今更留学記 Family medicine

家庭医療の実践と、指導者としての修行も兼ねて、ミシガン大学へ臨床留学中。家庭医とその周辺概念について考察する。

指導スタイル

2008-08-30 18:25:13 | 臨床留学
指導医によって、指導スタイルはまちまちです

ミシガン大の家庭医では、病棟の指導医は1週間おきに交代します

「1週間おきなんて継続性が保たれるのかなあ?」と最初は思っていたのですが、患者さんの平均在院日数が2日程度ですからあまり関係ありません

逆に、様々な指導スタイルと出会えて楽しいです

一番最初の指導医は私よりも年下でしたが、かなりできる先生なうえに、フレンドリーなので仕事も楽しく

毎日のように誰かがミニレクチャーをするようなパターンで楽しく仕事ができました

2番目の女医さんは、どちらかというとレジデントに任せ気味なのですが、

統合医療を専門としており、急性膵炎に対する魚油の論文を引っ張ってきたり、

サプリメントにやたらと詳しく、鉄剤の種類で細かい知識を披露したりと、全く違う味が出ていました

3番目の現在の指導医は、前ディレクターで

何故か大腸カメラも毎週やっている先生です

この先生は病棟大好きで

自他ともにみとめる「マイクロマネージャー」でもあります

一人一人の患者さんの細かい病態まで、細かく把握した上で矢継ぎ早に質問を浴びせてきます

患者さんの病状が良くなっていても、

「現段階で、強心剤を続けないと血圧が保てないのは、先生の説明する病態ではどうしても説明がつかない」

納得のいく説明がつくまで、とことん議論が続きます

かなりの圧力を感じるのですが、別に叱責をされている感じでもなく、知らないうちに思考プロセスが整理されてきます

個人的には、この先生と一緒に働いている時が一番充実していますが

さすがに一週間以上密着していると、きっと疲れてくるのではと思います

またインターンの私には手加減しているようですが、上級レジデントはもっと大変です

「好きなようにやらせてあげるから」と良いながらも

かなり細かいところまで、説明を求められています

先日も当直あけで、その上級レジデントが

「今日は落ち着いていたので、直接話さずにベルですませたいなあ」と言いながら

「今日は新規入院も無く、入院患者さんも落ち着いていました。それではお疲れさまで~す」とベルをうったところ

速攻で電話がかかってきて

「 俺と直接話をしないで、帰ろうとしたな!そうはいかんぞ。まあそれでもNice Tryと行っておこう Hahaha!」

上級レジデントになった後に、彼と仕事をするのも楽しみですが、

インターンの自分にとっては、まずは自分の患者さんのバイタルから薬の変遷の細かいところを完全に把握することが彼と会う前の日課です