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◇企業システム◇マイクロソフトが旭川市と協力しWebデザイン事業を推進

2008-10-22 16:25:18 | SI事業

 【SI企業】北海道・旭川市、旭川ICT協議会(AICT)およびマイクロソフトは、「Webデザインの街・旭川」構想の実現および地域産業活性化に向け連携していくことで合意した。旭川地区では「国際家具デザインフェア旭川(IFDA)」や「旭川デザインマンス」などデザイン分野では先進的な取り組みを進めてきている。このように旭川の強みとするデザインと、ITを融合させた「Webデザイン」の分野で、「Webデザインの街・旭川」の実現に向けて、IT人材を育成し、Webデザインビジネスの集積を行い、その結果、地域産業の活性化を図ることになったもの。マイクロソフトは、旭川産業高度化センターが新たに設置する「旭川ITジョイントセンター」に、「マイクロソフト イノベーション センター」を設置し、同センターを拠点にAICTを中心としたIT人材育成活動を支援していく。 (08年10月14日)

 【コメント】マイクロソフトは日本国内で地道に地方自治体とのコラボレーション事業を推し進めているが、今回は旭川市とのコラボレーション事業の発表を行った。旭川市は人口では札幌市に次ぎ道内第2位の人口を擁するが、産業規模では道内の他の都市よりも低位にあるのが実態。そこで、旭川市では家具産地である特徴を生かし、デザインでの町おこしを考え、デザインに関する国際的展示会などの実績を積み重ねてきている。今回はこのデザインでの実績にWeb技術を取り入れ、新たな発展を図ろうという狙いがあるもので、これにマイクロソフトが参加したことによって、その成果が大いに期待される。

 旭川市には全国的に有名になった旭山動物園がある。この旭山動物園は新しい発想で従来の動物園のあり方を根本から変え、今では全国から多くの来場者で賑わっている。この旭山動物園の新しい発想法はこれからわが国のIT産業を発展させる上で、多くのヒントを我々に与えてくれる。旭山動物園ではそれまで檻の奥にあった動物の食事場を、檻の前の方に移動させることによって、来園者に動物が食事をするところを見せるようにした。また、透明な樹脂の中を動物が入るようにして、身近に動物の行動を観察できるようにした・・・などなど、その工夫は数限りなくある。我々は過去の“常識”に縛られるあまり、ことの本質を見誤ることが多い。長崎県では、システム構築の発注に際して、オープンシステムによることと、分割発注方式を取り入れることにより、地場ソフト産業を育成しようと、長期戦の構えで取り組んでいる。これなどは、従来の“常識”にとらわれないで、新しい発想で問題解決に取り組んでいる一つの事例だ。

 今回の旭川市の「Webデザインの街・旭川」構想実現に向けた取り組みも、新しい発想で問題の解決に当たろうとする一つの事例として成果が期待される。問題は北海道という地理的制約をどう克服するかである。この点に関して、北海道はあまりにも国からの補助金に頼りすぎて、自らの力で発展を勝ち取るという視点が希薄になってはいまいか。今九州は「アジアに対しての日本の玄関口」という発想で九州の産業の発展に必死に取り組んでいる。北海道も発想の転換を図って「北海道は北欧に対しての日本の玄関口」といった新しい発想には立てないものであろうか。これまで日本はアメリカ一辺倒できた。この結果産業の発展は加速されたかもしれないが、外国=アメリカという偏った“常識”に陥っている。これからの若者はもっともっとヨーロッパのことを知らなくてはいけない。北海道は飛行機では距離的に北欧に近いし、気候も似ている。日本の若者がヨーロッパの文化を吸収するため北海道に移住するといった改革を北海道全体を挙げて取り組むことはできないものであろうか。

 北海道はIT産業には打って付けの環境にある。気温が高くあまりIT産業には適さない台湾や沖縄があれだけIT産業で頑張っている。北海道はもっとIT産業育成で新しいアイデアを出すべきではないか。今回のマイクロソフトを巻き込んだWebデザイン推進事業は非常に理にかなったアイデアだと思う。まだまだ北海道にはIT産業育成の未開拓の可能性がたくさん残されている。(ESN)