蕎麦彷徨

ひとりの素人が蕎麦について考えてきたことを書きしるすブログ

蕎麦界の展望 (15)

2006-08-05 | 蕎麦界の展望
次の新たな高みの地平を切り開く担い手は、蕎麦店主の方あるいはその関係者の中から出現することを前提に、私は議論を進めてきた。

ところで、蕎麦発展の第3期は、片倉、高橋さんの時とは異なる。いい玄ソバを作り出すこと、すなわちソバを栽培することが絶対の条件だからである。とすると、ソバ栽培の専門家つまり大学や各県の試験場の研究者または生産農家が、新しい美味い玄ソバをもたらすのではないかと思われる。しかし、彼らの従来の研究方向に従っていたのでは難しい。なぜなら、いつも開発目標の中心が「生産量」にあるからである。発思を転換して、「味」の追究を中心に据えれば、事情は異なってくる。こうした方々は、途方もなく栽培技術を研究していたり、その技術を持っているからである。可能性はあると思う。

ところで、現在最良の玄ソバとされているのが、「常陸秋そば」である。このソバの開発目標は5項目あった。その中に、味を追求する項目は1つとしてない。味を開発の中心にすえることの難しさを、物語っているのではないだろうか。この「常陸秋そば」については、次の「栽培」のところで詳しく論じたい。

なお、この「常陸秋そば」が良いからという理由で茨城県以外で、隔離栽培などの処置をしない限り、作付けしてはならない。ソバは虫媒花であり、交雑してしまうからである。交雑してしまったら、私の主張するいろいろな地方の微妙に異なる蕎麦など楽しむことなど夢の世界になってしまうから。

とはいえ、私達もこの過ちを犯したことがある。在来種と共に「常陸秋そば」、「信濃一号」などを同一の畑に作付けしたことがある。当時、ソバ栽培の師として教えを受けていた方に諭されて即座に中止した。今でも大いに反省している。
先日、蕎麦のウエブサイトをあちこち少しみた。日本の蕎麦界を指導している立場にある複数の人が、この過ちを犯している。栽培までしているのだから、相当突き詰めているに違いないがこの有様である。改めべきことだろう。

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