蕎麦彷徨

ひとりの素人が蕎麦について考えてきたことを書きしるすブログ

蕎麦界の展望 (18)

2006-08-09 | 蕎麦界の展望
スペインに、フレンチの世界でとてつもなく世評の高い、料理人・フェラン・アドリアが率いる「エル・ブリ」なるレストランがある。この店は、半年しか営業をしていないという。他の半年を、フェランは、食を訪ねる世界中の旅をしたり、新しい料理を創出したりして、時間を過ごしているという。

さらに、レストランとは別に「アトリエ」なる部署があり、フェランの弟が5人のスタッフとともに1年中、新料理の開発に専念している。ここには、最新の調理器具から、古典から現代までの料理書が多数あるという。私が今読んでいる『エル・ブリ 想像もつかない味』の山本益博さんの「日本料理の本だけでもどのくらいあったろうか」という表現から推察するに、途方もない数の料理書があるにちがいない。そして、フェランが新たな料理を創り出すべく、この「アトリエ」で過ごすときには、午前中はすべての時間を本を読み、アイデアの醸造に努め、午後を試作についやすという。

もちろん、フレンチの世界で可能なことが蕎麦の世界でできるとは限らない。しかし、蕎麦店を運営しながらも、ある一定期間、ソバ栽培のために専念できる休業期間を設定しなければ、本格的なソバ栽培などできまい。

若者はいつの時代も、旧世代が思いもよらぬことを「しでかす」。いつの日か、栽培を中心にすえた、私たちには考も及ばぬ、新しいシステムを創り出す若者が、出現するに違いないと私は確信している。


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