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ブログよりも遠い場所

サブカルとサッカーの話題っぽい

【ラノベ】ロウきゅーぶ! 13

2013-07-11 | ライトノベル
ロウきゅーぶ! (13) (電撃文庫) ロウきゅーぶ! (13) (電撃文庫)
価格:¥ 599(税込)
発売日:2013-07-10

 読了。

 ローリングスポコメディ、堂々たる閉幕!(でももうちょっと続くんじゃ)

 しかし「あるいは」と思っていましたけど、ホントに13巻で終わっちゃいました。
 硯谷との対戦は、最大の山場であると同時に、慧心女バスの最終目標でしたし、初戦でぶつかる組み合わせにした時点で想定できていたとはいえ、とてもキレイな終わり方だったと思います。
 そういえば、同じくバスケを題材にした某『スラムダンク』は強豪(山王)に勝って次でボロ負けでしたけど、『ロウきゅーぶ!』がそういう展開になっても後味が悪いですし、慧心がそのまま全国大会で優勝するのもご都合主義すぎるので、硯谷が全国優勝したという落としどころは爽やかでよかったんじゃないでしょうか。
 以下雑感。

・13巻の感想をまとめると、面白かったの一言に尽きる。常々「バスケの試合描写が熱い」と書いてきたけど、まさにこれまでの集大成といった感じで、一冊丸ごと見所ばかりだった。五人の成長にこれでもかというくらいスポットを当てつつ、真帆の負傷退場を用いて女バスの十人を試合に絡めたのはうまいと思う(個人的な好みの話をするなら、スポーツ系の作品で登場人物に怪我をさせるのは好きじゃないけど)。さすがに延長戦は智花たち六年生で戦ったけど、その直前まで六年生四人+五年生一人という形でチーム力の積み上げを描写したのは見事。

・試合後の展開も、メイン、サブを含めたキャラクターたちが、新たな道へ一歩を踏み出すという点で統一されていて、実に爽やか。まさかショージとゾノまでバスケを再開するとは思わなかったし、美星に関しては「おめー顧問やるっつーならむしろもっと早く始めとけよw」って感じだったけど、それでも爽やか!

・ここしばらくクドく感じていた「紛らわしい描写で勘違いさせる」系のネタは、これで終わると思うと普段より楽しめた。智花と汗にまみれながら何度も身体を重ね合ったとか、昴が万里に攻められて腹の中パンパンとか、ロリネタだけじゃなくてついにホモネタにも手を出したかーみたいな。

・ひとつ無粋なツッコミをすると、これまでまったく仄めかされることのなかった「智花がバスケをはじめたキッカケ」を最後の最後で取って付けたように持ってきたのはどうしてなのかなと。あれは幼いころにも昴と出会っていたってことなんだろうけど、ぶっちゃけイラネーですよね。ああいう設定があるなら、もっと早く出せばよかったのに。ちょっと蛇足だったんじゃないかなあ。

 何はともあれ、楽しい作品でした。

 総括としては、小学生女子がメインキャラクターという点を強調されたり、言葉を選ばずにいうと気持ち悪い挿絵が話題になることが多く、色々とアレな感じで敬遠していた作品でしたがプッシュの仕方に反して内容は良スポ根モノだったので、アニメをきっかけにして出会うことができてよかったと思います。伏線の張り方に工夫がみられ、読者の意表を(良い意味で)突く展開を毎回用意してくれたため、最後まで中だるみすることなく読むことができました
 またストーリーもさることながら、キャラクターたちが素直で魅力的というのも、今作の見逃せない長所だと思います。もっとも、小学生たちにトゲのない立ち位置を割り振った反動か、作品の負の要素を葵(あとは美星も少し)が背負うことになったのは、賛否両論あるかもしれません。最終的には葵もそれなりに報われる立ち位置に収まりましたが、作者さんには是非とも「照れ隠しに主人公を殴る」、「直情的に暴力をふるう」という〝アクセント〟なしで物語に起伏をつけることを期待したいです。
 つけ加えるならば、ラノベにおいては内容の薄いサイドストーリーなどで水増しすることが珍しくないだけに、一度も時計の針を止めることなくグイグイと物語を進めていくテンポが小気味良かったのが好印象でした。
 最初に「13巻で終わってしまった」と書きましたが、読者に惜しまれているうちにキッチリ物語をまとめるのは素晴らしいことだと思います。某『惑星のさみだれ』然り、面白い作品の第一条件かもしれませんね。

 つーわけで、蒼山サグさんお疲れ様でした!
 残りのエピソードも楽しみにしてまっす!
 でも『天使の3P』はツマンネーから新作は別ので頼んます!


【ラノベ】ナイツ&マジック 1

2013-06-30 | ライトノベル
ナイツ&マジック 1 (ヒーロー文庫) ナイツ&マジック 1 (ヒーロー文庫)
価格:¥ 609(税込)
発売日:2013-01-30

 読了。

 最近web小説がガンガン書籍化していますが、これもその流れに乗った一冊。
 実はかつてweb版を読んだことあり、そのときにもわりと楽しめたという経緯があったりします。
 あらすじなどはAmazon他を参照して頂くとして以下雑感。

web版を読んだときに引っかかっていた「主人公が関西弁」という要素を排除したことで、かなり読みやすく(というより、取っつきやすく)なっていると思う。関西弁disというわけではないけど、主人公にはできるだけ〝プレーン〟な状態であって欲しい。余談だが、今作と同じように書籍化が決まったweb小説である『フェアリーテイル・クロニクル』も同じ欠点を抱えているせいで、面白いのにイマイチ人に薦めづらかったり。主人公は標準語でいいよ。どうしても関西弁キャラを出したいならヒロインのうちのひとりの属性にしちゃえばいい。

・で、主人公が標準語になったことでプラス要素ばかりかというと、そうでもなかった。どういうことかというと、web版では主人公の関西弁のほうに意識が向いてあまり気にならなかったところが目につくようになってしまったぶっちゃけ全体的に描写がクドい

・第一に、設定がごちゃごちゃしすぎ。魔法理論や幻晶騎士の仕組みなど、よく考えられているんだけど、いちいち設定を羅列するのは冗長にすぎるので、それらをもっと感覚的に読者に伝える術を模索すべきだったと思う。同様の問題を『魔法科高校の劣等生』を読んだときにも感じたので、やっぱこのへんがプロとアマの差なんだろうなと。そういう意味じゃすでに天酒之瓢さんもプロなわけで、プロとアマの垣根ってのはなくなりつつあるのかもしれない。

・第二に、注力すべきポイントの見極めが甘い。1巻は「前世で死亡→転生→能力開発→友人との出会い→入学→幻晶騎士に関わるようになる→トラブル時に幻晶騎士に乗り込んでモンスターを撃退」という展開なわけだけど、これは正直詰め込みすぎだと思う。たしかにweb版をそのまま書籍化するのであれば、最初の山場がモンスター撃退になるので、そこで区切るのは間違っていないんだけど、書籍化するのであれば展開の長さに応じてもっと話にメリハリをつけないと厳しい。物語の密度が薄いせいで、分量は多いワリに満足感が少ない。このへんは『オーバーロード』が絶妙なんだよなあ。

・ただまあ、密度の薄さにさえ目をつぶれば、展開そのものは王道で非常に面白いと思う。これはweb版のときから折り紙付き。メカオタクが極まりすぎてる主人公のズレっぷりとか、俺TUEE感などは読んでいて楽しいし、少なくとも1巻の範囲では文句のつけようがないと思う。

・絵は普通かなー。今作に限っては可もなく不可もなくって感じだけど、いわゆる〝ハズレ〟を掴まされた場合はイメージが固定化されちゃってキツイかも。web小説の書籍化は色んな意味で運試しやなぁ。

 つーわけで、あらすじを読んで気になった方は買っても大丈夫だと思いますということで一つ。
 続きは買おうかどうしようか悩むレベルですが!


【ラノベ】ラブライブ!School idol diary ~高坂穂乃果~

2013-06-18 | ライトノベル
ラブライブ! School idol diary ~高坂穂乃果~ ラブライブ! School idol diary ~高坂穂乃果~
価格:¥ 819(税込)
発売日:2013-05-30

 読了。

 先だって行われたLIVEイベントが大好評だったり、アニメの第二期が決まったりと、いま一番熱いコンテンツのひとつである『ラブライブ!』ですが、古参のラブライバーからもお墨付きが出た〝原作〟小説が発売されました。
 これは小説(ラノベ)というと少し違うのかもしれませんが、タイトルが示すとおり「穂乃果が書いた日記」という体で進行していく物語になっています。各エピソードには他のメンバーのコメントがつけられていて、μ'sの活動日誌を交換日記のような形で持ち回りしている――という設定のようです。

 で、肝心の中身がどうだったかというと、『ラブライブ!』という作品が好きなら楽しめるんじゃないかなーといった感じ。
 や、そんなの当然と思われるかもしれませんが、ぶっちゃけコレ、かなりクセが強いんですよ。某『シスプリ』をリアルタイムで知っている人には通りがいいと思うんですけど、こういうふうにヒロインの自分語りで進行する作品は基本的にすっごく人を選ぶと思います。僕も最初に読み始めたときは「うわー……」と思う部分がなきにしもあらずだったので。
 まあ、『シスプリ』とは作者さんが同じなので、そういう意味でも独特なハードルは存在するんじゃないかなと。今月から12ヶ月連続刊行するということで、一冊目でギブアップした人には少し残念な公式小説になってしまうのかなと思ったりも。

 とはいうものの、自分で書いたことを速攻で否定しちゃいますが、やはり『ラブライブ!』が好きな方にはお薦めしたいです。なんつーか、アニメはアニメで悪くなかったんですけど、あれより更にキャラクターが可愛らしく感じる作りになっているんですよね。
 僕が思うに、『ラブライブ!』という作品のキャラクターたちは、スクールアイドルという立場であるがゆえ、例えば穂乃果だったら、

1.素の穂乃果
2.スクールアイドルとしての穂乃果

 という二つの顔を持っています。
 んで、PVなどで歌って踊る穂乃果は「スクールアイドル」としての穂乃果であり、「素」の穂乃果とは違うわけです。根っこの部分は同じだとしても、キチンとアイドル活動をやっているからこその二面性が存在するのが、キャラクター描写の奥深さに繋がっている作品なんじゃないかなと思うわけですが。
 翻ってアニメの穂乃果がどうだったかというと、僕は1と2の中間のような印象を受けたんですよね。それはおそらく、アニメ化するうえで必要不可欠なキャラクター性の強調のために、ある程度「素」の穂乃果を「スクールアイドル」としての穂乃果に近づけた、というふうにも言えるかもしれません。
 それはそれで悪くないんですが、この『School idol diary』には紛うことなき「素」の穂乃果が表現されています。ひょっとするとキャラクターのインパクト自体は弱くなっているかもしれませんが、良い意味で「より普通っぽい」穂乃果とμ'sのメンバーたちが、僕はすっげー気に入ってしまいました。早く他のメンバーの話も読んでみたいです。
 また、文章自体もさることながら、ページごとに描かれたSD挿絵も気合が入っていますし、分量のワリに値段がお高めとなっていますが、ファンであれば絶対に損はしないんじゃないでしょうか。

 つーわけで、オススメですよということで一つ。
 なんか『スクフェス』やってたら凛ちゃんさんが好きになってきて困るわー。海未推しのはずなのにな!


【ラノベ】ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 3

2013-06-05 | ライトノベル
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか3 書き下ろし短編小説&ゲストイラスト集付き限定版 (GA文庫) ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか3 書き下ろし短編小説&ゲストイラスト集付き限定版 (GA文庫)
価格:¥ 980(税込)
発売日:2013-05-16

 読了。

 なんという燃える展開。これぞ王道。これぞ少年の成長物語。
 3巻では、冒険者として着実に成長を遂げるベルが、ついに自らの壁を越えます。想い人であるアイズの手ほどきを受けて戦闘技術を磨いた総決算が、すべてのきっかけであるミノタウロスとの死闘。女神フレイヤによって仕組まれた再戦の行方は――というのが今回の大まかな流れでした。
 以下雑感。

・あとがきにもあるように、まさしく「第一部完」という看板に相応しい内容だったと思う。ベルとミノタウロスとの因縁に、このタイミングでケリを付けるのは実にうまい。ミノタウロスとの戦闘も「遭遇→アイズが駆けつける→ベルの奮起を促す」と状況が二転三転する様子が描かれているため、メリハリがついていて非常に楽しめた。速度で勝るものの決定打を欠いているためジリ貧に……というのはありがちな展開だが、ここも「相手の武器を用いる」、「武器と魔法を使って内部から攻撃」の二段重ねになっているあたりに工夫が見られる。クライマックス補正があるとはいえ、今後も戦闘描写をこれくらい頑張ってくれるととても嬉しい。

・戦闘描写が凝っていた反面、メインから外れる日常描写が手薄になってしまうのは致し方ない部分もあるだろうか。ヘスティアの出番はもう少し欲しかった気もするが、要所をしっかり締めてくれたのと、特典の小冊子がヘスティアメインだったので、影が薄くなったりしなかったのは僥倖。個人的には、ベルとアイズはどうやって距離を縮めていくのか(むしろ距離は縮めず、憧れの存在のまま物語が進行するのではないかと思っていた)というのは気になっていたので、今回、一気に親密になったのは少し意外だった。べつに悪い意味ではなく。

・ちなみにキャラ面で僕が抱いた唯一の懸念は、ぶっちゃけリリがあまり好きになれないという点。導入のヘスティアとのやり取りなどは、あまり重くなりすぎないようにコメディチックにまとめようという意図があるんだろうし、ヘスティアの器の大きさを示すエピソードになっているのは間違いないんだけど、「コイツあんまり反省してないんじゃねえの」と感じてしまう部分もあったりして少し眉をひそめてしまった。そもそもアレは結果的に良い方に転がっただけで、ベルをはじめとする冒険者たちへの行為があまりにもシャレにならなすぎるっつーのがどうしても引っかかってしまうんだよなあ。サポーターを蔑ろにする冒険者たちが存在し、実際にリリが酷い扱いを受けていたというのを踏まえても、僕自身の価値観がリリを受け容れがたいという感じ。おそらく作品的には「あれだけのことをしても見捨てなかったから、リリは今後絶対にベルを裏切らない」ということなんだろうけど(3巻でもベルのために助けを呼んだのはリリだったし)、僕は「一度裏切ったやつは何度でも裏切る」と思ってしまうっつーか、こればっかりはどうしようもないのかなと。いっそリリは2巻で退場させて、新キャラとPTを組むっていう流れでもよかった気がする。一度評価が落ちたキャラを再評価させるのって大変だと思う。

・そういえば、ヤスダスズヒトさんの挿絵はだいぶよくなってる印象。や、絵師さんの個性というか、持ち味があるというのを理解した上で、1巻と2巻はイマイチだったので。ただまあ、限定版付属の冊子の絵を見てしまうと、やっぱりもうちょいイメージに合う人は他にいたような気がしないでもない。オサレすぎる……んだよなあ……。

 っつーわけで、中身に関しては文句のつけようのない一冊だったので、続きを心待ちにしたいということで一つ。


【ラノベ】はたらく魔王さま! 7

2013-05-28 | ライトノベル
はたらく魔王さま!7 (電撃文庫) はたらく魔王さま!7 (電撃文庫)
価格:(税込)
発売日:2013-04-11

 読了。

 今回は短編集! っつーわけで、それぞれのエピソードに短めのコメントを書く形式にすることにします。


>魔王、誠実な商売を改めて決意する

 漆原が悪質な訪問販売に引っかかり、真奥が事務所を訪ねるものの丸め込まれそうになり……というエピソード。
 身も蓋もないことを言ってしまうと、本編にあった海の家と似たような展開というか、女性陣が助けにきてくれるというのはほぼ同じ筋書きでしたね。しかも海の家のエピソードから真奥がアイディアを出したり漆原が働く描写が抜け落ちている感じなので、女性陣の株は上がりっぱなしで男性陣の株は下がりっぱなしというのが、ちとやるせないかも。
 エンテ・イスラの魔族をして、平和な地球に存在する悪意の恐ろしさを思い知るという構造は分かりやすいですが、特別面白いというわけでもありませんでした。


>魔王、捨て猫を拾う


 これはタイトルそのまま。よくある「捨て猫を拾い、買い主を捜し、買い主が見つかり、情が移ってしまった登場人物たちは~」というストーリーを『はたらく魔王さま!』という作品に合わせて書かれたエピソードです。
 上記したように使い古されたネタなので、あまり新鮮味はありませんでしたが、キャラクターが立っている作品なので、各々にしっかり役割が割り振られているあたりはソツがないなという印象でした。芦屋が一番情を移してしまうところとか、真奥が小猫に自分の過去を重ねあわせているところとか、作品ならではのアレンジがキチンと個性として表現されているのはさすがですね。
 インパクトこそ大きくなかったものの、最終的に近所の知り合いの人が引き取ってくれる(一度断っていて、それにもキチンと理由がある)という落としどころが好みだったので、読後感が良いエピソードだったと思います。


>魔王と勇者、お布団を買いに

 兼ねてより疑問を抱いていた読者も多かったであろう、魔王城に布団がひとつもない理由が明らかになる話です。
 や、なんとなく「貧乏だからなのかな?」と納得してしまいそうにはなるんですけど、恵美が指摘していたように、「ある程度稼いでいるんだから布団くらい買おうと思えば買える」わけで、そこにはキチンと理由がありました、という展開ですね。
 僕は『はたらく魔王さま!』という作品は、このへんのさじ加減というか、不自然に思える出来事に関しては理由をしっかり用意して、意味を持たせているのが巧みだと思います。その不自然さを作中にキャラに指摘させるのも実にウマイ。某『俺妹』に代表されるような、不自然さの連鎖でできている作品が氾濫している昨今、こういう作品は読んでいるとすごく落ち着きます。
 また、(本編の)直前のエピソードで恵美の心情に大きな変化があったということで、以前に比べるとアラス・ラムスを挟んでのやり取りが本当に微笑ましくなっているのが面白いところでしょうか。


>はたらく女子高生 -a few days ago-

 7巻の短編の中ではコレが一番面白かったです。それは僕が千穂推しだからという理由だけではなくて、短編集の中で一番『はたらく魔王さま!』〝らしい〟内容だったからではないかなと思ったり。
 なんかこう、メインはもちろん千穂がバイトを始めるくだりと新人だったころの描写になるんですけど、その裏で並行して千穂のクラスメイトの心情が変化していく様子を仕込んであるあたりが、本編と同じノリなんですよね。内容的にも、千穂のほうが丸く収まるのと同様、クラスメイトのほうの事情も思春期にありがちな「ちょっとした被害妄想と先走り」がキレイに解決するので、最初から最後まで構成がよく練られているなと感心しました。
 しかしこのエピソードを読んで思ったんですが、『はたらく魔王さま!』って当初のプロットを立てた時点で、どの程度まで先の構成を考えていたのかすげー気になりますね。某ジャンプほど露骨ではないとはいえ、テコ入れに積極的な電撃文庫ですし、後々序盤を読み直すと「あれにはこういう意味があったのか」と感じるような伏線が多くて驚いています。
 いやー、こういう伏線の張り方がうまい作品好きなんですよね。『惑星のさみだれ』しかり。


 とまあこんな感じで、楽しい短編集でしたということで一つ。
 ここから先は本編が待ったなしの展開になりそうなので、ちょうどいい息抜きになったかもしれません。