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◇企業システム◇日本HPが「メインフレーム移行プログラム(MFA)」の専任組織発足

2008-10-11 08:16:52 | システム開発

 【システム開発】日本HPは、HPの「メインフレーム移行プログラム(MFA)」において、メインフレームからオープンシステムへの移行を支援する専任組織を発足させ、バリューチェーン(プリセールス/コンサルティング・インフラの設計/開発/保守運用サービス)を最適化し、パートナー企業との連携も強化することにより、今までにない付加価値の提供を開始する。同時にオープンシステムの導入効果を可視化する「オープン化評価分析サービス(HP HFA Assessment Package<HP MAP>)」を提供する。「HP MAP」の導入例として日本種類販売では運用コストを30%削減、性能を50%アップという実績を挙げている。 (08年10月7日発表)

 【コメント】メインフレームは日本には数多く残されている。これは世界的に見ても高い数字だという。この理由はいくつか考えられる。最近状況は異なっているが、これまで日本の企業は終身雇用制を敷いてきたため、メインフレームで育った人材を
オープンシステム導入のため、一挙に切り替えることはなかなか難しかった。また、欧米の経営者が自分で直接PCを使いこなすのに対し、これまでは日本の経営者の多くがシステムに直接触れることなく、システムを情報システム部門に丸投げし、このためシステムの抜本的改革になかなか着手できなかった。このほか、日本の企業ユーザーはこれまで、コンピューターを経営にとって守りのツールと考えており、安定した機能を持つメインフレームへの依存度が高かった・・・などなどいろいろ理由が考えられる。

 しかし、急速なグローバル化により、これまでのように企業はのんびりと、日本国内だけで生きていける状況ではなくなってきた。必然的に経営者自らPCを使い経営判断を下す必要性が高まり、さらに、コンピューターを守りのツールから、積極的に攻めのツールへと変えていかなければ、厳しいグローバルでの競争に勝ち残れなくなってきた。しかも、構築する企業システム自体のコストを抑えなければ経営を圧迫しかねない。このような要因が重なり、長年使い慣れたメインフレームをオープンシステムに移行しようとする機運が最近盛り上がっているのが現状だ。

 このような状況に対処するため日本HPでは、これまで社内の個別の組織で取り組んできた体制を今回専任組織に一本化したもの。要員は専任組織を含め60人体制とし、MFA分野の売上げを前年比倍増させる計画。日本HPと日本オフィスシステム(NOS)では日本酒類販売においてMFAを成功させた。これは1年間をかけCOBOLソース約6600本、ジョブ制御言語(JCL)約4300本の基幹システムをオープンシステムに移行させるという、わが国最大級の取り組みとなった。この結果、運用コスト30%削減、性能最大50%アップという成果が得られたたという。

 メインフレームは“悪”、オープンシステムは“善”といった図式は必ずしも正しくない。金融機関などはこれからもメインフレームの方がメリットが大きいということだってありうる。しかし、金融機関でさえ勘定系システムにオープンシステムを導入し始めたところもで始めてきた。要は自社の経営にとってどちらが有利なのか、明確に判断できる経営者がいることと、それを支える優れたCIO(情報担当役員)あるいはCIOに相当する人材が社内に存在するかどうかが、これからの企業経営を大きく左右することは間違いない。(ESN)