今更留学記 Family medicine

家庭医療の実践と、指導者としての修行も兼ねて、ミシガン大学へ臨床留学中。家庭医とその周辺概念について考察する。

薬漬けは誰のせい?

2008-08-01 06:14:15 | 医療倫理
POA(Post Graduate Orientation)でPain Managementというセッションがありました

要は、オピオイドを適正に使いましょうということだったのですが、

ポイントは「痛みというものを過小評価せずにしっかりとってあげるようにしましょう」というものでした

つまり、どちらかというと「もっとオピオイドを使いなさい」ということ


外来をみていると、子供と80歳以上の高齢者以外の人たち

つまり若者から中年世代

かなり大多数の再診患者がオピオイド(麻薬)を使っています

別に末期がんがあるわけではありません

帝王切開
交通事故で首が痛い

「市販のNSAIDを使ったが効かない」と言われると

すぐに麻薬を処方します

適正に使用すれば、中毒にならないといいますが

中毒患者の多さをみていると、医療によって生み出されている人もかなりいるとしか思えません

そんな思いもあって、先日のEBMでの発表でもNSAIDジェルの話を持ち出して(シップの無い国)、麻薬使い過ぎじゃないの?という話題をふったのですが・・・

同僚による個人的な見解ですが、

麻薬中毒者が出るのは、「人種(体質)の問題では無いか?」というもの

彼曰く、白人は「痛み止めの依存になりやすい」

確かに、人口の割にアジア系の人の依存者は少ない気もします

へえ~、と妙に納得したのですが(裏付けや根拠はありませんよ)

それにしても、元の麻薬を処方しなければ中毒は生み出されないわけで

医療者として、何か現状をかえられないかと思っています

まあそれより今日から始まる、チェルシー病院の病棟ローテーションに集中しなければ

何しろ処方箋のきり方一つとして、分からないわけですから・・・