THE BOOKハンター!

~〈本の虫〉の痛快読書日誌~

「100万回生きたねこ」(佐野洋子/講談社)

2006年03月12日 | Weblog
 オススメ本や新聞の書評欄によく登場する本書。私は以前から知人に薦められていましたが、今回やっと買って読むことができました。
 初版以来30年近くもの間人気を維持している猫絵本の不朽の名作。読む年代によって受ける印象が変わってくるという不思議な魅了に満ちあふれた素晴らしい「おとなの絵本」という感じがします。
 詳しい内容については割愛しますが、いろいろな場所でいろいろな人から飼われて、死んでは生き返った雄ねこが、心をひく雌ねこと出会い、結ばれます。そして、2匹は幸せな生活を送るのですが、ある日突然、雌ねこがなくなります。しばらく何日間も愛する「妻」の死体に寄り添い続けるねこ。そんな、彼も最後の詩が訪れて……。ラストシーンは何度読んでも、胸にジンときます。その理由をうまく表現することはできませんが、読後もそのシーンがなかなか頭から離れることができません。こういうことが本書が長年愛されて、読み告がれている大きな理由ではないでしょうか。

「我輩ハ作者デアル」(原田宗典/集英社文庫)

2006年03月12日 | Weblog
 私の大好きな作家・原田宗典氏の最新エッセイ集。
 作者であるからして、日々いろんなことを考える。いろんなものを見る。いろんなものを聴く。いろんな場所へ行く。そして、いろんな人を想う……。本書には、原田氏がそんな「作者的日常」から生み出した、笑えて、心にしみる文章がたくさん詰まっています。

「下流社会 新たな階層集団の出現」(三浦展/光文社新書)

2006年03月12日 | Weblog
 昨年の大ベストセラーで、「下流社会」という言葉も流行になった同書は、マーケティング・アナリストである著者が豊富なデータを元に書き上げた「階層問題における初の消費社会論」です。
 「下流」の人間たちは、コミュニケーション能力、生活能力、働く意欲、学ぶ意欲、消費意欲、人生への意欲が低いので、所得が上がらず、未婚のままである確率も高い。「下流社会」とは具体的にどんな社会で、若い世代の価値観、生活、消費は今どう変わりつつあるのか? 本書は、さまざま独自調査をもとに「下流社会」について分析されており、興味深く読むことができました。
 冒頭に「下流人度」をチェックする項目表があり、私もチェックしてみましたが、なんとか「下流人」の手前でした。