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◇企業システム◇NTTグループとソフトパッケージベンダーの6社が次世代型ERPソリューション提供

2009-06-03 09:20:48 | ERP

 【ERP】NTTデータ、NTTデータ イントラマート、NTTデータ システムズ、アイテックス、ウイングアーク テクノロジーズ、東洋ビジネスエンジニアリングは、次世代型ERPソリューション「Biz∫(ビズインテグラル)」を推進する事業会社「NTTデータ・ビズインテグラル」を09年5月27日に設立し、09年6月1日から営業を開始した。業務の可視化と改善が可能なユーザープロセス中心型の次世代型ERP「Biz∫」は、単なるパッケージではなく、コンサルティングから活用サポートを含めたトータルサービスを提供。新会社は、国内の有力なパッケージベンダーとのパートナーシップにより、それらの総力を「Biz∫」に結集させ、最善のトータルソリューションを提供する。新アーキテクチャの基盤にはOSS対応統合型フレームワーク「intra-mart」を採用しており、標準機能としてSaaS、クラウドにも対応しているため、多様な利用形態での活用が可能となる。 (NTTデータ、NTTデータ イントラマート、NTTデータ システムズ、アイテックス、ウイングアーク テクノロジーズ、東洋ビジネスエンジニアリング:09年6月1日発表)

 【コメント】ERPは企業の基幹システムとしてこれまで多くのユーザーでの稼働実績を有している。先頃もNECが自社の基幹システムに全面的にSAP ERPの導入を発表し注目され、また、三菱グループでも、今後わが国の企業がグローバル化するに伴い、三菱総合研究所、三菱総研DCS、三菱電機インフォメーションシステムズが、ERP事業の一層の強化を目的に、合弁で新たに「MRIバリューコンサルティング」を設立することを発表するなど、ERPに関する話題が再び活発になってきた。

 これは各企業が単にERPを導入する時代に一区切りがつき、これからはいかにERPを経営に活用できるかが焦点になっていることをあらわしている。今回NTTグループとソフトパッケージベンダーとが協業して新しいERPの提供に乗り出したことは、逆にいえばこれまでERPとソフトウエアパッケージの連携がうまく進展していなかったことの証明にもなろう。この意味でようやくERP導入の目的が、全社システムの統合化からBPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)化へと移りつつあることが分かる。この実現のためにはSOA(サービス・オリエンテッド・アーキテクチャー)技術がキーとなっているともいえる。

 従来、一度構築したERPをベースにした基幹システムは、容易には変更不可能だ。それを抜本的に変えようとするのがSOA技術である。不況に直面した各企業では、新しい製造システム、新しい販売システム、そしてそれらに対応可能な会計システムの構築が急務となっている。つまり、それらをBPMとSOAを活用することにより新しい基幹システム構築を迅速に可能とするわけである。さらに、BI(ビジネス・インテリジェンス)などのパッケージソフトを連携させることにより、ERPが単なる統合化機能から、経営革新のツールとしての役割を担うことができることにもつながる。

 今回発表されたBiz∫(ビズインテグラル)には、これまで多くの実績を持つシステム基盤にOSS対応統合型フレームワーク「intra-mart」が採用されていることが一つの売りになろう。長年にわたって構築されてきたシステム基盤ソフトであるが故にユーザーからの信頼性を得やすいからだ。これは今回提携したアイテックス、ウイングアーク テクノロジーズ、東洋ビジネスエンジニアリングのソフトウエア製品にも同じことがいえる。「Biz∫(ビズインテグラル)」の登場は、今後のERPシステムは1社のベンダーの提供より、経験豊富な複数のベンダーによる製品提供の方が、より経営に役立つシステム構築ができるという結論に導くことになるかもしれない。(ESN)