【システム開発】独SAPは、SAP Business Suiteソフトウェアのコアコンポーネントであるサービス指向アーキテャ(SOA)対応のERPを核としたビジネスプロセス・プラットフォームの導入事例を1,200社以上有するが、近年、バズワード(流行語)と囁かれている「SOA」が、ビジネスプロセス・プラットフォーム(3,000以上の業務部品、あらゆるプロセスを支えるプラットフォームなど)として提供されることにより、ユーザーにとっての真のビジネスバリューをもたらすものである事を証明している。(独SAP:09年 10月13日発表)
【コメント】昔から現在に至るまで、IT業界ほどバズワード(流行語)が行き交う業界も滅多にないであろう。次から次えと新語が生まれては消えていく。一時期は、“3文字言葉にご用心”という警句が飛び交った程で、怪しげな用語には、あまり飛びつかないことが一つの見識にもなるほどだ。しかし、すべての新語が怪しげかというとそうも言えないから難しいのだ。クラウドコンピューティングも出始めた頃は、「クラウドはバズワードに過ぎない」という専門書も出版されたほどで、怪しげな雰囲気であったが、現在はというと、クラウドは、次世代の企業システムに欠かせない重要技術といった位置づけに変わりつつある。つまり、バズワードから脱したのだ。
SOA(サービス指向アーキテクチャー)も、用語が出始めたときは、どこまで効果がある手法かは、俄かには判断できないような雰囲気を醸し出していたのも事実である。つまり、当初はバズワードぽかったのである。これには、ある程度根拠があるのである。ある人に言わせると、ソフトの部品化によるソフト開発の効率化は数年置きに出現しては、消滅するというのである。この伝でいけばSOAも同じ運命かとも思われた。しかし、IBMがSOAは次世代の重要技術と認定した頃から、バズワードを脱し、SAPがSOAによりパッケージソフトの壁を突破する試みに挑戦し始めることにより、ますます本物のソフト技術である可能性が出てきた。
そして、今回、SAPがわざわざ「SOAは本物の技術だ」という発表を行った裏には、SOA対応のERPの導入実績が1200社を突破したという、事実に基づいた自信があるからだろう。現在、SAP Business Suiteを使用しているユーザーはは、2,800を超える企業サービスを手軽に利用でき、これらのサービスから、一貫し、安定したビジネスプロセスを作成することができるため、ITの異機種混合環境および同機環境の両方で「独自のプラクティス」を導入する際のプロジェクトコストを削減できると、SAPは強調する。ユーザーは、オープンプロトコルのインターフェイスを備えているため、どんなビジネスコンテンツでもSAPのSOA対応アプリケーションを増強でき、さらに、ユーザーは、さまざまな業務内容が反映されたビジネスコンテンツを利用および再利用でき、ビジネスプロセスをより短期間に刷新できるようになると、同社は言う。
377社に上るSAPのユーザーのSOA関連のプロジェクトを分析したところ、主に次の4つのSOA活用事例が顕在していることが分かったという。すなわち、53%が主にプロセス刷新のためにSOAを採用し、29%はユーザビリティに焦点を当てている。また、14%はビジネスネットワークの強化、4%は技術の実装を目的としている。これにより、SAPのユーザーが(1)柔軟性がありモジュール化が可能であること、(2)容易に活用できること、(3)より高レベルなビジネスの俊敏性とサステイナビリティなどの明確な成果が得られること、の3点をITソリューションに求めていることがわかったという。
これからの企業システムのトレンドは、クラウドコンピューティングに向かうことはまず間違いないことであるが、これをささえる技術としては、仮想化、OSS(オープンソースソフトウエア)、ブレードサーバーなどに加え、SOAもその一角を占める技術とい得そうだ。(ESN)