THE BOOKハンター!

~〈本の虫〉の痛快読書日誌~

「あしたはうんと遠くへいこう」(角田光代/角川文庫)

2006年03月13日 | Weblog
 昨年、直木賞を獲った角田光代。受賞作「対岸の彼女」は読まなかったのですが、文庫で作家デビュー作「幸福な遊戯」を呼んで、私はたちまち彼女のファンになりました。しっかりとした文章を書く人だなぁと思いました。それ以来、私は彼女の作品を数冊ほど読んできましたが、最近買った読んだのが本書、彼女が初めて書いた恋愛小説です。
 主人公「泉」は田舎の温泉町から東京に出てきた女の子。「今度こそ幸せになりたい」と願って恋愛しているだけなのに、失敗ばかりしている。東京の大学に出てきて、卒業して、働いて。今度こそ幸せになりたいと願い、さまざまな恋愛を繰り返しながら、少しずつ少しずつ明日を目指して歩いていく。そして、波瀾万丈な恋愛生活の果てに「泉」は……。
 本書は、1人の女の子の15年間の恋愛生活を綴った連作小説というスタイルをとっていて、同時代を知るものにとっては懐かしいものの描写がたくさんあります。。「How sonn is now? 1985」から「Start again 2000」まで、すべてその時代の音楽にのせて語られています。村上春樹や村上龍の作品を意識して書かれたものだと感じました。