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英語脳をつくる!~日本人はいかに効率良く英語を学べるか~

英語学習に関する事いろいろです。日本人がいかにすれば実用英語を身に付けられるか、その最短距離を考察!

英語学習法(93)

2005年08月09日 | 動詞
今回、英語の基本構文の1つです。以下、見ましょう。

(1)John believes Mary. (ジョンは、メアリーを信じている。)
(2)John believes Mary to be rich. (ジョンは、メアリーを金持ちだと信じている。)

(1)は、‘believe’「~ を信じている」、という動詞が、目的語‘Mary’「メアリー」を取っています。そこで、(1)を、もっと具体的に言いたい場合、つまり、メアリーに関して、どんなことを信じているのか、を表現しようとすることもできます。それが、(2)です。

(2)は、見た目、‘to’不定詞‘to be rich’「金持ちだ」を、‘Mary’の後に続けているだけですから、簡単ですね。ですので、「‘believe’+A+‘to’不定詞」のカタチで、「A を ~ だと信じている」と覚えてしまっても構いません。ところで、(2)は、類似表現として、以下のようなものがありますね。

(3)John believes [ that Mary is rich ]. (訳同(2))

(3)は、‘believe’の目的語として、‘that’節を置いたカタチです。解釈としては、(2)も(3)も、似たようなものですから、学校の英文法では、よく、(2)と(3)の書きかえを習ったりします。 (‘that’節が目的語であることについては、EG41、参照。)

ここで、(2)の‘Mary to be rich’の部分は、(3)の‘that Mary is rich’と、ほぼ同じ意味で対応しているのがわかります。ですので、(2)の、‘Mary to be rich’の部分は、「主語・述語」の関係が成立している、ということになります。しかし、学校の英文法で、よく習うように、文法的に考えるならば、(2)は、‘Mary’のみが、目的語であり、一方、(3)は、‘that Mary is rich’全体が、1つの目的語と考えられています。

(4)John believes her to be rich. (ジョンは、彼女を金持ちだと信じている。)

(4)は、(2)の‘Mary’を、代名詞に置きかえてみましたが、そのカタチは、「目的格」‘her’となって現れます。このことから、目的語となるのは、「‘believe’+A+‘to’不定詞」の、A の部分だけであり、‘to’不定詞の部分は、目的語の一部とは見なされません。

これは、(3)の‘that’節全体が、目的語と見なされるのとは、大きな違いです。ですので、(2)の‘to’不定詞の部分は、文法的に、かなり特殊なステイタスをもっているのではないか、と思われます。ちなみに、以下のような文との比較では、明らかに、その違いがわかります。

(5)John deceived Mary to be rich. (ジョンは、金持ちになるために、メアリーをだました。)

(2)も(5)も、カタチは、「動詞+目的語+‘to’不定詞」と、違いがありません。しかし、両者の大きな違いは、(2)では成立していた、「目的語+‘to’不定詞」の、「主語・述語」の関係が、(5)では成立せず、むしろ、‘to be rich’の主語として解釈されるのは、‘Mary’ではなく、‘John’の方である、ということです。

つまり、(2)の‘to’不定詞は、目的語 (の一部) とはならないからと言って、即座に、(5)の‘to’不定詞ような、いわゆる、「副詞的用法」の不定詞と同じである、とは言い切れない部分がある、ということですね。 (不定詞の副詞的用法については、EG42、参照) さらに、以下を見ましょう。

(6)John believes Mary to be rich and Tom does so、too. (〇) 
  (ジョンは、メアリーを金持ちだと信じているし、トムだって、そう信じている。)

(7)John deceived Mary to be rich and Tom did so、too. (〇)
  (ジョンは、金持ちになるために、メアリーをだまし、トムも、そうした。)

(6)と(7)は、どちらも、OKの文ですが、それぞれ、後半の文を、‘do so’「そうする」によって、代用させたものです。(6)では、‘does so’が、‘believes Mary to be rich’の置きかえとして、使われています。一方、(7)では、‘did so’が、‘deceived Mary to be rich’の置きかえとして、使われています。

(8)John believes Mary to be rich but Tom does so to be poor. (×) 
  (ジョンは、メアリーを金持ちだと信じているが、トムは、貧乏だと信じている。)

(9)John deceived Mary to be rich but Tom did so to be president. (〇)
  (ジョンは、金持ちになるために、メアリーをだましたが、トムは、社長になるためにそうした。)

今度は、(8)と(9)ですが、注目すべきコントラストが表れています。(8)はアウトで、一方、(9)がOKです。(8)では、‘does so’が、‘believes Mary’のみの置きかえとして使われています。一方、(9)では、‘did so’が、‘deceived Mary’のみの置きかえとして使われています。

ここで、思い出してほしいのは、‘do so’が、かなり明確に、「前提」の概念にしたがう、特殊な代用表現である、ということです。(6)と(8)から明らかなことは、‘do so’は、「‘believe’+目的語+‘to’不定詞」のカタチ全体を、スッポリと、カバーしていなくてはならない、ということですから、‘believe’は、「目的語+‘to’不定詞」を、セットとして前提にしていることになります。 (‘do so’のもつ、特殊な性質については、EG81、EG82、参照)

つまり、‘believe’のような動詞は、(1)のように、目的語のみを、前提としている用法もあるし、一方、(2)のように、「目的語+‘to’不定詞」を、前提としている用法もある、ということですね。そういったことを認めるならば、確かに、‘believe’の後に続く、「目的語+‘to’不定詞」のカタチは、意味としては、(3)の‘that’節と、ほぼ同じ意味をもっているわけですから、動詞の要求する意味的な補完材料として、必須のものと言えるでしょう。

今回のポイントは、動詞が意味的に要求する (前提とする) 表現が、「目的語+‘to’不定詞」のカタチとなって表れ、かつ、そのカタチが、そのまま、「主語・述語」の関係を保っている場合がある、ということです。目的語になれない、ということが、動詞が意味的に要求していない (前提としていない) ということを、意味するわけではなく、そういった問題は、それぞれ、別個の問題である、ということが、また明らかになったと思います。

初歩的な手段としては、とりあえず、こういったカタチを要求する動詞があるんだな、と思って、そのまま覚えてしまうのが、手っ取り早いし、実用的ではあるのですが、実は、この種のカタチをもつ構文は、何かと、物議をかもし出す側面があり、また、それが興味深い発見につながっていく、という意味で、じっくりと見ていく価値はあると思いますので、また、次回にでも、続きをやりたいと思います。

■注 :今回、扱かった、「‘believe’+目的語+‘to’不定詞」、のカタチは、学校で習う英文法では、基本文型、‘S+V+O+C’、として扱われます。このタイプの文型は、‘O’と‘C’の間に、「主語・述語」の関係、または、イコール (=) の関係がある、という特徴があります。この場合、カタチとして、‘to’不定詞も、‘C’の部分に、1パーツとして、流用される、と知っておけばよいだけです。こういった特徴から、考えてみても、‘to’不定詞の、3つの用法、つまり、名詞的用法、副詞的用法、形容詞的用法のうち、どれに該当するかは、あまり考えても、意味はありません。

●関連 :EG41EG42EG81EG82

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英語学習法(92)

2005年08月09日 | 代名詞
EG91の続きです。‘each other’「お互い」は、意外と難敵でしたね。以下、見ましょう。

(1)Tom and Mary love each other. (〇) (トムとメアリーは、お互いにホレてます。)

(2)Tom and John drive carefully、so Mary loves each other. (×)
  (トムとジョンは運転が抜かりないから、メアリーは、お互いにホレてます。)

まず、基本的な確認です。(1)は、OKです。‘Tom and Mary’=‘each other’の解釈が成り立ちます。しかし、一方、(2)は、アウトです。前半の文に、‘Tom and John’を置き、そして、後半の文に、‘each other’を置いても、‘Tom and John’=‘each other’が成り立たず、アウトになっていますが、これは、EG91で立てた、‘each other’に関するルールから、導き出されることです。再度、確認しましょう。

(3)‘each other’は、①・主格を与えられる位置に生じてはならない、
   ②・最も近い主語 (解釈上の主語も含む) を相手に選ぶ、という、
   2つの条件を、同時に満たしていなければならない。

(2)に関しては、ルール(3)の②があるため、アウトになる、ということですね。(2)で、「最も近い主語」は、‘Tom and John’ではなく、‘Mary’「メアリー」ですから、ルール(3)の②によれば、‘Mary’=‘each other’となってしまい、正しく、‘Tom and John’=‘each other’と解釈されず、意味不明な解釈となって、アウトになります。

(4)Tom and John think [ that each other will be popular ]. (×)
  (トムとジョンは、[ お互いが人気者になるだろうと ] 思っている。)

(5)Tom and John think [ that pictures of each other will be popular ]. (〇)
  (トムとジョンは、[ お互いの写真が人気が出るだろうと ] 思っている。)

今度は、アウトである(4)と、OKである(5)の比較ですが、まず、(4)は、ルール(3)の①によって、アウトとなります。‘each other’が、助動詞‘will’の主語位置にあり、「主格」を与えられることになりますからね。しかし、一方、(5)では、助動詞‘will’の主語位置にあるのは、あくまで、‘pictures of each other’「お互いの写真」であり、‘each other’そのものではありません。

そこで、(5)の‘each other’の「格」は、何かと言うと、‘pictures of each other’の中で、前置詞‘of ~’から、「目的格」を与えられている、という見方が正しいので、ルール(3)の①は、クリアしていることになります。それから、「最も近い主語」を探すと、‘Tom and John’があり、ルール(3)の②によって、‘Tom and John’=‘each other’が、成立しますので、結果として、OKになるわけですね。

ここで、‘each other’に、「最も近い主語」は、‘pictures’ではないか、という反論もあるかと思いますが、あくまで、助動詞‘will’の主語は、‘of each other’も含めた‘pictures of each other’全体なので、「最も近い主語」の対象とはしないことになります。今度は、以下を見ましょう。

(6)Tom and John wrote a long letter to criticize each other. (〇)
  (トムとジョンは、お互いを批判し合うために、長い手紙を書いた。)

(6)の場合、OKですが、通常、‘to’不定詞は、主語が表面に表れていなくてもよい動詞表現です。しかし、いわゆる、「一般の人」、とでも解釈されない限りは、どこかに、その動詞の主語を求めなければなりません。そこで、(6)では、‘criticize ~’「~ を批判する」の解釈上の主語は、もちろん、‘Tom and John’であり、そこから、結果的に、「最も近い主語」は、‘Tom and John’となりますので、ルール(3)の②によって、‘Tom and John’=‘each other’が正しく決定されます。 (‘to’不定詞の主語が、「一般の人」と解釈される場合に関しては、EG77、参照。)

(7)Her parents decided to help each other. (〇)
  (彼女の両親は、お互い助け合うことに決めた。)

(8)Mary was glad about her parents' decision to help each other. (〇)
  (メアリーは、両親がお互いを助け合うように決めてくれて、嬉しかった。)

(7)では、やはり、‘to’不定詞の動詞‘help ~’「~ を助ける」が、解釈上、‘her parents’「彼女の両親」を主語として取っていて、結果的に、「最も近い主語」は、‘her parents’ですから、ルール(3)の②によって、‘her parents’=‘each other’と、正しく決定され、OKです。

そこから、発展的に、(8)のような文では、‘her parents' decision to help each other’「彼女の両親の、お互いを助け合うという決定」という、いわゆる、「‘decide’(動詞)→‘decision’(名詞)」の変形 (品詞転換) が起こっています。

この場合でも、所有格になった、‘her parents' ~’「彼女の両親の ~」が、そのまま、‘decision’に対して、「解釈上の主語」としてのステイタスを保っています。そこで、ルール(3)の②で補足されている、「解釈上の主語」は、こういったケースにも、対応していることに注意して下さい。ですので、「最も近い主語」は、‘Mary’ではなく、‘her parents'’が選ばれ、‘her parents’=‘each other’と正しく決定されます。 ((7)のような、「動詞 → 名詞」の変形 (品詞転換) については、EG52、参照)

(9)Tom and John think [ that it is natural [ that pictures of each other will
   be popular ] ]. (〇)
  (トムとジョンは [ [ お互いの写真が人気が出るのは ] 当然だと ] 思っている。)

ここで、ちょっと、ルール(3)の②に関して、注意すべき問題点がありますので、補足しておきたいと思います。(9)はOKですが、その解釈は、‘Tom and John’=‘each other’です。しかし、‘each other’に対して、「最も近い主語」は、何かと言うと、実は、‘Tom and John’ではなく、‘it’なんですね。ですので、ルール(3)は、誤って、‘it’=‘each other’を予測してしまいますので、(9)は、ルール(3)の②に対する反例になります。

しかし、この場合は、‘it’が、「それ」という代名詞の意味ではなく、特に意味内容をもっていない、「形式主語」と呼ばれる‘it’であることからして、無視できる対象として扱ってもよいかと思われます。と言いますのも、大体のケースにおいて、‘be natural’のような構文では、本来的な主語は、‘that’節 (この場合、‘that pictures of each other will be popular’) であり、そのように考えるならば、やはり、「最も近い主語」は、‘Tom and John’になるからです。 (形式主語に関しては、EG84、参照)

今回のポイントは、EG91で定義した、‘each other’に関するルールを、さらに、他の例を加えることで、その確からしさを検証してみたわけです。変則的な例も含めて見ましたが、かなり、幅広い例を説明できるルールなので、‘each other’に関する実用英語を習得する上で、大いに役立つことは、間違いありません。是非、お試し下さい。

●関連: EG52EG77EG84EG91

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