【システム開発】アシスト、ガイア、情報技術開発(TDI)は、上場企業向けの経営見える化ソリューション「経営羅針盤」の提供で協業を開始した。経営の意思決定に必要な情報を迅速に収集し分析したいという顧客ニーズの高まりに加え、上場企業において早ければ2015年より新会計基準(国際会計基準:IFRS)に適用した情報開示が求められる中、ガイアが開発したERP「J-GAIA」の経営管理情報データベース機能とアシスト販売のBIツール「QlikView」の組み合わせに、ガイアが経営分析に要とされるレポートのテンプレートを用意し「経営羅針盤」として提供開始。販売は「J-GAIA」の販売会社であるTDIを含む3社が行い、2010年末までの販売目標として20社への導入を見込んでいる。(アシスト/ガイア/情報技術開発:09年12月8日発表)
【コメント】企業システムを“見える化”することへの関心がたかまりつつある。これは、企業システムが年々複雑化することによって、システムの全体像を把握することが困難になりつつあることへの一つの解決策になるからだ。特に、証券システムの障害事故に代表されるように、一部の担当者のみがシステムを理解していても、より広範囲に関わる社員がシステムを理解できていないと大きな事故に繋がる。この対策としては“見える化”によってシステムへの理解が欠かせない要因となる。一方、経営サイドからすると、企業システムに蓄積された最新のデータに基づき意思決定したいというニーズが高まっている。つまりBI(ビジネス・インテリジェンス)によりデータを分析し、その結果を“見える化”によって、経営層に分りやすく表示させることが、これからは欠かせない要件となる。
今回の3社による共同発表は、そんなニーズに応えるソリューションの提供である。経営見える化ソリューション「経営羅針盤」の特徴を挙げると次のようになる。①QlikView にJ-GAIAを組み合わせたことにより、既存のシステムを変更することなく、既存の各種ERP、会計パッケージ、販売管理システムなどからデータを収集し、経営管理情報DBを自動構築する②連結グループ会社で勘定科目体系が異なる場合も個別のカスタマイズを行うことなく会社およびグループの分析が可能となる③工数のかかるDB設計や経営分析レポートの作成が不要となる④経営分析に必要なDBやレポートはテンプレートとして提供する⑤IFRSへの柔軟な対応と迅速な経営管理情報の提供が可能となる、などである。経営分析テンプレートの例としては、効率性指標、収益性指標、営業コスト指標、安全性指標、成長性指標、財務ハイライト、分析管理軸別指標(管理軸:グループ全体、サブグループ、会社、部門、プロジェクト、事業、地域、製品、顧客、社員)、管理会計テンプレート などをあげることができる。
“見える化”のユーザー導入の最近の事例の一つとして、ロッテが日本IBMと共同して構築した狭山工場の設備管理システムが挙げられる。ロッテは、「さらなる食の安全」「事業継続」「設備管理一元化によるコスト削減」を目的に、設備管理を強化し整備状況の“見える化”を行うため、日本IBM協力のもと、09年5月より「設備管理システム」の構築を開始し、11月から稼働を開始した。この「設備管理システム」では、企業内のあらゆる資産や設備をWebベースで管理し、保全作業管理を効率化するIBMのソフトウェア製品「IBM Maximo Asset Management」製品群が採用さた。「IBM Maximo Asset Management」は、あらゆる資産や設備における、計画から運用、メンテナンス、廃棄までのプロセスを可視化し、ユーザーの現場業務から経営層への情報のシームレスな伝達を支援する機能を持つ。
このように、“見える化”ソリューションは現在、企業ユーザーにじわじわと導入されつつあり、これが今後の企業経営の格差を生じさせる要因になるかもしれない。つまり、いち早く問題点を発見し、早急に手を打つことが、“見える化”によって可能になるからだ。(ESN)