絹糸のしらべ

一絃の琴、きもの、文学etc…日本人のDNAが目を覚ます・・・

吉野の桜

2006年04月09日 13時17分48秒 | 一絃琴
今日は本当は吉野の桜を見に行く予定でしたが
急遽、「中日x巨人」戦を見ることになり、
父子でいま出かけていきました。(私はパス)
もう、うちの近所も満開に近いですね。
でも、満開のときにはすでにはじめの頃の花は
散り始めるから、本当の満開というのはないのかもしれません。

一絃琴の曲に「嵐山」というのがありまして
これは、京都嵐山の花やもみじをこよなく愛でる歌なのですが
このなかに吉野のことが出てきます。
花(桜)の有名な吉野山に勝るとも劣らずの「嵐山」の美しさよ
というような意味なのですが、
その「よし~~のお~~」という旋律が、
まるで吉野山にこだまする山びこのように聞こえ
また、吉野の山に咲き誇る桜のあでやかな様子が
美しい映像さながらに浮かんでくるような、
そんな感じのする曲です。
だんだんと弾くうちに、この作者は吉野も竜田川の素晴らしさも
実際に訪れて知りながらも、なお、やはり嵐山の風情はえも言われず
美しいものだ、といっているのではないかと思ったりします。
(つまり、一般的な常識としての名所の歌ではないという…)

また、「秋待ち顔のもみじさへ」と歌って
眼前にはまだない秋の紅葉の風情を想像しているのは
いかにも日本的な情緒(目の前にはないものを想像するという)を
表現している気がします。


   嵐山 花のさかりは名にし負う 吉野竜田もほかならず
   秋待ち顔のもみじさへ ともにつきせぬ眺めかな