今更留学記 Family medicine

家庭医療の実践と、指導者としての修行も兼ねて、ミシガン大学へ臨床留学中。家庭医とその周辺概念について考察する。

Block month 外来研修の総括

2008-08-02 08:59:52 | 臨床留学
Block monthはオリエンテーションだけでなく、実際の外来研修を行い

外来に慣れ、自分の患者さん(自分が担当する家族)を形成する目的もあります

診療許可がおりるのが遅れた関係で、他のレジデントが14日間診療している間に、6日間しか診療できませんでした

それでも、筋骨格系のプロブレムや皮膚、小児など

これまでの自分の経験とはなるべく離れた患者さんを選択的に入れてもらえたおかげで、学びの多い期間でした

インターンは通常、半日(3時間)で最大4人しか患者さんをあてられません

それでも患者さんを診て、プレゼンして、一緒に診療して、そのあと書類やら、カルテのディクテーション(テープに録音)やらをすると時間内に終わるのはかなり困難です

それでも自宅からカルテにアクセスできますし、ディクテーションも普通の電話からできますので、同僚は殆ど夕方5時ピタで帰っていきます

自分の診療許可が下りた初日は、1人遅くまで残って7時にクリニックを出ました

さすがに寂しいな~と思って外に出ると、まだ日は落ちておらず(日が落ちるのは9時過ぎ)

クリニックの横で2頭の鹿と遭遇!

「お前達だけか、待っていてくれたのは・・・」と話しかけながら、iPhoneを取り出して


写そうと近づくと、逃げられてしまいます

ズームが無いので、イマイチです



さて肝心の外来総括

患者数は述べ22名

小児10名、皮膚3名、筋骨格系7名、妊婦1名(重複あり)

高齢者はわずかに1人でした

手技は液体窒素療法が二人(warts, actinic keratosis)

むやみに数をこなすより、一人一人をじっくり診て、自分の経験をデータに残していくことの大事さを実感しています

日本の診療報酬制度のもとでこんなペースでやっていたら間違いなく赤字です・・・

さらにアメリカの外来では、細かい考察と詳細なカルテ記載によって収入がアップします

少ない患者数でもじっくりカルテを書けば、薄いカルテで多くの患者さんをこなした場合と比較しても遜色の無い売り上げになるのです

こんなところでも、詳細な考察と細かいカルテ記載へのインセンティブが働くのです

このように診療報酬や医師の配置など考えると、日本で卒後(外来)教育をしていくことの難しさを改めて感じてしまいます

これだけのハンデを考えれば、まだよくやっていると自分たち(日本人)をほめてあげなければいけないかもしれません