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◇企業システム◇聖路加病院」がインテルのvPro搭載PCを導入し運用コスト削減

2009-01-21 10:21:58 | ユーザー

 【ユーザー】聖路加国際病院は、運用管理技術を強化したビジネス・クライアントPC向けのインテルvProテクノロジー搭載PCを500台導入し、病院統合情報システム端末の運用管理効率の改善と省電力化の推進をこのほど開始した。従来は、IT管理者が各PCのローカルディスクに保存された情報の更新を行うため、情報更新の有無に関係なく毎日起動・停止を実施してきた。今回インテルvProテクノロジー搭載PCの導入により、起動・停止による情報の更新、ソフトウエアのアップデートやパッチ対応、始業前のPC起動の自動化など、業務をより効率的に行えるようになった。また、昼夜を問わず使用していないPCを計画的に遠隔でシャットダウンできるため、省電力化の取り組みをいっそう推進できるようになった。これらにより同病院は病院統合情報システム端末の管理業務や運用コストを低減させることができるようになった。現在1700台あるクライアントPCのうち残りのPCも順次vProテクノロジー搭載PCに切り替えていくことにしている。今後は医療サービスの戦略立案や診療データの分析や評価など、より質の高い医療ITサービスの開発に集中できることになる。 (インテル:09年1月16日発表)

 【コメント】オバマ新大統領が就任し、米国は新たな時代へと進み始めたが、その切り札はグリーンエネルギー政策という。要するに従来型の石油に頼ったエネルギー政策を方向転換し、光発電、風力発電、原子力発電、バイオ燃料、燃料電池などに切り替えて行こうとするもの。この前提となるのがエネルギー削減、中でも電力削減は全産業に求められてくる。とりわけITは電力を大量に消費する筆頭として槍玉に挙げられるケースが増えてきた。最近も、グーグルは、検索が全世界的に行われることにより、データセンターの電量消費が爆発的に上昇していると批判を浴びた。グーグル側は、検索をしないで車などで移動する方がエネルギーをよけい消費すると反論を行ったが、所詮は多勢に無勢、データセンターの省電力化はグーグルでも避けて通れないであろう。

 ITの電力消費というとすぐにサーバーを思いつくが、PCは1台1台の電力消費力は少ないかも知れないが、何百台、何千台、何万台ともなるとサーバーを上回る電力消費量となる。以前からPCについては国連などが、全世界でPCが拡大し続ければ、その製造に費やされる資源の消費量が莫大なもになると警告を発してきたという経緯がある。いずれにしてもサーバーばかりでなくPCも電力削減の対象としてとらえなくてはならない時代になってきた。そのような時代の要請にたって開発されたのがインテルのvProテクノロジーである。

 ウィキペディアによるとインテルのvProテクノロジーは次のような機能を有している。①CPUやチップセットの中に特定のコードを埋め込めるようにした(PCの個別認識をハードウェアで保証することで、ソフトウェアによる欺瞞の可能性を排除できる) ②ハードウェア・レベルでシステムのハッシュ値を保存できる。(起動時にハッシュ値を比較することでOS等のソフトウェアの信用性が確認できる)③PCの運用管理用の専用機構を備える。PC本体の電源とは別に、独立した電源供給を受けて動作する(常に外部からの通信による問い合わせに対応できる機構を備える/必要なら本体の電源をONにもできる/仮にOSやハードディスクが機能を失っても管理用部分は機能できる)。

 今、このインテルのvProテクノロジーを搭載したPCが発売されているが、聖路加病院ではこの新技術をいち早く導入し、業務管理や運用コストを削減させようとして動き始めた。同じような試みはディスクレスのシンクライアントでも行われており、ユーザーも急速に増えているという。vProテクノロジーはディスクレスが前提とはなっていないようで、この辺がシンクライアントとの住み分けということになるのであろうか。いずれにしてもPCの消費電力削減は09年度の必須の要件として浮上してくることは間違いない。(ESN)