玉川上水 花マップ

玉川上水沿いの主な野草の生育地図を作ります

2019年6月23日の観察会

2019-06-23 07:33:34 | 記録
少し前の天気予報では「雨」でしたが、前日では「くもり」になりましたので、なんとか実施できそうでした。玉川上水駅に集まりました。ちょうど夏至です。この時期は春の花は終わり、夏の花はまだなので、花が少ない時期です。そのこともあり、樹木調査をしました。これには、去年の台風24号で倒れた樹木の内訳について、現状の樹木の内訳と比較したいという事情もあります。それで歩道の幅10mほどと、玉川上水沿いの柵の外側2mほどの範囲に生えている樹木の太さを測定することにしました。


調べ方を説明する

 まず、巻き尺を張り、それによってスタート点からの樹木の距離をとります。樹木の名前を確認してから太さを測定してもらいました。柵内には入れないので、塩ビパイプを加工した測定具を作り、これで測定しました。この道具を持った関野先生は頑張ってたくさん測定してくれました。


樹木の太さを測定する関野先生

 時々、樹種がわからず双眼鏡で確認することもありました。


双眼鏡で樹種を確認する

 ヤマモミジとトウカエデがあったのでカエデの説明をしました。
「カエデはカエルのてで、これには紅葉するという意味ではありません。ヤマモミジのように丸い葉っぱが手の指のように切れ込んでいます。これがカエデの代表ですが、秋に紅葉することが印象的で、日本人はカエデ狩りと言って楽しみました。紅葉することを<もみじする>と言います。モミジする葉の代表がカエデなので、カエデとモミジが一体化して、一種の混乱が生じました。それで、5枚に分かれていないのにカエデという矛盾が生じました。ハウチワカエデはカエルの手にしては指が多すぎるし、カエデなのに切れ込みがないヒトツバカエデとかチドリノキのようなものもあります。日本はカエデの種類の多い国です」



 巻尺が30mだったので、これを3回とあと10mののべ100mのデータが取れました。一番多かったのはエゴノキで、マユミがそれに次ぎました。これらはあまり太くはなりません。これに対して本数は少ないですが、ケヤキ、コナラ、クヌギ、エノキなどは大木があり、あるエノキは直径が122cmもありました。それでその木の前で記念撮影をしました。


大エノキの前で記念撮影

エゴノキにはたくさんの実がなっていました。
「エゴノキの実は果皮に毒があるので、こを集めて袋に入れて川に入れると、魚が死んで浮くそうです。人には無害なので食べたんですね。小さい種子をたくさん作る樹木あれば、大きい果実を少し作る樹木もあります。ドングリみたいに大きい果実をたくさん作る木は豊作のあとしばらく休んだりします。ところがエゴノキは大きな果実を大量に、しかも毎年作ります。どうなってるんだろうと思います。」



「これタチツボスミレで4月頃に咲きます。だから果実を作って、果実が裂開して茶色の果実の跡が残っています。ところがそれとは明らかに別の果実がまだ緑色の状態でついています。これは花を咲かせないでできた果実で、<閉鎖花>と言います。普通の花は花を開くので<開放花>と言います。開放花は昆虫によって別の花の花粉を受粉します。それによってDNAの多様性が生まれます。それに対して閉鎖花は遺伝子は親のものと全く同じです。なぜ2つの花があるかというと、解放花は、例えば天候不順で昆虫が活動しないなどのトラブルがあると受粉できません。そういうリスクを回避するために閉鎖花を作ると考えられています。では閉鎖花だけを作れば安全ではないかと思いますが、それでは遺伝子多様性が無くなります。そのために、二刀流が発達したと考えられています。スミレだけでなくタデなどでも見られます」


タチツボスミレの閉鎖花


閉鎖花を観察する

 花は少なかったですが、ホタルブクロなどを見ました。


ホタルブクロ


ネムノキ


アメリカオニアザミ

 いいデータが取れたので整理できたらまた報告します。→ こちら
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