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◇企業システム◇KDDIが仮想化システムを採用し、社内テレワークシステム構築

2010-01-25 09:26:18 | ユーザー

 【ユーザー】シトリックス・システムズ・ジャパンは、KDDIの在宅勤務制度において、シトリックスのデスクトップ仮想化製品「Citrix XenDesktop」と「Citrix XenApp」により、約300人が同時に在宅勤務とリモートアクセスを利用できるテレワークシステムを構築し、09年4月からのKDDIにおける在宅勤務制度導入にあわせ、本格稼動を開始したことを発表した。(シトリックス・システムズ・ジャパン:09年12月21日発表)

 【コメント】在宅勤務は、今後の企業システムにとって、避けて通れない大きな課題の一つだ。きっかけとなったのは、新型ウイルスによるパンデミック対策であるが、従来から模索は続けられてた。しかし、現在に至るまでそう大きな変化がおきているわけではない。ルーチンワークにより店舗回りを行うことなどの、一部の業務については、既に直行・直帰システムによる在宅勤務は実現していたり、ソフト開発などの業務によっては、在宅勤務が既に通常行われている業種もある。
 
 ところが、わが国においては、一般的に在宅勤務が普及しているわけではない。これは、日本の企業は、大部屋での勤務が当たり前なことを見てみれば分るとおり、相手の顔を見て業務を行うことが、必須条件のようなところがある。それに、わが国の住宅事情を見てみると、自宅で集中して仕事を行うことは、一部を除いてなかなか難しい。

 一方、チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズが世界各国の顧客企業を対象に実施した調査結果によると、企業におけるリモート・ワーカーの数は増加の一途を辿っており、自宅や外出先から企業ネットワークに接続するリモート・ユーザが08年から09年にかけて増加したと回答した企業は、全体の40%以上に及んでいるという。また、過半数を大きく超える77%の企業で、全社員の最大25%が日常的にリモート・アクセスを行っていたことが判明。

 このように、世界の流れはリモート・ワーカー(在宅勤務者)が増加を見せており、わが国においても、パンデミック対策でなくとも、今後、在宅勤務の時代が押し寄せようとしている。今回、KDDIが採用したテレワークシステムは、次のような効果をもたらしたという。①在宅勤務、リモートアクセスの統合管理によるシステム運用の簡素化の実現②在宅勤務でも社内と同じデスクトップ環境を利用できる仕組みの実現。社員の業務に応じてデスクトップ環境のひな形を用意、営業向け、Webサイト管理者向けなど複数のひな形の使い分けにより、仮想デスクトップの運用管理を効率化③社内システムとの連携による勤怠管理を可能にし、フレキシブルな就業環境を実現④XenAppの導入による、リモートアクセス環境の利用者数の大幅な増加。特に海外出張での利用が急増⑤すべてのシステムをサーバー上で管理でき、効率的にOSのアップデートやパッチなどの適用を実現⑥旧式クライアントPCの有効活用ーなど。

 在宅勤務の時代はもう、そこまで来ていると見た方がよさそうだ。各企業ともパンデミック対策を期に、在宅勤務システム構築の準備に取り掛かかってはどうであろうか。(ESN)