Fis-dur日記帳

博士課程院生Fis-durの日常

疲れます

2005年02月22日 | Weblog
末期癌の患者さんがいよいよ亡くなりそうな雰囲気です。
家族や親戚が次々現れ、関係は良好なのですがこちらは疲れます。
相手の話を受けとめ、かつ心肺停止時の蘇生をどうするか相談したり、
病状について説明したりしなきゃいけません。

指導医は「もう蘇生しなくていーんじゃない?」と言うだけ、
看護婦さんは「先生どうするのか決めといて下さい」と判断を人任せ、
家族のほうからは少しは蘇生してくれと言われて、
やっぱりそーですよねとギリギリのラインを設定して受諾せざるを得なかったり。
いざ亡くなった時に、悪い印象を抱いた親戚にイチャモンでもつけられたらかないませんから。
しかしながらもし夜間に心臓が止まったら、
人数の少ない看護婦や病棟当直の先生が蘇生することもあるわけだから、
あまり長い時間心肺蘇生をやっておいてくれと言うのも無理なのです。
蘇生によって救命できる患者なら話は別です。
しかし徐々に衰弱してきている末期癌の患者なので、
たとえ蘇生できてもその日か翌日には結局亡くなるでしょう。
無駄な蘇生努力は虚しい、しかし家族の気持ちも満足させないといけない、
あるいはまた医療スタッフ一同頑張ったように見せないといけない・・・板挟みです。

病院への風当たりがきつくなっているので、嫌な言い方だけど
こちらも誠実な医師に見られるよう振舞わないといけなかったりします。
「あの医者ちゃんと治療したのか?」とか疑念を抱かれてはいけないわけですね。
よくお見舞いにくる家族の人は、普段のこちらの努力をちゃんと理解してくれてるのだけど、
「ごく稀にしかこない親戚」、この人たちは大変危険な存在です。
昔のお医者さんは良かったんだろーなぁ・・・と思います。
我々の時代になると、常に訴訟されないことを頭の片隅におかなきゃいけないので。
加えて昨晩は当直で、夜中の3時~4時に起こされたので、ほぼ36時間連続勤務でした。

前にも書いた気がするけど「研修医版 雨ニモ負ケズ」を作ってみるか。

雨にも負けず
風にも負けず
24時間当直にも10時間連続手術にも負けぬ
丈夫なからだをもち
金銭慾はなく(どうせ満たされないから・・・)
看護婦の言動にも決して怒らず(疲れると怒る元気もなくなるけど・・・)
いつも静かに笑っている

一日に不規則な三食を食べ
あらゆることを
自分を勘定に入れずに
よく見聞きし分かり
そして忘れず

病院の近くの小さなマンションの一室に暮らしては
東に病気の子供あれば
行って看病してやり
西に疲れた母あれば
行って少し休まれてはいかがですかと言い
南に死にそうな人あれば
行って救命措置を施してやり
北に喧嘩や訴訟があれば
わが身にふりかかったらどうしようかと思い

日照りの時を病棟の窓越しに眺め、
寒さの夏も冷房完備の院内では感知せず
医師・看護婦・患者から内心、未熟者と思われ
時々褒められ
時々苦にもされ
そういうものに
わたしは
なりたい

・・・・・わけないだろ。普通。