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蕎麦彷徨

ひとりの素人が蕎麦について考えてきたことを書きしるすブログ

09栽培  試食(2)

2010-01-12 | '09 SOBA

そば(C)  5.2
こちらが今年、私が栽培したソバ。
栽培期間65日間、ハサ掛け12日間、脱穀後若干天日乾燥、2倍の脱酸素剤を入れたネルパックで1カ月弱保存、丸ヌキ、石臼製粉、篩は24メッシュ使用、そば粉+水のみで打つ。

落葉を大量に投入した1999年にソバの味が一変して以来、収穫がままならない年があったものの、いいレベルを保っている。その中で07年のそばが最高で5.0。今年のそばはそれを少し上まわったと考え、5.2.

最も特筆できることがそばの色。新そばで完全な丸抜き全粒粉であれば、そばの色は淡緑色を示す。今年のそばは、淡緑色の「淡」を取って、さらに「深緑色」に近いといってもよいほどの色をしていた。もちろん、黒い果皮はすべて手で取り除き、酸化して若干黄色がかったヌキ実はできるだけ除去した。

このそばの色をもって、07年のそばを超えたと評価しているのではなく、そばにおいて私が最も重要と考えている「香り」がすぐれていたからである。


09栽培  試食(1)

2010-01-04 | '09 SOBA

12月に、とびきり鋭利な舌をもつお二人の方とそばの試食をした。
試食したのは、今シーズン私が栽培したそば(C)と前回(一昨年)(B)とし試食したそば(D)
ちなみに、私の評点は、私が食べた過去最高のそばが10.0、次が7.0。この地域のよいそばが3.0。 

そば(D) 3.0
これは前回試食した(B)のそば。その時の評点は4.8
なぜ試食に取り上げたかと言えば、玄ソバを1年おいたらどのように変化するかを知るためである。保存方法は、ほぼ密封できる袋に脱酸素剤を入れ、冷蔵庫で保管したものである。
玄ソバの質が劣化してはいた。元来あったソバの淡緑色が色あせ、香りが低下し、粘り気がなくなっていた。とはいえ、それらの劣化は予想していたよりも軽微なものだった。だから、この地域でとれる最高のそばに匹敵する3.0という評点というところである。
保存方法をきちんとすれば、収穫時にいいソバを取りさえすれば、間違いなく1年中相当うまいそばが食べられることが確かめられた。


09栽培 栽培のまとめ(2)

2010-01-01 | '09 SOBA

③  うどんこ病が広がった。
過去20年近くの間で、昨年はうどんこ病が最もひどかった。すでに書いたように、少しは対策をしてきたのだが、今年もこの病気が相当拡大した。ここ数年、圃場内の南西のほぼ同じ場所から発生し拡大したのだが、今年は南東の端からスタートした。薬剤(ソバにはどのような薬剤が認可されているか知らないが)は使いたくないので、効果ありとされる穀物酢を散布したが目立った効果は認められなかった。
これからも悩まされそうで何か良い対策を模索せねばならない。

④  台風の被害を受けた。
これに関しては、10月10日に書いた。収穫量が少なかったのはこの台風の影響が大きかったと考えている。

今年の収穫量は3.4kgであった。10a当たり68kgであり、全国平均が80~100kgであるならば相当少ない収穫量である。
収穫個体数が2084あったので1個体が約53粒を実につけたことになる。

問題は、このソバの味である。


09栽培 栽培のまとめ(1)

2009-12-27 | '09 SOBA

今年のソバの生育状況についてまとめておく。
①  草丈が大きくなりすぎた。
今年の草丈は平均的なところで130cm位となった。これは大きすぎる。幾つかの理由が考えられる。
まずは、雨が意外に多い9月に晴れの日が続いた。このため8月下旬から9月までとどまることなく生長した。また、今年は間引きをしたために、個体間の間隔が均等化できた。これにより土中からの栄養分も、太陽エネルギーなどもすべてバランスよく吸収できたと考えられる。従って、いつもより生長が促進された。
来年度は、間引きをするなら、播種時期を2,3日遅らせることも1つの有効な方法ではないかと考えている

②  ヨトウムシの被害を受けた。
9月23日にヨトウムシを2か所で発見した。1か所は少し広がっていたので11個体を引き抜きいた。他の1か所はそれほど広がっていなかったので、葉を20数枚取り除いた。それらはすべて焼却した。それでも被害はかなりあった。
10月に入ってからもう1か所でヨトウムシを見つけたが、これは発見が遅れたので、見つけたムシを補殺するしか方法はなかった。かなり広い範囲で葉が喰い荒された。
今年は3か所でヨトウムシにやられたが、早く見つけることが何よりも大切なことだ。


09栽培  種子の精選

2009-12-16 | '09 SOBA

今年も例年と同じく8月20日に播種した。
特別なことではないが、ソバの質をよくするために次の3つの試みを行った。

① まず、NBさんが半俵ずつ米袋で保管してあるたくさんのものの中から、重量があるものを選んでくれた。(彼が中心となりソバ会の方々と協力し、昨年トン単位で収穫したものを冷蔵保存しておいたものである。)

② 次に、風選を行った。この風選もいい種子が得られるように強力に行った。風を強くし、回数を多く繰り返した。計量はしていないが、初めの量の半分程になった。

③ さらに、間引きをした。(これはソバの実そのもの質をよくしていくことに結び付くかどうかはわからないが・・・。)
今年は栽培面積の50㎡にたいして300gを播種した。これは10aに対して6kgであるから、「播種量は少なく」と考えている私にはかなり多い量である。つまり、たくさん発芽した中から、よいものを残そうとしたのである。

1000粒重を30gとすれば、1万粒播種したことになる。発芽率を7~8割とすれば、発芽数は7~8000である。これを生長の様子を観察しながら、間引きした。収穫個体数が2084であるので、約5分の1に精選することができた。

この方法には、別のメリツトもあった。素人の私にはソバが均一に播けない。多いところと少ないところの差が歴然としてしまう。これを後で調整できたのですこぶる具合がよかった。


09栽培へ(6)  種子の選択

2009-12-10 | '09 SOBA

今年の種子の選択には本当に困った。
私は、ソバは優れた同じ種子を毎年毎年作り続けることが、いいソバにしていく上での最も大切なことと考えている。これが途絶えてしまった。

昨年のソバは収穫した時点で割れが多かったが、今年播種するために取り出すと割れがほとんどのソバに見られた。割れていないものはいわば「しいな」であった。ソバはどのような種子でも発芽するというが、私が昨年栽培したソバを今年の種子として使用しても発芽がままならぬように思われた。それゆえ、昨年の種子の使用を断念した。

今年の種子は,友達のNBさんから譲っていただいた。二人が栽培し続けたソバは20年程前に同じところから入手したソバである。さらに、隔離栽培をしない際には十分交雑する範囲で栽培してきたものである。それゆえ、二人のソバは同質の形質を相当程度持っているものと考えられる。
こうした事情でNBさんのソバを分けていただき、8月に播種した。




09栽培へ(5)  土壌分析結果(3)

2009-12-01 | '09 SOBA

塩基飽和度の値を高めている最大の原因は土壌中にCaが多すぎるからであり、塩基バランスが目標にしている割合からかけ離れているのもCaが多すぎるからである。それゆえ、Caが多すぎるのがいわば「諸悪の元凶」であり、この値を大きく引き下げなければならない。

肥料濃度を示すECの値が、0.14から0.25mS/cmと高い値となってしまった。これは春の野菜を作るために米糠を施肥したことによると思われる。それにしても少しでも多く野菜を収穫したいと思い、肥料を施せばその野菜には十分な肥料量とは思えないにも関わらず、ソバの栽培には過剰になってしまう。吸肥力が強いソバと他の作物との「折り合い」はなかなか難しい。



09栽培へ(4)  土壌分析結果(2)

2009-11-14 | '09 SOBA

土壌分析の結果、問題点となっているのは前年と同様に、塩基飽和度と塩基バランスが良くないことだ。前者は、昨年とほぼ変わらず、後者はMgが少し増えたが相変わらず3つのバランスが良くない。Mgは昨年適正基準量に達っしていなかったので、春先とこの分析前に3kg(60kg/10a)ずつ2回「苦土」を施しておいた。(今年のMg:108mg/100g)

塩基飽和度は相変わらず121%と高い値を示している。塩基飽和度は、CECにCaとMgとKがどの位占めているか表しているので、4つの数値の変化によって変わる。今回、CECが1.9ポイント改善したのにもかかわらず飽和度がほぼ横ばいであったのは、2回苦土を投入したことによる。しかし、Mgが不足していたのだからこれはやむを得ない。さらに、そばを美味くするのにMgは大きな要素の1つとなっているのではないかと、私は推測しているので、苦土を施したことはむしろ適切であったと判断している。

問題なのは、Caが土壌中にあまりにも多いことである。(Ca :883mg/100g)


09栽培へ(3) 土壌分析結果(1)

2009-11-12 | '09 SOBA

今年も東京農大の土壌学研究室に、土の分析を依頼した。昨年と同様に私がソバの栽培の指標としている項目について、今回を含めてどのように推移してきたかを掲載しておく。矢印の順に、06年、08年、09年であり、最後のカッコ内は私の目標値である。

指標1 塩基置換容量(CEC): 34.1→29.3→31.2meq/100g (30台の高い値)
指標2 塩基飽和度: 115→122→121% (60%)
指標3 塩基バランス: Ca:Mg : K = 35:4:1→33:3:1→37:6:1 (5:2:1)
指標4 電気伝導率(EC): 0.11→0.14→0.25 mS/cm (0.10)
指標5 水溶性リン酸: 15.0→18.9→17.2 mg/100g (10.0)

相変わらず大きな問題点を抱えたままだ。


09栽培へ(2) 前作

2009-11-11 | '09 SOBA

09年のソバ栽培前の春から初夏にかけて、ダイコン、ニンジン、ホウレン草を栽培した。

栽培前に施した肥料は、米糠、苦土である。米糠は50㎡に8kg入れた。従って、10a当たり160kg入れたことになる。苦土は『苦土物語』(「有限会社シーサイド」)を3kg施したので、10a当たり60kg投入したことになる。他には何も施していない。

生育は、ホウレン草が普通の出来、ダイコンは少し小ぶり、ニンジンは不出来であった(このニンジンは私が作ってうまく行ったことがない)。3つの作物の中で、ダイコンの出来で土壌中の肥料の過不足を判断すればよいのではないかと考えた。そのダイコンが少し小ぶりだったので、肥料分は「秋ソバ」の栽培に適切な範囲内にあると思われた。

09年の土壌分析結果はどうだったか。