやテレビを通して感じていた彼に対する印象から、それほどの内容ではないと勝手に判断していました。
しかし、それは私の早合点だったようで、幼少時からの生い立ち、オカンこと母親とのつながりを赤裸々に描いた「東京タワー」は、若者を中心に多くの読者の心をつかむ名作になりました。昨年春亡くなった脚本家の久世光彦氏はこの本を「泣いてしまった…。これは、ひらがなで書かれた聖書である」と批評しています。
小説の舞台は、昭和30~40年代にかけての福岡県筑豊の炭鉱町。リリーこと中川雅也は家庭の事情で母親と筑豊を離れ、母親の実家のある北九州市小倉で多感な少年時代を送ります。そして、イラストレーターになることを目指して東京の大学に進み……。持ち前の陽気さと力強さで明るく振る舞い続ける母と、母を愛しながらも気持ちをうまく伝えることができない息子。リリー氏は、母親との想い出をふんだんに盛り込みながら自分の半生を赤裸々につづっており、私も主人公の「ボク」に自分を重ね合わせながら、その物語の世界にぐいぐいと引き込まれていきました。その随所随所に目頭の熱くなる場面があります。
昨年の「本屋さん大賞」受賞作。この本は、不朽の名作になること間違いなしです!