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はたらく魔王さま!: 1 (電撃文庫) 価格:(税込) 発売日:2013-03-28 |
読了。
新しく始まったアニメを見てめちゃくちゃ面白かったので、即原作に手を出すという、三ヶ月に一度ブチ当たるパターンです。
実は作品の概要だけは知っていたんですが、表紙から漂う『俺妹』臭さがどうしても受け付けずスルーしていたという経緯があったりなかったり。改めて見てみるとさほど似ているわけでもないですし、思い込みってのは恐ろしいものだとしみじみしました。
で、実際に原作を読んでみたところ、内容はアニメとほぼ同じなので面白いのは間違いないです。アニメを見て気に入った僕みたいな人なら、少なくとも話の内容を退屈に感じたりはしないと思います。某『まおゆう』からこっち、魔王と勇者をモチーフにしたラノベが腐るほど生まれましたが、それらとは一線を画す面白さですね。
まず第一に、細かい設定まで意外とよく考えられていて、安直なテンプレに一捻り加えてあるところに好感が持てました。主要人物たちがファンタジー世界の住人だという根幹にある設定も無駄になっていませんし、発想だけで書き始めたわけではなく、しっかりとプロットが考えられているように感じます。
そして何より、登場人物たちが非常に魅力的なのが僕としては最高に気に入りました。
この作品には、鈍感すぎてイライラする主人公も、ツンデレを暴力の言い訳に用いるヒロインも(エミリアの場合は魔王が仇敵という理由があるし、理不尽な暴力はふるっていない)、面白がって状況を面倒くさくするトラブルメイカーも存在しないので、読んでいてゲンナリすることがありません。そしてちーちゃんはスゲェ可愛い。
だからといってコメディ色が薄まっているわけではないですし、しっかりと一人一人のキャラクターが立っているため、登場人物が増えても個性が埋没しないのは素晴らしいです。ラノベでは「キャラクターに個性を持たせる=過度な言動をとらせる」という安直な作りになっている作品が珍しくないですが、『はたらく魔王さま!』では過度な言動を用いずしっかりとキャラクターを描写できているあたりに、作家さんの非凡なセンスを感じました。
ただ、欠点がないかというとそんなこともなくて、正直ちょっと文章が読みにくいですよね……。
なんていうか、初期の『ハイスクールD×D』みたいな「ザ・ネット小説レベル!」みたいな文章とはまた違う読みづらさがあるんですよね。僕は先にアニメを見ていたので情景などをイメージしやすかったですけど、ぶっちゃけ順番が逆だったらもっと読むのに苦労したと思います。
や、この作品って基本的に三人称ですけど、三人称で文章を書く場合にも主体を決めて書いたほうが、読者には伝わりやすいハズなんですよ。なのに、『はたらく魔王さま!』ってシーンの初めは魔王主体だった文章が、最後はちーちゃん主体になっていたりするので、読んでいてすごく戸惑うんですよね。
あと、物語の構成なども少し甘くて、導入はアニメの1話のようにバーンと戦闘シーンなどを挿入したほうがキャッチーだったと思うんですけど、原作ではアパートでのやり取りから物語が始まり、エンテ・イスラでの出来事などは淡々と回想の説明だけで済ましてしまうのが、ものすごく勿体ないと思いました。元魔王がみすぼらしい清貧な生活を送っているというギャップは、この作品の重要なポイントなのに、原作では「元魔王」の部分を印象付けることに失敗しているんだよなあ……。
そんな感じで、結論としては、「すごく面白い作品だけど、文章と構成が足を引っ張っているせいで面白さが100%伝わらない。けれど、アニメのほうは100%伝わる素晴らしい出来なので、アニメスタッフさんに恵まれてよかった」みたいな感想になります(^q^)
ホント、ここまで長所と短所がハッキリ出ている作品には久しぶりに出会いました。これがデビュー作らしいですけど、受賞した理由がよーくわかりますね。すごく将来有望な作家さんだと思います。
余談ですけど、電撃大賞みたいな文学大賞って、大賞受賞作より銀賞とか奨励賞を取った作品のほうが面白いことが多くて、そのあとも息が長くなったりするんですよね。『ウィザーズブレイン』しかり『狼と香辛料』しかり、ぶっちゃけこっちに大賞あげちゃっていいと思うけどなーw
つーことで、最後は関係ない話でしたが、続きも読みますってことで一つ。