蕎麦界の展望 （２１）

美味い蕎麦の究極の目標は、いい玄ソバを作ることにつきる。では、いい玄ソバとは何か。私は、蕎麦は「香り」と「いいコシ」であると考えている。「コシ」は、主に蕎麦の打ち方などで決まる。だから、いい玄ソバの条件は、香りが高いことが決定的な条件である。

玄ソバの香りは、口に入るまでの全ての工程の中で、高まるところは１つとしてなく、低下するしかない。それゆえ、いかに低下を防止するかが大きな課題である。そして、「コシ」の場合と同じく、そのための工夫を凝らすことである。
しかし、何よりも重要なのは、始めから高い香りをもつ玄ソバを作ることだ。偶然いいソバが単年度のみできることがままあるが、香り高いソバを固定することである。まさにここが最大の課題である。

実際にいい玄ソバを作るには栽培しかなく、その核心は「土づくり」と「育種」である。私の「土づくり」と「育種」への試みは、次の「栽培」で述べていきたい。なお、「栽培」は９月からスタートしたい。