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◇企業システム◇NTTデータとNRI、共同で“ITサービス産業の活性化に向けた取り組み”を開始

2009-12-14 09:24:50 | SI事業

 【SI事業】NTTデータと野村総合研究所(NRI)は共同で、ITサービス産業の活性化に向けた取り組みを開始する。その第一弾として、「ITと新社会デザインフォーラム2010」を2010年2月26日に開催する。同フォーラムでは、ITの高度活用による新しい社会像とそれを支えるITサービス産業のあるべき姿を提示し、その実現を担う「IT人材像」について提言する。NTTデータとNRIは同フォーラムの開催をスタートとし、ITサービス産業がより魅力的な産業・業界となっていくために、ITに関する教育・研究や人材育成などの取り組みの推進を検討する。(NTTデータ/野村総合研究所:09年12月8日発表)

 【コメント】わが国のITサービス産業は、既に売上げ高16兆円を超える一大産業に発展しているのはご承知の通りだが、その内容(質)を点検していくと、問題点も数多く散見される。以前から指摘されている通り、元請、下請け、孫請けのピラミッド構造は、相変わらず変わってはいない。そのため産業全体の売上高も、全企業の売上げ高をただ足しているだけに過ぎず、真の実態は分らない。

 それでもこれまでは、日本語という厚い障壁に囲まれて、そう大きな波風も立たずにやってこれたが、これからはそうもいかない。中国やインドの企業が積極的に日本市場にアプローチを試みており、その実績は年々拡大しようとしている。中国企業は、同じ漢字圏という強みを発揮し、また、インドは欧米に近い環境の中でのスキルの高さを武器に、日本国内の業務処理を受注しようと試みている。

 そんな中、わが国のITサービス産業は、90年代中盤から後半にかけての「ネットワーク化とアウトソーシング化の時代」などの変遷を経て、現在は「社会インフラとしてIT浸透の時代」を迎えている。例えば、地球温暖化対策の決め手の一つとして「スマートグリッド」が欠かせない技術としてクローズアップされているが、この中でソフトウエア技術の占める割合は高い。つまり、ソフトウエア技術力はエコ産業の決定的な要因になりつつある。

 最近、発刊された書籍に「クラウド~グーグルの次世代戦略で読み解く 2015年のIT産業地図~」(小池良次著、インプレスR&D刊)があるが、著者の小池良次氏は「マイクロソフトやオラクルのような歴史あるソフトウエアハウスも、グーグルのような新興ソフトウエア企業もない日本は“ソフトウエア産業が死滅した”といってもよい」と一刀両断に切り捨てている。小池氏が単なるジャーナリストなら見過ごすこともできるが、在米経験が長く、早稲田大学IT戦略研究所客員研究員を務め、現在、米国のIT事情に最も長じている一人である人の記述だけに、その意味は重い。日本国内で、新年賀詞交歓会などで、ソフト企業同士が傷をなめ合って、事を済ましている場合でないことだけは明らかだ。

 今回、NTTデータとNRI共同で取り組む“ITサービス産業の活性化に向けた取り組み”が、日本のITサービス産業の根源にある問題点から目をそらさないことを望むばかりだ。「何故日本からマイクロソフトが生まれないのか」「何故日本からオラクルが生まれないのか」「何故日本からグーグルが生まれないのか」・・・2010年こそ、真剣に問い直してみたいものだ。(ESN)