玉川上水 花マップ

玉川上水沿いの主な野草の生育地図を作ります

毎木調査の結果

2019-06-23 17:53:21 | 記録
2019年6月23日に玉川上水駅の上流で毎木調査を実施しました。幅13m長さ100mの中にある樹木の直径を測定しました。この長さに18種が出現しました。
 本数はエゴノキが39本で2位のシュロ10本を大きく引き離していました。


本数


平均直径を見ると、太い方ではエノキが56.3cm、コナラが46.7cmなど、太い木が時々あって、その下にエゴノキが密生しているという感じでした。


直径 cm


 直径から断面積を求めてそれを樹種毎に合計すると、この林でどの樹木が優占しているかの指標になります。私はエノキやコナラの大樹がトップで、エゴノキは本数は多いけど断面積は大したことないと踏んでいたのですが、外れました。トップがエゴノキでエノキ、コナラ以上でした。


断面積合計 cm^2


何事も直感で決めつけてはいけないということです。

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2019年6月23日の観察会

2019-06-23 07:33:34 | 記録
少し前の天気予報では「雨」でしたが、前日では「くもり」になりましたので、なんとか実施できそうでした。玉川上水駅に集まりました。ちょうど夏至です。この時期は春の花は終わり、夏の花はまだなので、花が少ない時期です。そのこともあり、樹木調査をしました。これには、去年の台風24号で倒れた樹木の内訳について、現状の樹木の内訳と比較したいという事情もあります。それで歩道の幅10mほどと、玉川上水沿いの柵の外側2mほどの範囲に生えている樹木の太さを測定することにしました。


調べ方を説明する

 まず、巻き尺を張り、それによってスタート点からの樹木の距離をとります。樹木の名前を確認してから太さを測定してもらいました。柵内には入れないので、塩ビパイプを加工した測定具を作り、これで測定しました。この道具を持った関野先生は頑張ってたくさん測定してくれました。


樹木の太さを測定する関野先生

 時々、樹種がわからず双眼鏡で確認することもありました。


双眼鏡で樹種を確認する

 ヤマモミジとトウカエデがあったのでカエデの説明をしました。
「カエデはカエルのてで、これには紅葉するという意味ではありません。ヤマモミジのように丸い葉っぱが手の指のように切れ込んでいます。これがカエデの代表ですが、秋に紅葉することが印象的で、日本人はカエデ狩りと言って楽しみました。紅葉することを<もみじする>と言います。モミジする葉の代表がカエデなので、カエデとモミジが一体化して、一種の混乱が生じました。それで、5枚に分かれていないのにカエデという矛盾が生じました。ハウチワカエデはカエルの手にしては指が多すぎるし、カエデなのに切れ込みがないヒトツバカエデとかチドリノキのようなものもあります。日本はカエデの種類の多い国です」



 巻尺が30mだったので、これを3回とあと10mののべ100mのデータが取れました。一番多かったのはエゴノキで、マユミがそれに次ぎました。これらはあまり太くはなりません。これに対して本数は少ないですが、ケヤキ、コナラ、クヌギ、エノキなどは大木があり、あるエノキは直径が122cmもありました。それでその木の前で記念撮影をしました。


大エノキの前で記念撮影

エゴノキにはたくさんの実がなっていました。
「エゴノキの実は果皮に毒があるので、こを集めて袋に入れて川に入れると、魚が死んで浮くそうです。人には無害なので食べたんですね。小さい種子をたくさん作る樹木あれば、大きい果実を少し作る樹木もあります。ドングリみたいに大きい果実をたくさん作る木は豊作のあとしばらく休んだりします。ところがエゴノキは大きな果実を大量に、しかも毎年作ります。どうなってるんだろうと思います。」



「これタチツボスミレで4月頃に咲きます。だから果実を作って、果実が裂開して茶色の果実の跡が残っています。ところがそれとは明らかに別の果実がまだ緑色の状態でついています。これは花を咲かせないでできた果実で、<閉鎖花>と言います。普通の花は花を開くので<開放花>と言います。開放花は昆虫によって別の花の花粉を受粉します。それによってDNAの多様性が生まれます。それに対して閉鎖花は遺伝子は親のものと全く同じです。なぜ2つの花があるかというと、解放花は、例えば天候不順で昆虫が活動しないなどのトラブルがあると受粉できません。そういうリスクを回避するために閉鎖花を作ると考えられています。では閉鎖花だけを作れば安全ではないかと思いますが、それでは遺伝子多様性が無くなります。そのために、二刀流が発達したと考えられています。スミレだけでなくタデなどでも見られます」


タチツボスミレの閉鎖花


閉鎖花を観察する

 花は少なかったですが、ホタルブクロなどを見ました。


ホタルブクロ


ネムノキ


アメリカオニアザミ

 いいデータが取れたので整理できたらまた報告します。→ こちら
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春の号 準備

2019-06-22 20:34:53 | 春の花
作成中

はじめに
景観

アマナ
ウグイスカグラ
エゴノキ
オオアラセイトウ
オオイヌノフグリ
カラスノエンドウ
キンラン、ギンラン
クサボケ
コブシ
シュンラン
スイカズラ
スミレ類
セイヨウタンポポ
セリバヒエンソウ
タチイヌノフグリ -> オオイヌノフグリ
タチツボスミレ
チゴユリ・ホウチャクソウ
ナガミヒナゲシ
ナズナ
ナワシロイチゴ
ニリンソウ
ヒメウズ
フデリンドウ
フラサバソウ -> オオイヌノフグリ
ヘビイチゴ
ホウチャクソウ -> チゴユリ
ミツバツチグリ -> ヘビイチゴ

ミニ図鑑 あーか行 
 さーな行
 はーわ行

移植 - 野草の言葉を聴く - こちら
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景観

2019-06-22 20:25:29 | 春の花
数字は花マップで使っている端番号で上流から下流に並んでいる


羽村


立川、28 一番橋


立川、33 新家橋


立川、33 新家橋


小平、49 鷹の橋 小平監視所で水量が減る


小平、49 鷹の橋 小平では緑地の幅が広い場所が多い


小平、50 久右衛門橋


小金井、66 平右衛門橋 小金井ではサクラ以外は伐採されている


小金井、71 くぬぎ橋


井の頭、三鷹市、87 松影橋


三鷹市、93 牟礼橋 すぐ近くに繁華な市街地があるとは思えないのどかな景色


三鷹市 93 牟礼橋のケヤキ 2019年6月に開通した「放射第5号線」により玉川上水の植生が失われ、この大ケヤキだけが残された



杉並区、94 兵庫橋
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はじめに

2019-06-22 20:10:49 | 春の花
はじめに

玉川上水を空から写した写真を見ると、本当に細い緑の線が灰色の市街地に続いているのがわかります。玉川上水は江戸時代の初めに江戸市中の人々の飲料水を確保するために作られた人工の水路で、水道が完備するまでは上水道として使われていました。しかし、今ではその機能を終え、多くの人が散歩やジョギングを楽しむ、いこいの場所として使われています。多摩川の水を取る羽村から立川、小平までは今でも上水道に使う水が流れていますが、小平で水がとられるので水は急に少なくなります。そして、三鷹を経て杉並までのおよそ30キロを流れ、その先の13キロは暗渠(あんきょ)化され、地面に埋められています。
 玉川上水の多くはコナラやクヌギの林で、そこにチゴユリやホウチャクソウのような林の下に生える野草がみられます。東京の市街地にこのような林の野草が残っているのはすばらしいことだと思います。一方、木が少ない場所もあり、そのような場所にはススキやノカンゾウなど明るい場所に生える野草がみられます。このような野草も日本中で少なくなっているので、これが市街地にあるのは驚くべきことです。また玉川上水は東西には長いのですが、林の幅が狭いので、林の縁の部分にはセンニンソウやノブドウなどのつる植物がよくみられますし、玉川上水にそって走っている道路の近くにはオオバコやセイヨウタンポポなども生えています。このように林の状態によって下に生える植物は変化します。また、昔から玉川上水を見てきた人に話を聞くと、以前はもっと明るく、オミナエシやホタルブクロなどが多かったそうです。
 このように玉川上水の植物はつねに変化しています。そこで私たちは現在の玉川上水の植物の分布を記録しておきたいと考えました。すべての植物をとりあげるわけにはいかないので、目立ちやすく、区別がしやすい植物をとりあげ、多人数で分担して30キロの範囲を毎月歩いて分布を明らかにしました。こうしてできたのがこの「花マップ」です。
 私たちは2017年4月から、玉川上水沿いに自分の歩く範囲を決めて分担して野草が開花しているのを確認し、写真撮影をし、データとして残しました。区画は30キロの範囲内にある97の橋を区切りとし、橋と橋の間に咲いていた花を記録しました。その植物があっても花が咲いていなければ記録はしていませんし、見落としもないとはいえません。しかしそこに花があったことが正確に記録されたということに大きな意味があります。
この冊子では3月から5月までの「春の花」をとりあげました。代表的な22種とスミレ類は花の特徴の記述や玉川上水での分布マップ、エッセーなどを載せました。ただし春の野草には都区内では絶滅危惧となったものもあり、それらは保護上やむを得ず分布マップを控えましたことをご了解ください。裏表紙と++ページには玉川上水で見られる春の花を載せました。
 玉川上水に豊かな野草があることは知っていましたが、実際に調べてみて、改めてその豊富さに驚くことがありました。そしてこの玉川上水を今日まで残してくれた先人の精神を引き継がなければならないと思いました。語ることのない野草の花はそのことを私たちに教えてくれたように思います。
これを見て、玉川上水の野草の豊富さに気づいていただければ幸いです。そして、この冊子を持って玉川上水を散策していただければさらにうれしいことです。


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