企業システム・レビュー・ネット

企業経営を左右する企業情報システム(経営+ITソリューション)のデータバンク作りを目指す

◇企業システム◇三井ファイナンス&リースがEMC社製ストレージを導入し基幹システムの統合化に成功

2009-06-10 09:32:00 | ユーザー

 【ユーザー】三井住友ファイナンス&リース(SMFL)は、基幹業務システムの統合に伴い、ハイエンド・ストレージ「EMC Symmetrix DMX-4」を導入して、ストレージを1台に統合することで、これまでの2倍となった20TBのデータ領域を、従来と同じ時間でバックアップ処理し、かつITコストを削減することに成功し、SMFLの基幹業務システムは09年4月に完全に統合した。同社は07年10月、基幹業務システムの統合を計画、システム開発を除いた投資総額約6億円、合計工数約3,000人/月の大規模プロジェクトを実施。今回のストレージ統合はその一環で、コスト削減と、従来の2倍のデータを、翌朝のオンライン業務に支障をきたさず、確実に当日の夜間に処理(バッチ処理、バックアップ処理)を終了することが課題であったが、複数のストレージを1台の「Symmetrix DMX-4」に統合することで、これまで2系統あった基幹系システムのうち1系統を停止できるようになり、大幅な運用コスト削減を実現。システム統合後はデータ・ボリュームが2倍になったにも関わらず、夜間処理(バッチ処理、バックアップ処理)の時間は従来水準を保つことができた。さらに、ストレージを集約し、ハードウェア台数を大幅に削減したことで消費電力の削減も実現できた。 (EMCジャパン:09年5月27日発表)

 【コメント】近年、企業の統廃合が盛んに行われるようになってきているが、問題はシステムの統合をどう進めるかであろう。一時期、大手都市銀行や証券取引所のシステム統合のトラブルが相次ぎ、社会問題化したことはまだ記憶に新しい。これらのトラブルの原因は複雑で一概に原因を挙げることは難しい。基本的には大規模システムでは、トラブルの原因は無数にあるといっても過言ではなかろう。小文字を入力
すべきところを大文字を入力してしまったなど、人為的な初歩的なミスが目立つところに、システム統合の難しさが存在するといえる。

 今回、統合システムの稼働を成功させた一社が三井住友ファイナンス&リースで、三井住友ファイナンシャルグループと住友商事グループのリース事業を戦略的に統合させることで07年10月に誕生した企業である。2社は基幹システムを実質18か月という短期間で統合させることに成功させた。金融機関の基幹システムにおいては、何といってもデータを蓄積するストレージシステムをどう構築し、維持管理するかが大きな課題になってくるが、この課題を同社は完全にクリアーした。ストレージに関しては、80テラバイトの物理容量を持つが、SANで基幹業務システムに接続され、現状約20テラバイトの業務データが格納されている。今回のシステム統合により、2系統あった基幹系システムのうち1系統を停止できるので、同社のITコストは大幅に削減されることとなったという。

 EMCのハイエンドストレージ製品「Symmetrix DMX-4」の採用についてはは、3年前からEMC製を使用していたため特に大きな問題はなかったとする。「データバックアップについても、前述どおり日次バックアップのデータボリュームが2倍になったにも関わらず、処理時間はまったく変化しなかった。具体的にはオンラインサービスが停止される22時から9時までの11時間の間に、バッチ処理業務終了後でも、余裕を持って終了可能なデータバックアップ体制が現実のものとなり、もはやこれがオンライン業務開始時間にずれこむことはなくなった」と同社では言う。

 ストレージシステムをどう安定的に稼働させるかは、今後ますます大きなテーマとなっていくことになるし、企業のシステム運用管理の最も重要な要因となってくる。いま、人々の注目点はクラウドシステムなど新しい分野に向けられがちではあるが、その基盤となるストレージシステムこそ最重要課題であることをもう一度再認識したいものである。(ESN)