今更留学記 Family medicine

家庭医療の実践と、指導者としての修行も兼ねて、ミシガン大学へ臨床留学中。家庭医とその周辺概念について考察する。

Defensive Medicine

2009-04-11 22:19:56 | 医療倫理
Wilson病で移植のリストにも載っている若い患者さん

ラクチュロースで便も良好にコントロールされ

利尿剤で尿も良好にコントロールされていたのですが

数日前より、徐々に腹囲が増大し、水分がとれているのに尿も濃い色調で減少、発熱無し

傾眠傾向となってきたためED受診

血圧は90/50、Shifting dullness、波動が陽性、傾眠傾向だがfocal signは、羽ばたき振戦は陰性

アンモニアを含めた採血をすると

アンモニアは上昇しているのですが、他の肝酵素と腎機能は変化無し、WBCも上昇無し

「肝性脳症」だろうけれども、腹水が急に増大した理由が今ひとつ分からないな~

SBPかな?と思いつつ

腹水穿刺前には必ずエコーをオーダーしなければいけないこともあり

腹部エコーをオーダーすると、「門脈の血流(flow)が殆どみられない」との結果

本当は自分でエコーをやりたいんですが・・・(色々うるさく、やらせてもらえません)

どうせ入院だなと思いながらシニアにプレゼンすると、シニアはきっぱりとある検査を指示しました

さて何でしょう?













答「まず頭部CTとろうか」

「・・・」

確かに肝硬変があると、出血傾向はあります

実際にこの患者さんのINRは1.7


でもgradual onsetで、focal signがなく、血圧も低い、肝硬変で腹水が増大、アンモニア上昇の患者さんで

頭蓋内の血管イベントの確率はいかほどなのでしょう・・・

どうせ入院で経過もみれるんだし・・・

思わず「え?」というリアクションをしましたが、反論するのは止めました

それまでの3日で、ED全体のかなりdefensive medicineな傾向は感じていましたので・・・

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2 コメント

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Unknown (PICU fellow)
2009-04-22 10:44:22
To rule out Cerebral edema?
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re:Unknown (PICU fellow) (familymed758)
2009-04-23 11:38:37
なるほど・・・確かに、重症肝硬変では脳浮腫に気をつけないといけないですね。
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