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【ラノベ】ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 3

2013-06-05 | ライトノベル
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか3 書き下ろし短編小説&ゲストイラスト集付き限定版 (GA文庫) ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか3 書き下ろし短編小説&ゲストイラスト集付き限定版 (GA文庫)
価格:¥ 980(税込)
発売日:2013-05-16

 読了。

 なんという燃える展開。これぞ王道。これぞ少年の成長物語。
 3巻では、冒険者として着実に成長を遂げるベルが、ついに自らの壁を越えます。想い人であるアイズの手ほどきを受けて戦闘技術を磨いた総決算が、すべてのきっかけであるミノタウロスとの死闘。女神フレイヤによって仕組まれた再戦の行方は――というのが今回の大まかな流れでした。
 以下雑感。

・あとがきにもあるように、まさしく「第一部完」という看板に相応しい内容だったと思う。ベルとミノタウロスとの因縁に、このタイミングでケリを付けるのは実にうまい。ミノタウロスとの戦闘も「遭遇→アイズが駆けつける→ベルの奮起を促す」と状況が二転三転する様子が描かれているため、メリハリがついていて非常に楽しめた。速度で勝るものの決定打を欠いているためジリ貧に……というのはありがちな展開だが、ここも「相手の武器を用いる」、「武器と魔法を使って内部から攻撃」の二段重ねになっているあたりに工夫が見られる。クライマックス補正があるとはいえ、今後も戦闘描写をこれくらい頑張ってくれるととても嬉しい。

・戦闘描写が凝っていた反面、メインから外れる日常描写が手薄になってしまうのは致し方ない部分もあるだろうか。ヘスティアの出番はもう少し欲しかった気もするが、要所をしっかり締めてくれたのと、特典の小冊子がヘスティアメインだったので、影が薄くなったりしなかったのは僥倖。個人的には、ベルとアイズはどうやって距離を縮めていくのか(むしろ距離は縮めず、憧れの存在のまま物語が進行するのではないかと思っていた)というのは気になっていたので、今回、一気に親密になったのは少し意外だった。べつに悪い意味ではなく。

・ちなみにキャラ面で僕が抱いた唯一の懸念は、ぶっちゃけリリがあまり好きになれないという点。導入のヘスティアとのやり取りなどは、あまり重くなりすぎないようにコメディチックにまとめようという意図があるんだろうし、ヘスティアの器の大きさを示すエピソードになっているのは間違いないんだけど、「コイツあんまり反省してないんじゃねえの」と感じてしまう部分もあったりして少し眉をひそめてしまった。そもそもアレは結果的に良い方に転がっただけで、ベルをはじめとする冒険者たちへの行為があまりにもシャレにならなすぎるっつーのがどうしても引っかかってしまうんだよなあ。サポーターを蔑ろにする冒険者たちが存在し、実際にリリが酷い扱いを受けていたというのを踏まえても、僕自身の価値観がリリを受け容れがたいという感じ。おそらく作品的には「あれだけのことをしても見捨てなかったから、リリは今後絶対にベルを裏切らない」ということなんだろうけど(3巻でもベルのために助けを呼んだのはリリだったし)、僕は「一度裏切ったやつは何度でも裏切る」と思ってしまうっつーか、こればっかりはどうしようもないのかなと。いっそリリは2巻で退場させて、新キャラとPTを組むっていう流れでもよかった気がする。一度評価が落ちたキャラを再評価させるのって大変だと思う。

・そういえば、ヤスダスズヒトさんの挿絵はだいぶよくなってる印象。や、絵師さんの個性というか、持ち味があるというのを理解した上で、1巻と2巻はイマイチだったので。ただまあ、限定版付属の冊子の絵を見てしまうと、やっぱりもうちょいイメージに合う人は他にいたような気がしないでもない。オサレすぎる……んだよなあ……。

 っつーわけで、中身に関しては文句のつけようのない一冊だったので、続きを心待ちにしたいということで一つ。