【ユーザー】NECは、このたび国内最大手のメガネ専門店チェーンである三城(東京都品川区)のシステム刷新を支援した。三城の協力のもと、基幹システムを従来のメインフレームから、同社の「Express5800/スケーラブルHAサーバ」と高可用Linuxの組み合わせによるオープン・システムへ移行した。同時に、受発注・集配信システムを従来の商用ミドルウェアからOSS(オープン・ソース・ソフトウェア)を使用したものに変更するとともに、同社共通IT基盤サービス「RIACUBE(リアキューブ)」を利用したシステムに移行した。これにより、ユーザーの課題であったシステム運用コストを従来比、約30%削減した。なお、新システムは、本年2月より全面的に稼動を開始している。(NEC:10年4月14日発表)
【コメント】メインフレームは、最近の話題からは遠ざかってはいるが、まだまだメインフレームを使い続けているユーザーは少なくない。それは、メインフレーム上で開発したアプリケーションソフトを使わざるを得ないからである。ハードウエアは意外に簡単にリプレース可能であるが、ソフトをつくり直す作業は容易ではないのである。すなわち、“ハードはソフト(容易にリプレース可能)で、ソフトはハード(再開発は容易ではない)”ということになる。それでも、時代はオープン化へと突き進んでおり、一部の分野を除き、メインフレームのリプレースの動きは今後加速していくことになる。
今回、国内最大手のメガネ専門店チェーンの三城のシステム刷新をNECが支援し、メインフレームを高信頼のLinuxシステムへの移行させ、さらに共通IT基盤サービス「RIACUBE」の活用することにより、運用コストを30%削減させたケースは、メインフレームをオープンシステムへリプレースさせることにより、ユーザー企業に成果をもたらす、典型的な事例である。メインフレームユーザーは、メインフレームの持つ高信頼性の維持を、オープンシステムへのリプレースの第一条件に挙げる場合が多い。つまり、ただオープンシステム化すればいいというものでもない。さらに、ソフト・サービス面での効率的取り組みも重要性を増す。今回採用された共通IT基盤サービス「RIACUBE」は、ユーザーの「IT基盤の運用等はベンダに委託し、コアである業務アプリケーションの開発・運用等に注力したい」というニーズに対応したソリューション。 ハードウェア、OS、ミドルウェア等のIT基盤と標準化・共通化し運用保守まで含めサービスレベルを明確にした高品質なサービス商品なのである。
今回の事例ではOSSの積極活用も見逃せない。サーバーのOSとしてLinuxを採用した以外にもJ2EEアプリケーションサーバ「JBoss」を採用した。オープンソースであるにもかかわらずサポートを受けることができ、しかも動作が他のJ2EEアプリケーションサーバに比べて軽快であることから人気を博している。06年、商用LinuxベンダであるRed HatがJBoss Inc.を買収したことにより、現在はRed HatがJBoss Inc.の業務を引き継ぐ形でJBossプロジェクトの運営を行っている。08年2月には レッドハットから JBoss Enterprise SOA Platform として史上初のオープンソースによる本格的SOA製品群が提供され始めた。08年2月からは レッドハットから JBoss Enterprise SOA Platform として史上初のオープンソースによる本格的SOA製品群が提供され始めていることも、今後のアプリケーション開発を考える上からポイントとなろう。
今回のシステム刷新により、運用の負荷は、メインフレームを使用した場合に比べて大幅に軽減。また、処理スピードも従来比、I/Oモジュールのチューニング等により2~3倍の高速化を実現した。さらに、共通IT基盤サービス「RIACUBE」の活用により運用コストを30%削減できた。このようにメインフレームからオープンシステムへリプレースすることにより、ユーザー側に具体的メリットをもたらすことが何より重要な要件となろう。(ESN)