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◇企業システム◇大和證券、業界の先頭を切り来店客向けに電子ペーパーシステム導入

2010-03-10 10:20:41 | ユーザー

 【ユーザー】大和証券は、 NECと共同で、大和証券各店舗の来店客に新商品・キャンペーンなどの情報を配信する電子ペーパーシステムを開発し、3月1日より利用を開始した。第一弾として、本店に計6台の電子ペーパー(プロトタイプ版)を導入した。金融業界において、電子ペーパーを用いた顧客向け情報配信は先進的な例となる。(大和証券/NEC:10年3月4日発表)

 【コメント】IT化、電子化の波は、企業経営に大きな革新をもたらしながら、今後も続けて、押し寄せてくるであろう。例えば、将来デジタルサイネージ(電子看板)が普及し、紙のチラシからの移行も考えられている。店や企業が最新の広告の作成を自社のパソコンで行い、そのデータをデジタルサイネージ側へ伝送し、常時最新の情報を掲示できる。顧客はデジタルサイネージ上をタッチするだけで、希望する広告や詳細データを瞬時に得られる。つまり、これからは紙のチラシを印刷せず、最新データを電子看板上に表示できるので、最新データの表示が必要な業種の広告媒体として大いに期待されている。

 デジタルサイネージと併せ、将来の表示装置として期待されているのが電子ペーパーだ。電子ペーパーは、例えば将来、新聞などの表示などに期待されている。毎日、紙を配布し、読者は読み終わったら紙を捨てるのではなく、読者は毎日伝送される最新ニュースを電子ペーパー上で受信し、読み終わったら、データを消去しさえすればいい。これなら無駄な紙の消費も減ることになる。電子ブックのキンドルなどは、電子ペーパーの尖兵役を果たすものであり、将来は電子ペーパーがあらゆる分野で使われ、市場を大きく広げそうだ。

 今回、大和證券が導入する電子ペーパーシステムは、NECグループが新たに開発したA4サイズ・重さ800gの電子ペーパー上に新商品やキャンペーンなどのプロモーション情報を表示し、来店客が待ち時間等に電子ペーパーを手に取って閲覧することができるもの。導入当初は、電子ペーパー本体に保存した情報をスライドショー形式で自動更新して閲覧する形態とし、今後は、カラー化、軽量化を進めると同時に、サーバからネットワークを介して各店舗独自の情報などきめこまかな情報をリアルタイムに各電子ペーパーに表示する形態のシステムへと発展させる計画という。

 大和証券はこれまで、事務帳票の電子化をはじめ、電子申請システムの導入などにより、社内帳票の大幅なペーパーレス化(事務帳票は05年度比98.7%の削減)を実現した。その一環として、今回顧客向け帳票のペーパーレス化を推進するために、新しいテクノロジーである電子ペーパーに着目したもの。ペーパーレス化などの事務の合理化は、クラウド・コンピューティングなどのような華やかさはないが、ペーパーレス化を推進している企業とそうでない企業の格差は、将来ボディーブローのように企業経営に利いてくるはずだ。高度なIT化という発想も大切だが、従来の事務の合理化、省力化という発想も、決しておろそかにはできない。(ESN)