玉川上水 花マップ

玉川上水沿いの主な野草の生育地図を作ります

シンポジウム チラシ

2018-01-08 20:09:08 | 記録
2017.11.27
シンポジウムのチラシができました。



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シンポジウム ギャラリー

2018-01-08 20:07:42 | 記録
2017.12.17
1月8日に「玉川上水花マップって何?」というシンポジウムをします。玉川上水花マップはチームを作って玉川上水の主要な花の分布調査をする活動で、その紹介をするシンポジウムです。これにリンクして、植物のスケッチをしていましたが、それをパネルにして会場になる小平市中央公民館に掲示しました。近くにお住いの方はシンポジウムも歓迎ですが、スケッチはそのときまで継続展示していますので、どうぞ。






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シンポジウム参加者の感想

2018-01-08 19:39:20 | 記録

以下にアンケートに寄せられた感想の中から一部を紹介します。
 花マップの冊子がよかったという声がありました。


- とても興味深いお話を聞かせていただき楽しかったです。玉川上水をウォーキングしていますが、季節ごとにいろいろのお花が咲き、楽しんでいました。とても苦労されてこのマップが完成したのですね。上水を歩くときに活用させていただきます。ありがとうございました。

- とても素敵なマップができて驚きました。楽しいですし、玉川上水の野草を身近に感じることができます。それぞれの花が印象的に写されていて、その美しさを発見することができます。マップにピンを考えたのはよかったと思います。春や秋の花マップに期待しています。

- 玉川上水のそばに住んでいるのに、草花の名も知らず、今まで残念でしたが、ようやく学ばせていただき、ありがとうございました。高速道路の下になって絶滅した動植物のことも理解しました。たくさんの方の調査は貴重で、その努力に頭が下がります。

- 調査報告というと堅苦しいという感じをもっていましたが、花マップは写真とイラスト、文章で構成され、一般の方々にも非常に親しめるもので、すばらしいと思います。

- 地道な活動が花マップに結実した努力を多としたい。

 シンポジウムそのものについて
- 昨日は楽しい講演会をありがとうございました。大変な盛況に、玉川上水と花の組み合わせはあんなに人を惹きつけるのかと驚きました。

- すてきな花マップの成果もさることながら、何より、高槻先生のフィロソフィや人々のネットワ-クの素晴らしさが感じられ、感激いたしました。

 私の話と花のスケッチについての言及もありました。

- 高槻先生の話は全体の組み立てが非常によく、聞く側を巧みに魅きつけていた。この優れたリーダーを得て、グループの活動がたいへん豊かな成果をあげつつあると感じた。その表れが今日の会の盛況ぶりにつながっているのだろう。メンバーとリーダー、メンバー同士、自然と人間との関係などとてもよいコンビネーションができている。

- 玉川上水が武蔵野の林、茅場からのレフュージアになっているとの指摘に驚き、玉川上水がそんな役割を果たしていたのかと思った。

- 事前に玉川上水の本を読みました。高槻さんの知識や探究心だけでなく、所々のジョークと世に対する思い、ズバッという物言いがとてもよく、講演会が聞けてよかったです。スケッチも調査も時間のかかることで、私も地道に保育でであう自然をよく見て、どうしたらよいのかを考えながら歩いてゆきたいと思います(保育士)。

- 高槻先生は、哺乳類の研究者のイメ-ジがあったので、こんな身近での活動に接し、親近感がわきました(元高校教諭)。

- 高槻先生のスケッチ、花への愛があってよかった。

- 高槻様の植物画は本当にステキだと思いました。葉の形や葉脈、葉のつき方など特徴を捉えていて一目で何の植物かがわかるのはやはり研究をされる目線があるからなのでしょうか。なにより好きが伝わる絵だと思いました。
この感想を寄せられた方から自作の絵葉書を頂戴しました。ボタニカルアートというのとは違い、群落全体をきわめて緻密に描写したすばらしいものでした。短い会話でしたが、植物好き、絵画好きの心が通いました。

- 会場に来る前に1階の絵を見てきました。どなたが描かれたのかなと思いながら、絵の繊細さが、あとで知った高槻先生の風貌とギャップがあっておもしろかった。絵に添えられた横文字の美しさに感動した。すばらしい活動です。
これが一番おかしかった。この意味は「繊細なスケッチから、痩せた神経質な人かと思っていたら、意外とがっちりしたおだやかな人だった」のではなく、「繊細なスケッチから知的でかっこいい人だと思っていたら、どこにでもいそうなタヌキおやじだった」ととるべきですな。これには「反省会」でみんなで大笑いしましたが、私としては実はスケッチの下に添えた学名の文字にかなりこだわっていたので(たとえばこちら)、「誰か一人くらいそのことに気づいてくれる人がいるかもしれない」と思っていました。このユーモラスな感想を書いた人が鋭くそのことを指摘しておられて、その「ギャップがおもしろかった」。
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シンポジウムの記録

2018-01-08 19:37:14 | 記録
シンポジウム「玉川上水花マップって何?」の記録

高槻成紀

 2018年1月8日に小平市中央公民館で「玉川上水花マップって何?」と題してシンポジウムを開催しました。14時からの開催なので13時には集まりました。すでに10人ほどが来ておられ、スタッフが受付、会場準備などテキパキと動いていました。私はスライドの準備などをして、石井誠治さん、関野吉晴先生と談笑しながら待ちました。13時半くらいで席の8割がたが着席しておられ、予想より多いなと思っていましたが、14時近くになると満員になってしまいました。全員に「椅子をもって少し前に移動してください」というコールがあり、後ろのスペースが広くなったので、追加の椅子が入りましたが、それでも開始前にさらに外に10人くらいいるということで、一部の人には立ち見をしてもらうことになりました。


会場のようす


 予定時間の14時より少し遅れて始まり、はじめにリーさんが経緯などを紹介し、関野先生に引き継ぎました。
 関野先生は玉川上水での観察会がはじまったときの印象を話され、タヌキなど動物の側に立つ視線の重要さや、生き物のつながりを理解することの大切さを指摘し、熱帯林の特徴やバロコロラドの頂点捕食者の絶滅が思いがけない動物の絶滅を生んだ例を紹介しながら、地球永住計画という大きなテーマも花マップのような足元を見つめる活動が不可欠なのだという話しをされました。


講演する関野先生


 私は45分の時間をもらい、花マップを作ることになった経緯、実際に何をしたか、冊子を作るときにどういう大変さがあったか、そしてできたときの喜びなどを話しました。私がデータを示して、100ほどの橋について200近い花の記録がとれ、上位40種の表を示したとき、どよめきのような声が聞こえました。


データの例


最後に玉川上水の保全にふれ、E.ウィルソンの「アマゾンの熱帯林を伐採することは料理をするのにルネサンスの絵画を燃やすことと同じだ」という言葉を紹介し、玉川上水の破壊との対比を話しました。そのとき会場の人が深くうなずいておられるのがわかりました。私の講演の内容は こちら

 私の話についで、石井さんが上北沢で生まれ、子供の頃は田んぼがあってカエルの声を聞いた思い出、いまファッショナブルな街とされる下北沢もそのつながりであったこと、現在の暗渠が始まる浅間橋のこと、昭和初期の玉川上水の絵を紹介しながら、ヤマザクラの遺伝的多様性とソメイヨシノの多様性のなさ、当時植えられたソメイヨシノが2017年の台風で枯れたことなど話をされました。


講演する石井さん


 関野先生の話も石井さんの話も10分だったので、アンケートには「もっと聞きたかった」という声がありました。

 一休みしてから、参加者が壇上に登り、ひとことずつ感想などを話しました。最初に豊口さんが、会場に来るときに下車駅をまちがえたことと、花マップ調査で確認のために行ったり来たりしたことを重ねて話し、花マップ活動を通じて植物に詳しくなれたことの喜びを話しました。
 水口さんは花の季節変化と道路建設反対運動の話をしました。


水口さん


 足達さんは花マップ活動をするようになって植物を見る目が変わったことと、息子さんが玉川上水の映像作品を作った話をしました。


足達さん


松山さんは事務方としてのたいへんさや植物のビギナーとしての体験、また小学校(小平四小)での玉川上水の教育のことを話しました。


松山さん


小口さんは自然保護関係の体験とのつながりで地道な活動が水道局の理解を得られたことなどの話をしました。


小口さん


 安河内さんは横浜から引っ越してきて緑の豊かさによろこんだこと、息子さんが自然の中で遊べるすばらしさ、それもよかったが、花マップに参加して植物を深く知ることができるようになったこと、小金井の桜とほかの植物のあり方、玉川上水の連続性の重要性などについて話しました。


安河内さん


 石井さんは知っていた玉川上水を分担することになって改めてじっくり見ることができてよかったこと、メンバーが分担することで充実した情報が集まったことの価値について話しました。


石井さん


 松岡さんはデザイナーとしての立場から今回の活動に参加したことのよろこびを話しました。


松岡さん


加藤さんは花の撮影のコツやポイントについて体験からの話をされました。


花の撮影の話をする加藤さん(左)と安河内さん


 私は花マップ活動をすることで、たとえば「ウグイスカグラの名前がわかった」で終わってしまう観察会とは違い、同じ種の花ではなく、同じ個体の花をみて、先月は花だったのが、今月は果実になったというレベルで観察することの楽しさについて話しました。また発表者の話を聞きながら、例えば加藤さんの撮影技術、松岡さんのデザイン力、(調子にのって)高槻のスケッチなどを考えると、違う個性の絶妙の組み合わせがあって花マップができたこと、そのことを可能にしたのはリーさんの人柄だったと思うということを言いました。もうひとつは、今の日本の社会の閉塞感、物質的に豊かになったのは事実だが、そうであるのに誰も確かな手応えを持てない感覚があること、それを思うとき、具体的な場所で、具体的に花が咲いていることを記録することには確かな手応えがあるということを言いました。


登壇した参加者


 最後にリーさんが花マップの活動が始まったときはどうなるか、どういう意味があるかよくわからなかったが、実際に始めてその意味がわかったこと、多くの人が協力してできたことのすばらしさ、自然に活動が広がってきたことなどを話しました。


まとめの話をするリーさん

 ここでだいたい16時になり、予定の時間になったので、中締めをし、一部席を立つ人もおられましたが、ほとんどの人は残り、質問がありました。
 2時間ほどのあいだ、参加者は非常に熱心に聞いておられました。私は、参加者は多くても数十人と思っていたので、200人も来られたことに驚きました。それは、それだけ多くの人が玉川上水に関心を持っておられるということだと思います。同時に、自然観察のやり方としても、花マップというアプローチとその産物としての冊子にも興味があったのだと思います。そのことは多くの人が参加されただけことからだけでなく、文字通り静聴されたことから感じました。
 玉川上水の本は完売し、1階に貼っていた花のパネルはあっという間になくなったそうです。それに、「私も花マップ調査に参加したい」という人が10人ほどおられ、アンケートに参加希望を書いた人を合わせると30名に達しました。
 ささやかなグループが開催したシンポジウムとしてはすばらしいものになったと思います。

参加者からの感想はこちら
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講演内容

2018-01-08 16:35:14 | 記録
シンポジウムでの講演「玉川上水花マップって何?」



高槻成紀


はじめに
 私は2年前に大学を定年退職しましたが、小平に住んでいるので、それ以前から玉川上水に関心をもっていました。ただ現役時代は忙しくて、横目に見ながら「辞めたら調べるぞ」と思っていました。晴れてそれができるようになり、さて何から調べようかと思っていたときに、リーさんに声をかけられ、関野吉晴先生が推進しておられる地球永住計画の中に玉川上水の生き物調査を位置付けてほしいと頼まれました。それで観察会をするなどしてきましたが、花マップはそうした活動から生まれたものです。今日はその背景や実際におこなってきたことを説明します。

玉川上水とは
 玉川上水は1653年に8ヶ月という短期間に突貫工事で作られた運河です。


玉川上水(砂川)


 この時代は関ヶ原の戦いが終わって半世紀、徳川家が江戸に居を構えてその体制を確立した時代といえます。戦国の諸藩は徳川家に忠誠を示すために競って江戸城の改築、拡大をおこないました。また1635年に武家諸法度ができ、参勤交代が義務付けられます。これにより江戸の人口は増え始めました。正確な記録はありませんが、ロドリゴというスペイン宣教師は1609年の江戸の人口を15万人くらいだと推定しています。また諸資料をもとに1636年には25万人ほどであったという推定もおこなわれています。18世紀中葉には100万人を超える世界最大の都市になりますから、1650年くらいには30-40万人ほどであったと推定されます。これほどの人口になると水の問題が懸念されますから、具体策として計画されたのが玉川上水工事だということになります。
 こうして羽村から今の新宿区の四谷まで43キロメートルの運河が完成されました。グーグルアースで見ると灰色の宅地の中に心もとないほどの細い緑の線として見えるのが玉川上水です。しかし、かつては緑一面に覆われていたはずです。例えば、1929年に麹町からひっこしてきた津田塾大学の写真がありますが、それを見ると、キャンパスの周りには家が一軒もなく、畑と雑木林が広がっているのがわかります。これが1960年代になって人口増加によって失われて行きました。


多摩川(青)と玉川上水(緑)


玉川上水の観察
 玉川上水を観察しているとヒトリシズカ、ニリンソウ、アマナなど、山の森林に生える野草があるのに驚きます。これを「山の花」としましょう。これらの中には絶滅危惧種もあり、保護されるべき野草です。一方、ノカンゾウ、「ノビル、ツリガネニンジンなどに代表されるような明るい場所に生える野草、「のの花」もあります。玉川上水には山の花と野の花の両方があることで高い多様性を保っています。しかもそれが市街地に囲まれ、交通量の多い道路沿いに残っているのです。
 私は観察会を通じてたくさんの人がいることでできることを体験しました。たとえば訪花昆虫の調査です。花を決めて、その前に10分間立って、昆虫がきたら記録をとってもらいました。一人ではとれるデータは限られますが、たくさんの人に手伝ってもらうとたくさんのデータがとれ、それをまとめると、「皿型の花にはハチ・アブが、筒型の花にはチョウ・ハチがよく訪問する」という傾向がはっきりとわかりました。


玉川上水での観察会でとった訪花昆虫のデータ。花の形と実際に訪問した昆虫に対応関係があった。

そういう経験から、多人数ならではの作業をしたいと思いました。
 かつての玉川上水は上水、つまり生活用水の運河として水質保全のために土手の植生の下刈りを盛んにおこなっていました。それにより小金井の桜を除けば木はあまりなかったといわれています。しかし戦後、上水の機能を終えた玉川上水は市民の憩いの場となり、コナラ、ケヤキ、クヌギなどの木が育って緑陰を作るようになりました。そうなると野の花は消滅していきます。
 このように野草は時々刻々変化するものですから、玉川上水の野草の今を記録しておくことには大きな意味があると考え、これを人数をかけて記録したいと思いました。以上が花マップをおこなうことになった背景です。

実際に何をしたか
 そこで「ちむくい」(小さな虫や草やいきものたちを支える会)を中心に協力者に声をかけて2017年の春から作業を始めることにしました。そのため、「玉川上水花マップ」というブログを立ち上げ、そこにマニュアルを書き、毎月「今月の花」を決めて、その花を見たら、橋の名前、撮影し、記録してもらいました。


 毎月の花(4月分)


 歩く


 撮影する


 玉川上水には約100の橋があるので、橋と橋のあいだをひとつの区画とし、そこにあることを確認したら記録します。1区画に複数あっても「あり」とし、同じ花でも隣の区画にあれば再び「あり」と記録します。月が変わればまた別の花を記録しました。こうして12月までデータがとれました。データは毎月月末に私のところに電送され、それをエクセルに入力しました。

何がわかったか 
 これにより約100の区画について200種近くの花の「あり」「なし」が記録されました。もちろん「ないことの証明」はできません。花がなくてもその植物があることはしばしばあります。しかしこの記録は「確かに花があり、それが撮影された証拠」ですから、あったことは記録として残されたわけで、それだけでも十分な価値があります。
 このことは自然観察会がしばしば花や鳥の名前を覚えれば終わりとされているのとまったく違うレベルの情報です。2017年の夏に玉川上水の100ほどの区画に確かにこの花が咲いていたということが20,000のセルに記録されたのです。


データの例


 私はこの貴重なデータの重みを感じ、万一パソコンにトラブルが起きても大丈夫なように、必ず外付けのハードディスクにも残すようにしました。

冊子を作ろう
 こうして蓄積されたデータを冊子の形で残したいと思いました。幸いセブンイレブンの助成金が得られたので、それを使わせてもらえることになりました。

 これを作るときに考えたのは「花マップ」というのだから最重要なのは分布を地図上に載せるということです。これにより、玉川上水の場所により多い、少ないが一目でわかります。



 ただし、ひとつお断りしなければならないのは、オカトラノオとヤマユリだけは分布が限定的であり、盗掘の恐れがないとはいえないので、断りをつけたうえで、敢えてマップを載せなかったということです。
 冊子には花の分布だけではなく、花の解説も載せたいと思い、分類、名前の由来、特徴などを記述し、写真を添えるページを作りました。そしてそれの見開きの右ページに分布図を載せました。そして、そのページにオリジナリティをもたせたいと思い、2つの工夫をしました、ひとつはスケッチを、もうひとつは記録に参加した人のエッセーを載せたことです。

 私は絵が好きですが、植物のスケッチはしたことがありませんでした。それでも、植物は群落記載をするので、花がないときでも葉や茎で名前がわからないといけません。そういう訓練を何十年もしてきましたから、花以外の特徴もわかります。それがスケッチに役立ちました。描いてみてわかったのは、小さい花や葉がたくさんある植物はていねいに描いていけばわりあいうまく描けるということでした。逆に花が大きくて少なく、大きな葉をつけるような植物は形を正確に描けないと似たものにならないのでむずかしさがありました。それから、白い紙に白い花を描くのもむずかしく、白い花に薄い色をつけるなどの工夫が必要でした。それでも楽しみながら描けました。


オオイヌノフグリ 小さい花や葉がたくさんある野草は丁寧に描けばそれらしくなる


センニンソウ 実は白い花を白い紙に描くのはむずかしい。実際には花に黒い線はないのに、あえてそれを描き、影をつけた。


スミレ類 葉の重なりなどを工夫した


ハハコグサ


 エッセーは参加した人がその花について感じたことをひとこと書いてもらいました。それにより、世にたくさんある写真と解説のガイドブックとはまったく違い、「私たちにしかできないオリジナル」なものができました。


エッセーの例

 冊子の作成にはデザイナーの松岡さんの貢献が大きかったことも忘れてはなりません。

考えたこと
 こうして花マップを作る過程で、改めて玉川上水の連続性の意味や、植物相の豊富さを認識しました。また、スミレやツリガネニンジン、ホタルブクロなどに代表されるような「きれいな花」だけでなく、ヤブカラシやヘクソカズラなどの「雑草」とされてしまうような花が、よく見ると実に美しいことに気づくことができました。
 もうひとつは玉川上水の保全ということです。こうして玉川上水の価値を改めて認識すると、現実に進行している道路建設などにより玉川上水が劣化してゆくことが気になります。私たちはこの、粛々と育ち、花をつけ、果実を実らせる野草が存在すること、そのものを尊重する気持ちを花マップで表現したいと思いました。

 玉川上水を空から見ると灰色の住宅地に細い緑の糸のように続いています。

空から見た玉川上水(小平付近)


 その最下流部は杉並の浅間橋です。そこから下流は暗渠になりました。1960年代のことです。この時代は戦後の脱却をはかろうと、高度経済成長に邁進し、「古い東京」を改め自然は破壊されました。しかしその時代の流れの中にあって、そこより上流には緑が残されました。そのことの意味を考えて、玉川上水をよい形で次世代に引き継ぐ責務があると思います。


浅間橋の空中写真と、景観写真


 そのことをE.ウィルソンがアマゾンの熱帯雨林を伐採することについて語った「この行いは、経済的な見地からすれば正当化されるのかもしれない。しかし、料理を作るための焚き付けとして、ルネサンス時代の絵画を使うのに似た行為であることに変わりはないのだ。」ということばを紹介して発表を締めくくりました。

シンポジウムのようすは こちら
参加者からの感想は こちら
シンポジウムの動画は「ちむくい」で検索ください。

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