Fis-dur日記帳

博士課程院生Fis-durの日常

ヒマな医者

2014年06月29日 | Weblog
看護師→医師に転職したある人が言うに、
看護師時代は医師をヒマだと思っていたと。

そういえば薬剤師→医師に転職した人で
すごく忙しそうにバリバリ働いていた人も知っています。
バリバリ忙いタイプの医師に憧れたのかも知れません。


外科系の場合は上手な手術が大切な仕事ですが、
内科系の場合は「個別性」と「判断する」ことが
とりわけ重要になります。

体が弱って、様々な病気を抱えたお年寄りが多いので
必然的に患者ごとに注意を払わなくてはいけません。
外来を定期受診する慢性疾患の方も多いので、
話しやすく相談に乗ってくれる主治医であるほうが良いでしょう。
病気を治療しながら海外赴任したりする人も時々いますが
うまく治療をアレンジし、病気の経過を見立てる時には
専門家としての経験と知識が物を言います。
大丈夫ですよ、と本当に自信をもって告げられるかどうかです。
これらは個別性の大切さの一例です。
標準治療やガイドラインをしっかりとわきまえた上で
最終的に目の前の患者一人一人に最適なプランを考えます。

判断することに対する報酬、という考え方は
長らく日本で軽視されてきたとされていますが、
多様なサービス業が出現したこともあり
最近少し変わってきたでしょうか。
けっこう細々とデータを見て、色んな事の優先順位をつけ、
受診や検査の間隔なり、処方内容なりをよく考えて、
決めてるんですけどね。

でもまあ座って頭の中で考えている時間が多いわけで、
ヒマそうに見えるかも知れませんね(笑)

好きな業務、嫌いな業務

2014年06月14日 | Weblog
週刊誌に掲載されていた表題の特集で、
色んな職種の人が取材されていました。

私の好きな業務・嫌いな業務は以下のとおり。
完全に個人的なもので、好みが全く反対という医師も沢山いると思います。

<好きな業務(臨床医)>
・初診患者の病歴聴取(発症・家族歴etc.から受診までの経過)
 人それぞれの価値観やドラマが垣間見れて面白い。
・診断の進め方を考える
 考えられる疾患それぞれの存在確率を想定しながら、
 どういう血液検査や画像検査をするか決める。
 「一応この検査も追加しちゃおっかなー」とか、
 「もしかしたら○○という稀な疾患かも?」とか考えたり。
・検査結果の説明、生活指導
 どうすれば健康な人生を歩めるか説明するのは結構好き。
 診断が当たった時、病気と治療の説明をするのも好き。
・薬を減らしていく or 合理的な処方内容に変更する
 病状が改善しているからこそ薬を減らせるわけです。
 減らしちゃおうかと提案する瞬間は好き。
 患者さんも大抵嫌がりません。
・本や論文を読んで勉強する
 これは好き。病棟や外来の業務を終えてしまい、
 業務時間内からやってました(笑)。
・研修医やレジデントの指導
 好奇心や向上心が旺盛かつ、真面目な人たちなので
 接しているこちらも楽しいです。
・観光地で開催される学会に参加する
 最近の医療の進歩を聴き、かつ観光や食事を楽しみます。
 でも体調不良だと全く楽しくありません。
 38℃の熱や、下痢ピーピーで学会参加して辛かったこともあります。
・聞こえがクリアな聴診器での聴診
 上位1~2番目のモデルなら非常によく聴こえて楽しいです。
 中位以下の聴診器だと本当に50~80%減くらい聴こえなくなるので
 やる気も失せます。
・ヘロヘロになって入院した患者が治療によって元気になっていく時
 食事ができ、笑顔も見られるようになると、こちらも嬉しいです。

<嫌いな業務(臨床医)>
・主治医意見書の記入
 介護に必要とわかっていますが特に面倒です。
 普通の「診断書」の作成は別に嫌いじゃありません。
・治験中のデータの記入(製薬会社への提出資料)
 細かすぎてムカつく以外の何物でもない。有効活用してんのか?
・迂遠な話を聞かされる
 例:「洗濯物を干していた時、息子の嫁が来て、山形の人なんですけど・・」
 他の患者さんも待っているわけだし、
 何に困って今日受診したのか単刀直入に言ってくれよと・・。
・業務時間外にアポなしで病状説明を求められる
 「御家族が来られて説明してほしいって言ってるんですけど」という
 病棟からのコールにムカつくことがあります。医者はコンビニじゃない。
 極力このような事態にならないよう、入院初日に病状説明した上で
 説明を聞きたければ事前に時間の約束をしましょうと言うようにしてます。
・急性アル中の診療
 泥酔して暴れたりされるともう最低。
 20歳の若者が初めて泥酔したなら付添いの友達共々諭して返しますが、
 30代半ばで泥酔して病院の御厄介になるのはもうアホかとバカかと・・。
 まあベンチで寝てても治りますよ、と言ったことも一度くらいある。
・ICUに患者が入室してしまった時
 毎朝7時からカンファレンスがあったりするのでタリーです。
 早く良くなってこんなとこ出ようね、と内心思います。
・放射線科での検査立ち合い
 鉛入りで軽くはないプロテクターを着て、
 検査が終わるまで1~2時間付き合います。体力的に疲れるので嫌い。
 放射線科も地下にあったりしてなんとなく雰囲気が暗いし・・。
・当直
 生理的にしんどいので、好きな人はいないと思います。
 翌日が休みにならず通常業務というのもイタい。
・高血圧で通院している患者の血圧測定
 診察室で医者が測定する意味はほとんどありません。
 基本的に看護師が測定すれば十分です。
・お母さんの受診についてきたガキが横で泣く
 患者であるお母さんの話が聞こえにくくなるので嫌い。


<好きな業務(研究者)>
・新しい実験を修得する
・こうしたらどうなるだろう?という実験を行う。
 結果がどうなるのか自分でも楽しみ。
・新しい知識、考え方、自分の目覚ましい実験結果を紹介する
・よその研究室の先生たちとのsmall group discussion
・後輩の指導。手技、コツ、考え方などなど伝えます。
・成書を読んで勉強する
・組織や細胞を綺麗に取る、共用の試薬を完璧に作る
・実験技術の背景や原理を完全に理解する

<嫌いな業務(研究者)>
・研究費の年間報告書作成
 税金ですから報告が必要なのは当然分かっていますが
 同じことを別の紙に何度も書かせるな。
・常に自分でマニュアルを読まない、勉強しない人への説明
 俺は貴様の予備校講師ではない・・と言いたくなります。
 先輩から聞いた説明なんてしょっちゅう間違ってるのに・・。

少し前進

2014年06月07日 | Weblog
研究がまた少し進みました。
ジワジワと、本当に少しずつ進みます。
いちおう努力はする甲斐があるものです。

気分が良くなったのでビールを買って晩酌
・・といきたいところでしたが、
頭が悪くなったら困るので(笑)
キリンフリーにしておきました。


ワールドカップが近づいていますが、
ネイマールのボールさばきは天才だと思います。
前回大会でメッシもすごいと思いましたが
ネイマールのほうが、より天才肌な印象です。
活躍を期待しましょう。

何とかなる人、ならない人

2014年05月29日 | Weblog
大学院生を見ていると、どうにか糸口を見つけられる人と
どうにもならない人がいます。

私が指導してる大学院生は、色々やっているうちに
自分自身でマウスの大きな変化を見出しました。
そういうほうが自信になりますので、実に結構な流れです。
データが派手なので教授も既にウハウハです。

別の大学院生は、基礎研究者としてのセンスは皆無ですが
患者検体をたくさん集めて、下手でもできる実験をし
何とか活路を見出しました。
当人も「基本は臨床医、ちょっと実験して学会発表に行く」
くらいのほうが合っていそうです。
大学院で過ごす中で自分に合った道を見出した感じで
これはこれでストレスと自尊心の割合が保たれそうです。

また別の後輩は、最初から器用な感じでしたが、
一つ一つ着実に進んでいる感じです。
元々のセンスが良いのでしょう。

だいたいの共通点を挙げると、
・指導者に頼らず自分自身で何とかしようと努力する
・ポジティブシンキング
というのが共通点です。
休日や夜は家で漫画を読んだり、ゲームをしたり、
ラーメンを食べ歩いたりするのも共通点です。
誰一人、朝早くから働くハードワーカーでもありません。

その一方で、ずっと糸口が見つからない人たちもいます。
ハードワーカーで、何でもきちんとしているので気の毒です。
真面目すぎるとかえって良くないのかもしれません。


さらに驚くべき逆説的なこととして、
・元から研究者志望で早めに大学院へ進学した人がうまく行かず
・臨床医として数年過ごし、とりあえず研究を一度体験してみるか、
 くらいの大学院生のほうが良い結果が出る。
という現象が頻繁に起きています。
普通は前者のほうが一生懸命努力し、当然伸びそうなものですが・・。
もしかすると(医者または研究者)ジュニアたちが前者で、
後者は親が医者でも研究者でもない一代目たち、というのが原因でしょうか。

発見

2014年05月24日 | Weblog
今日は一つ、目新しい発見がありました。
どんな分野の分子生物学者に見せても
「それは何か重要そうな経路だね」と思ってもらえそうなデータです。
理学部の先生たちに見せたら何て言うか、楽しみです。

次に何を検討するべきかについては
すぐ考えがまとまり、論文や資料も揃えましたが
興奮してなかなか読む気になれません。