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お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ 5 (MF文庫J) 価格:(税込) 発売日:2012-02-23 |
読了。
んー……コレ駄目かも……(^q^)
結論から先に言うとイマイチでした。読んでいる最中にアニメの出来の良さばかりが頭をかすめてしまうというか、ぶっちゃけコレ、秋人の一人称が雑味にしかならないですね。
ヒロインたちの行動に対して内心でどんなことを感じているか等、いわゆる心情描写を詳細に表現できるというのは小説の大きな利点ですけど、こと『おにあい』に関しては秋人の心情描写が邪魔になっていると思いました。
4巻まで読んだ段階で少し引っかかっていたんですが、秋人はモノの考え方がいちいち鼻につきます。秋子をわざと困らせて反応を楽しむあたりまでが許容範囲で、それ以上の「自分がこういう行動を取ったら、相手はこういう反応を示すだろう」みたいな思考は、いやらしさばかりが先に立ってしまいます。
まあ、秋人に一筋縄ではいかないところがあるというのは、アニメでも銀兵衛たちの発言などから察することができますし、僕はむしろこういう頭脳を使って相手を出し抜くタイプの主人公は好きなんですけど、どうしてか今回はダメでしたね。
なんつーか、全体的に小物臭さを感じてしまうタイプの権謀術策を巡らすキャラに見えてしまうんだよなあ。仕事を言い訳にして学業を疎かにする性格とか、そういうものも全部マイナス方向に働き、どうしても姫小路秋人というキャラに好感を抱くことができないのですよ。
で、そうなってくると、秋人に好感を寄せるヒロインたちの行動も珍妙に映ってしまい、この手のラノベでは禁句である「どうしてこの主人公ってこんなにモテるの?」を見事に体現する作品になってしまうというわけです。
この場合、キャラクターの描写を掘り下げれば掘り下げるほど人間関係に疑問符がつくので、秋人の一人称をスポイルして登場人物たちの言動の表層をなぞるだけのアニメのほうが逆にキャラクターの魅力が増しているという実に皮肉な状況ですね。似たような状況に陥っている作品は他にもありますが(敢えて実例は挙げませんが)、『おにあい』はアニメの出来がいいだけに、それをより強く感じてしまうっつーのは間違いないかなと。
で、キャラクターの魅力が足りないと、物語の途中経過がどうでもよくなってしまうので、完結したときに「主人公が誰とくっついたのか」みたいなネタバレだけ拾えばいいかなーってなってしまうのは僕だけではないハズ。
ちなみに、僕の中で決定打になったシーンは、秋人がクラスメイトたちと談笑する秋子を見かけて、「もしやあの中に秋子の彼氏が? いやいやそんなのは許せない。秋子にはまだ早い。具体的には20年ほど早い。なに? そんなに経ったら行き遅れる? そうしたら僕が面倒をみるから問題ない」とか考えるところでした。いやー、気持ち悪さここに極まれり。
元々、超絶ブラコンの妹をそっけなくあしらう、という部分に面白さを感じていたので、その構図が完全にぶっ壊れてしまうと、一気に冷めちゃいますね。
そんな感じで、原作の続きはもう読まなくていいかなーということで一つ。