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◇企業システム◇富士通がハンディターミナル機能をスマートフォンに集約しJA兵庫信連で稼働へ

2009-08-24 09:18:49 | ユーザー

 【ユーザー】富士通は、JA兵庫信連(兵庫県神戸市、代表理事理事長:中村芳文)より、JA信用事業の全国統一電算システム(JASTEM)とスマートフォンとを連携し、信用事業の渉外業務を効率化するシステムを、このたび受注した。同システムは、貯金や貸出などのお客様情報・訪問予定などを管理するJASTEMの窓口端末と連携する渉外業務専用ハンディ端末機の機能をスマートフォン(Windowsケータイ「F1100」)に集約することで、持ち運び時の利便性や強固なセキュリティを実現し、また、システム導入コストの削減も図ることが可能。これにより、渉外担当者は、従来、ハンディターミナルと携帯電話の2台を携行していたが1台に集約され、持ち運びの負担軽減と、通話と業務作業の利便性向上が図れる。 (富士通:09年8月14日発表)

 【コメント】ハンディターミナルは、以前から多くの現場で使われており、地味ながら貴重な情報機器として活用されている。利用業種も広く、トラックの積荷の管理、生命保険などの出先での事務処理用、さらにガスや電力のメーター管理やスーパーやコンビニの在庫管理用など幅広い応用をカバーしている。この傾向は携帯電話が普及し始めても変わらない状況が続いている。これは、ハンディターミナルが、リアルタイム性に優れ、落下の衝撃に強く、さらに防水にも強いなど、携帯電話にはない数々の特徴があるためだ。

 しかし、ここまで携帯電話が普及した現在、携帯電話とハンディターミナルを両方持ち歩かなくてはならないのには、少々違和感を持つのは当然で、2台を1台にしたいというニーズは根強いものと思われる。今回富士通がJA兵庫信連に納入したハンディターミナルの機能をスマートフォンのWindowsケータイ「F1100」に集約させ、JA信用事業の全国統一電算システムとスマートフォンの連携を初めて実現させたことは、この夢を実現させた一つの例として注目される。

 このシステムの特徴は、従来の専用ハンディ端末機に比べ小型・軽量(30%削減)で、低コストで導入でき、また、携帯電話としても活用できるため、利用者の利便性が向上すること。さらに 「F1100」の無線通信機能(Bluetooth)により、モバイルプリンタを使用して訪問先で必要な印刷が行なえることなどだ。セキュリティについては、スマートフォン向けのセキュリティソフトウェアをインストールすることで、スマートフォン内蔵メモリや外部メディアのデータの暗号化ができ、また、データを削除できるワイプ機能を活用することで、紛失や情報漏洩のリスクに対して多重のセキュリティ対策が可能となっている。端末の利用者認証には「F1100」に標準搭載された指紋認証機能を使用できるという。

 同システムの本格稼働は2010年1月を予定しており、約1000台が導入されるという。IT技術の進展の速度はますます速まっているが、これらを応用して従来ネックとなっていたシステムをリニューアルできる可能性が広がりつつある。今後企業の情報システム部門とITベンダーが協力することによって、新しいアプリケーション用システムが続々と登場してくることを期待したい。(ESN)