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◇企業システム◇大阪の福田学園がセールスフォース・ドットコムのクラウドシステムを導入し成果挙げる

2009-06-08 09:28:45 | ユーザー

 【ユーザー】エンタープライズ・クラウドコンピューティング企業のセールスフォース・ドットコムは、学校法人福田学園(大阪市北区)が「Salseforce CRM」の活用により、学校経営を改革、出願者確保にも成功したと発表した。福田学園は大阪工業技術専門学校、大阪リハビリテーション専門学校を運営し、09年4月からは大阪保険医療大学を開学するなど、現在約1100人の学生を擁する。同学園では資料請求者や出願者などのデータを効率的に管理できるツールを探していたが、クラウド型顧客管理システム「Salesforce CRM」に注目し、08年5月に導入を決定した。約3カ月で問い合わせ対応、出願者管理業務のためのカスタマイズを完了、同年8月には新年度に向けた活動を開始。同学園では現在「Salesforce CRM」のマーケティング機能を活用し、出願検討中の学生の行動を、資料請求から出願に至るまで数段階にフェーズ分けして管理している。 (セールスフォース・ドットコム:09年6月4日発表)

 【コメント】クラウド・コンピューティングに対する期待は高まるばかりのようだ。これは、これまでの企業システムが、スピードより安定性や堅牢性を求める傾向があったのに対し、現在のような急激な変化が常に起きる経営環境では、安定性や堅牢性よりスピード対応がより一層求められているほかならないことだからであろう。2-3年の月日をかけてシステムを完成させても、出来上がった頃には使い道のないシステムになってしまっていることだった十分に考えられるのが現代だ。これに対し、クラウド・コンピューティングによって、数カ月の開発期間でシステムを稼働することができる。

 福田学園では、クラウド型顧客管理システム「Salesforce CRM」に注目、08年5月に導入を決定したが、約3カ月で問い合わせ対応、出願者管理業務のためのカスタマイズを完了、同年8月には新年度に向けた活動を開始することができた、というスピード開発振りを実証できている。福田学園学園本部 広報室 室長の浜野 哲二 氏は「Salesforce CRMを導入したことで、これまでには気付かなかった出願者の行動が見えるようになった。例えば、ある広告媒体を例に取ると、出稿量よりもデザイン等の質を高める方が資料請求者獲得の精度が高くコストパフォーマンスが良いというデータが出ている。これまで通りマス広告の出稿に頼るだけでは、出願者1人あたりコストがますます高額になることから、学生ひとりひとりの状況に応じたマーケティングが不可欠」 と述べている。

 その昔、ホスト機をアウトソーシングすること自体が大問題であったことを思い出す。ホスト機をアウトソーシングに出すと「あの会社は危ないのではないか」と真剣に考えられた時代があった。それが今では企業がホスト機をアウトソーシングすることは当たり前のことで、誰も経営が危ないのでは、なんて考える人はいなくなった。これと同じように今はクラウドにデータを出すと危険だなどという危惧を持つユーザーも
現在はまだ多いが、近い将来はそんなことはなくなるかもしれない。データの漏洩は、アウトソーシングでなくても現在頻発している。つまり、データの漏洩とアウトソーシング=クラウドシステムは必ずしも直結しないと考えるのが、賢い考えなのかもしれない。

 なお、セールスフォース・ドットコムのクラウドシステムは、09年4月30日現在、  日本郵政グループ、 三菱 UFJフィナンシャル ・ グループ、 みずほフィナンシャルグループ、 損害保険ジャパン、 日立グループ、ジョンソン ・ エンド ・ ジョンソン、 小田急電鉄、リロケーション ・ ジャパンを含む、 世界59,300社で利用されているという。(ESN)