映画感想(ネタバレもあったり)

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ハローグッバイ(2016年製作の映画)

2015-09-29 | 映画感想
今年見た邦画の中で一番良かった。『愚行録』が一番だと思ってたけどフワリと飛び越えました。

女子高生のグロテスクな友達関係を描いただけの映画だったらキツイなと思ってたんですが、それはほんの一要素にしか過ぎない。

女子高生を描いてるという感じもしなくて、彼女らを通して各年代の女性の人生を垣間見る冒険のように感じました。

観てる最中、ビフォア3部作を思い起こしました。
(ビフォア・サンライズ、サンセット、ミッドナイト)
会話を大事にスリリングに撮っていたからかな。画面もきれいだし。


女優さんみんな素晴らしいんですが、やはり主演の2人。

久保田沙友のカリスマ性と美しさも凄いんですが、
萩原みのりが演技うま過ぎて食い入るようにみてしまいました。

なんで萩原みのりはこんなにカメラに映されてることを意識しない顔ができるんでしょう。
なんで台本覚えたんじゃなくて今起こったことに対して今初めてリアクションしたみたいなセリフ回しができるんだろう。
バスに乗ってるときの表情と友達といるときの表情が全然違ってて、感動してしまいました。
トイレで「え、なんで知ってんの?」っていう表情なんて完璧。


どんな話か知らずに観に行ったのですが、思った以上にいろんな要素が込められた物語でした。
なのに、くどくない。
伏線の回収の仕方もササッとしてて「はい!いま見事に伏線回収いたしましたぁ!」とウザい映画も多いけど、これは上品。
※なんで警察にすぐ連絡しなかったかとか。


ラストも、僕はだいたいラストについて「長い、いらない、くどい」と思ってしまうんですが、かっこよかった。

結構大きい問題点をラストまで持ちこしてきたから、「この問題を解決しないまま終わるってのもひとつの手か」などと偉そうに観てましたが、ちゃんと逃げずにしかも必要最低限のカットで、しかも主演2人のキャラクターをより強く美しく描いてたのでもうなんかすげぇなと。。


女性がこの映画を観るときっと「学生時代の女友達ってこうだよね」と懐かしく共感するのでしょうが、おじさんが観るともはやあのやりとりはサスペンス。

「大丈夫、安心して。絶対誰にも言わないから」って言葉に「はい、私あなたの弱み握りましから」という脅迫を滲ませながらじゃないと話せないんですか、女子ってヤツは!

萩原みのりと岡本夏美の
「私たち友達だよね」
「当たり前じゃん」
というセリフは、2人ともあんなに殺し屋みたいな視線をぶつけながら言うのが正解なのですか、女子ってヤツは!


あと、僕は学生時代ずっと吹奏楽部だったので、放課後のシーンで裏でずっと楽器練習の音がずっと鳴ってるのが印象的でした。

自分が鳴らしてたあの音は、関係ない人にはこうやって聴こえてたんだな、と。
うるさくて迷惑だったとは思いますが、、吹奏楽部じゃない人にとっても、放課後のあの音は青春のBGMのひとつになってるんだろうなと、思いました。



こう言う映画の場合、男性はほとんど妖精くらいの存在感になっちゃうんですが、その中でも桐生コウジは面白い。
万引き犯を追いかけるシーンの走り方が可笑しい。。あれは演技なのか、桐生コウジのパーソナリティなのか。
「この人奥さんに逃げられたんだろうな」と思わせる走り方。

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