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英語脳をつくる!~日本人はいかに効率良く英語を学べるか~

英語学習に関する事いろいろです。日本人がいかにすれば実用英語を身に付けられるか、その最短距離を考察!

英語学習法(91)

2005年08月07日 | 代名詞
ちょっと変わった小ネタですが、‘each other’です。以下、見ましょう。

(1)トムとジョンは、お互いに話しかけた。

(1)の日本語は、「お互いに」、という表現を含んでいますね。これを英語にすると、普通、‘each other’という表現が、当てはまります。では、早速、この‘each other’を使って、(1)を英語にしてみましょう。

(2)Tom and John talked each other. (×) (訳同(1))
(3)Tom and John talked to each other. (〇) (訳同(1))

ん?(2)はアウトですね。そのかわりに、(3)ならば、OKにできるということなんですが、どうやら、これは、‘talk’「話す」が、自動詞であることに、注意しなければならないようです。(2)では、‘talk’の直後に、‘each other’が続いて、アウトになっている一方で、(3)では、「自動詞+前置詞」である、‘talk to ~’の直後に、‘each other’が続いて、OKになっています。

ですので、‘each other’は、実は、名詞なんですね。そこで、日本語で覚える際は、「お互いに」、ではなく、「お互い」、と覚えた方が、間違いがないものと思われます。こういった間違いは、よくあることらしく、‘each other’を、あたかも、副詞のようなものとして、「~ に」まで含めて使っているヒトは、結構、多いですね。これは、基本的な注意点です。

(4)Tom and Susan love each other. (トムとスーザンは、お互い愛しあっている。)
(5)They hate each other. (彼らは、お互いを憎みあっている。)
(6)They speak ill of each other. (連中は、お互いを罵りあっている。)

ところで、(4)~(5)の例を見ても、わかる通り、「お互い」という意味から、思い浮かぶのは、‘Tom and Susan’「トムとスーザン」や、‘they’「彼ら、連中」といった、何らかの複数のものが、前もって存在していることを要求する表現だな、ということです。

ですので、‘each other’は、そういった複数のものが、予め存在していて、初めて使えるのではないか、と思われます。そうなると、‘each other’は、見ようによっては、「代名詞」のようなもの、とも言えるでしょうね。

(7)Each other cannot be seen in the fog. (×) (霧の中では、お互いが見えない。)

(8)Tom and John thought [ that each other could not be seen in the fog ]. (×)
  (トムとジョンは、[ 霧の中では、お互いが見えない ] と思った。)

(7)は、文中に、‘each other’が指すと思われる表現がなく、アウトであることからは、やはり、‘each other’は、何らかの複数のものが、前もって存在していることを要求する表現だとわかります。しかし、今度は、(8)を見る限り、‘each other’に対して、‘Tom and John’がありますから、例え複数のものが、前もって存在していても、アウトになる場合がある、ということです。これは、どういうことでしょうか。

(9)Tom and John will criticize each other. (〇)
  (トムとジョンは、互いを批判しあうだろうね。)

(10)Each other will be criticized by Tom and John. (×)
  (トムとジョンに、お互いが批判されるだろうね。)

(11)Tom and John will be criticized by each other. (〇)
  (トムとジョンは、お互いから批判されるだろうね。)

そこで、今度は、OKである、能動文(9)から、受身文(10)をつくってみましたが、アウトです。(9)では、‘each other’が、目的語だったのですが、一方、(10)では、主語になっていますね。そして、(11)では、受身文のまま、‘Tom and John’を主語にして、‘each other’を、後に追いやったのですが、 OKになりました。

というわけで、ここから、アウトである、(7)、(8)、(10)を、トータルで考えて言えそうなことは、どうやら、‘each other’は、「主語」自体になれない、ということではないでしょうか。((8)も(10)も、アウトですから、‘Tom and John’と、‘each other’の前後関係、つまり、順序の問題が原因である、とは言えません。)

(12)Susan wants him to help Mary.
  (スーザンは、彼にメアリーを助けて欲しいと思っている。)

ところで、(12)のような、「‘want’+A+‘to’不定詞」のような構文では、Aが、カタチの上では、目的格‘him’になっていますので、‘want’の「目的語」なんですが、それと同時に、一方では、解釈上、‘to’不定詞‘to help Mary’の「主語」でもあって、ちょっと、Aが、「カタチ」と「解釈」の関係のはざまで、中途半端なステイタスを与えられているという構文です。 (「彼がメアリーを助ける、ということを、スーザンは望んでいる」、と解釈すれば、わかりやすいと思います。)

(13)Tom and John want each other to help Mary. (〇)
  (トムとジョンは、お互いがメアリーを助けて欲しいと思っている。)

そこで、(13)のように、「‘want’+A+‘to’不定詞」の構文のAに、‘each other’を置いてみましたが、OKになります。これは、どうやら、‘each other’が、主語になれない、とは言っても、「‘want’+A+‘to’不定詞」のような構文においては、解釈上ではなく、目的語としての (カタチとしての) ステイタスの方が優先されて、OKになるようなんです。

(14)Susan wants each other to help Tom and John . (×)
  (スーザンは、お互いがトムとジョンを助けて欲しいと思っている。)

(15)Susan wants Tom and John to help each other . (〇)
  (スーザンは、トムとジョンがお互いを助けあって欲しい、と思っている。)

じゃ、‘each other’が、‘want’の目的語なら、(14)にあるように、‘to’不定詞内にある、‘Tom and John’が指せるのか、というと、これがダメで、アウトになってしまうんですね。これは、ちょっと厄介ですね。

そこで、(14)の ‘each other’と‘Tom and John’の関係を、正しく結び付けられる位置は、(15)にあるように、それぞれ、逆の位置にもっていく、つまり、‘Tom and John’を、‘want’の目的語 (つまり、‘help’にとって解釈上の主語) にして、一方、‘each other’を、‘to’不定詞内にもっていかなくてはなりません。

まあ、ややこしい話なんですが、つまり、‘each other’を正しく使うには、その相手となる表現‘Tom and John’との、相対的な位置関係も考慮しなければならない、ということなんですね。「‘want’+A+‘to’不定詞」のような構文では、‘want’以外に、もう1つ、‘to’不定詞という、動詞が含まれます。そして、動詞は、普通、主語を何らかの方法で求めます。

ですので、まず、‘each other’が、「主語」であってはならない、というよりも、むしろ、①・「主格」を与えられてはならない、という「格」の条件に修正する必要があります。加えて、②・相手となる (イコール (=) 解釈となる) ような名詞表現が、「目的語」ではなく、「最も近い主語」になっているか、という2点が、ポイントとなります。ここで言う、「最も近い主語」とは、カタチの上での主語も、解釈上の主語も、どちらも含んでいます。

(16)Tom and John want the people to help each other.
(17)a. トムとジョンは、その人々がお互いを助けあって欲しい、と思っている。 (〇)
   b. その人々に、トムとジョンは、お互いを助けて欲しいと思っている。 (×)

(16)の解釈としては、(17a)のように、‘each other’と‘the people’が結び付く (イコール (=) 解釈となる) ような場合、OKですが、一方、(17b)のように、‘each other’と‘Tom and John’が結び付く場合、アウトになります。ですので、②の、「最も近い主語」という定義が必要となります。

(18)Tom and John want to help each other. (〇)
  (トムとジョンは、お互いを助けあいたいと思っている。)

(18)はOKです。この文では、‘Tom and John’が、‘want’の主語であるのは、当然なんですが、同時に、解釈上は、‘help’の主語でもあるわけですから、 (16)のケースにおける、‘the people’のような、別解釈の主語ではないため、結果的に、最も近い主語は、やはり、‘Tom and John’であり、‘each other’とのイコール関係が成立します。

あと、①の、「主格」を与えられていない、という定義ですが、これに関しては、以下のようなケースに対応させる、という意味でも、有効です。

(19)Tom and John saw pictures of each other. (〇)
   (トムとジョンは、お互いの写真を見た。)

(20)Tom and John love each other's sisters. (〇)
   (トムとジョンは、お互いの妹を愛している。)

(19)は、OKです。そして、その‘each other’は、動詞から目的格を与えられているわけではありませんが、前置詞‘of ~’の目的語なので、やはり、「目的格」を与えられている、ということになり、「主格」ではありません。 ((3)と(6)も、あわせて確認して下さい。) 一方、(20)もOKですが、‘each other's sisters’の、‘each other's’は、もちろん、「所有格」なので、やはり、「主格」ではない、ということになります。では、以下に、‘each other’の要点をまとめてみます。

(21)‘each other’は、独立して使うことができず、同一文中に、
   相手となるべき (イコール (=) 解釈となるような) 名詞表現を
   必要とする。

(22)‘each other’は、①・主格を与えられる位置に生じてはならない、
   ②・最も近い主語 (解釈上の主語も含む) を相手に選ぶ、という、
   2つの条件を、同時に満たしていなければならない。

以上、‘each other’の使用上の注意点を述べました。今回のポイントは、‘each other’の使用には、実は、文法上の位置制限がある、ということです。‘each other’の使用は、学校の英文法では、精々、代名詞だから注意しなさい、という程度のことしか教わらないため、割と軽視される傾向にあります。

しかし、実用英語においては、よく使われる表現だと思いますし、実際、なかなか上手く使いこなせていない、という印象が強い表現なのです。今回のやり方で、‘each other’の全てを言い尽くしたわけではありませんが、これで、初歩的な使用例としては、十分、実用的な領域に達していると思います。もう少し、詰めて考えなければならない問題もありますが、‘each other’に関する、トピックは、またの機会です。

■注1 :‘each other’は、「代名詞」である、とは言っても、本来の代名詞とは、違った振る舞い方をします。‘Tom and John saw each other.’「トムとジョンは、お互いを見た。」、の場合は、必ず、‘Tom and John’=‘each other’、の解釈でなければなりません。しかし、一方、‘Tom and John saw them.’「トムとジョンは、彼らをみた。」は、‘Tom and John’=‘them’、と解釈することは、不可能で、必ず、別の人を、指さなくてはなりません。また、本来の代名詞は、‘He loves Mary.’「彼は、メアリーが好きなんだよ。」、などが、OKですから、独立して使用することが可能で、同一文中に、イコール (=) 解釈となるような、相手となるべき名詞表現を必要とはしません。

■注2 :「主語」である、ということと、「主格」を与えられている、ということは、本来、別個の問題であり、常に同一視する、というわけにはいきません。その一例として、例えば、‘to’不定詞の「主語」が、「目的格」の姿をしていることについては、‘It is a waste of time for him to study English’「彼が英語の勉強なんて、時間のムダだよ。」、という文からも、明らかです。あわせて、EG43も、参照して下さい。


●関連: EG43

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英語学習法(90)

2005年08月07日 | 変形
一般には、「省略」として扱われている現象についてです。以下、見ましょう。

(1)It seems that Jack is a good teacher. (ジャックは良い教師のようだね。)
(2)Jack seems to be a good teacher. (訳同上)

(1)と(2)は、ほぼ同じ意味をもっていると思われます。加えて、(1)と(2)の関係は、(1)の‘that’節内の主語‘Jack’「ジャック」が、(2)では、‘seem’の主語位置に移動する、という、「変形」によって、結び付けられる表現であることも、確立されているものと思われます。 (EG62、参照)

(3)Jack seems a good teacher. (〇) (訳同(1))

ところで、(2)から、さらに、(3)のような文にすることもできます。見て、おわかりの通り、(2)から、‘to be’を消去しているわけですね。実は、英語には、特定の構文において、よく、‘to’不定詞が‘to be’の場合、その‘to be’を消去する、といったことがあるんです。しかし、日本語訳は、(1)~(3)まで、全て同じですから、ただ、カタチが変化しただけで、意味には、違いがない、ということになりますね。

じゃ、カタチばっかり変わっていて、意味に差がないなんて、英語はムダが多くて、エラく不経済なコトバだな、と感じるかも知れません。しかし、今回、英語は、こういったことに関しては、実際、そうでもなさそうだ、というお話をしてみたいと思います。まず、以下を見てみましょう。

(4)It seems that Jack is a teacher. (〇) (ジャックは教師のようだね。)

(5)Jack seems to be a teacher. (〇) (訳同上)

(6)Jack seems a teacher. (×) (訳同上)

(1)~(3)では、最後の表現に、‘a good teacher’を使っていたんですが、そこから、‘good’を消して、(4)~(6)では、‘a teacher’に変えてみました。すると、(4)と(5)は、OKのままなんですが、一方、何と、(6)がアウトになってしまいました。これは、どういうことなんでしょうか。

問題は、‘a good teacher’「良い教師」から、‘good’「良い」を消去したことで、発生したわけですから、もちろん、‘good’の有無に原因がある、と考えなければなりません。そこで、‘good’の有無には、どういった影響力が潜んでいるのか、ということですが、まず、以下の比較を見ましょう。

(7) a. very good teacher (〇) (とても良い教師)、
   b. pretty good teacher (〇) (かなり良い教師)、
   c. a little good teacher (〇) (ちょっと良い教師)

(8) a. very teacher (×) (とても教師)
   b. pretty teacher (×) (かなり教師)
   c. a little teacher (×) (ちょっと教師)、

(7a-b)の表現は、全てOKですが、一方、(8a-b)の表現は、対応する日本語に対しては、全てアウトです。 (違う意味でなら、OKになるものもあります。) ここから、明らかにわかるのは、「程度」の表現が適合するか、否か、です。‘good’は、どのくらい、「良い」といえるのか、‘very’「とても」や、‘a litttle’「ちょっと」、といった表現を付け足して、その「程度」を表すことが可能です。

しかし、一方で、‘teacher’「教師」という表現そのものは、「程度」を問題にすることが不可能で、「教師」でなければ、別の職種だな、となるだけのことなんですね。つまり、「教師」であるか否かは、誰が見ても一律に、「〇・×」式に、ハッキリと、判断が下せるわけです。つまり、‘teacher’は、「客観」表現と言ってもよいでしょう。

しかし、「程度」という概念は、誰が見ても、ハッキリとした明確な基準があり、線引きが可能な概念か、というと、そうでもありません。あるヒトからみれば、「とても良い」モノが、他人から見れば、何であんなモンが良いんか?となることは、よくあることですからね。つまり、‘good teacher’は、「主観」表現であると言えますね。

そこで、(3)と(6)に戻って、どうやら、(3)のような、‘seem’の直後に‘to be’がない文は、「主観」に依存する判断が好まれるようなのです。そこで、(6)がアウトである理由は、主観的な判断に依存しにくい文になっているためだ、と言えます。では、今度は、「客観」の側からの判断を考えてみます。

(9)It seemed that Jack was a good teacher、but it didn't seem
   that he was a good teacher. (×)
  (ジャックは良い教師に思われたが、そうではないようだった。)

そこで、今度は、(9)ですが、‘but’「しかし」を挟んで、前半と後半の文は、同じ、「‘it seems’+‘that’節」の構文を使っています。そして、(9)はアウトになっています。ここから、どういったことが言えるんでしょうか。その前に、以下の比較材料をみて下さい。

(10)It seemed that Jack was a good teacher、but he didn't seem
  (to be) a good teacher. (〇) (訳同(9))

(10)では、(9)の後半の文を、‘seem (to be) ~’の構文に変えて、OKになりました。つまり、(9)と(10)の可否から、「‘it seems’+‘that’節」の構文は、主観に強く依存する判断を好まない、と結論づけてよい、と言えます。

と言うのも、もし、「‘it seems’+‘that’節」の構文が、「主観・客観」の判断に対して、割と無頓着な構文であるなら、(9)は、前半の文と後半の文を、自由に、「主観的判断+‘but’+客観的判断」というようにしたり、逆に、「客観的判断+‘but’+主観的判断」というように、それぞれ、別々の解釈を与えれば、矛盾なく解釈できるはずだからです。

しかし、後半に主観的判断が好まれる、‘to be’消去タイプの‘seem a good teacher’を使った(10)の場合、OKになるわけですから、「‘it seems’+‘that’節」の構文は、客観的判断が好まれる、とするよりありません。

そして、さらに、‘seem to be ~’のタイプも、(10)では、OKであることからは、「‘it seems’+‘that’節」の構文と、矛盾を起こさない程度には、主観的である、と言えると思います。(もちろん、‘to be’消去タイプの方が、主観依存度が強いのは、(5)と(6)のコントラストから、明らかです。)

つまり、(10)の詳しい状況解釈は、ジャックの教師としての仕事ぶりに関して、何らかの調査が成されて、提出された調査結果を資料として見て、ジャックは良い教師である、と思っていたのに、実際、現場に出向いて、ジャックの仕事ぶりを見ていると、自分には、そうは思えない、という、「資料」という客観性の強い判断と、「自分の印象」という主観性の強い判断との間に、食い違いが起こっているような場面です。

今回のポイントは、(1)~(3)のような、関連性が高いと思われる構文には、「客観・主観」の段階性という、一連の流れがある、ということです。(1)は、客観性の強い判断であると思われるような場合に好まれ、一方、(3)は、主観性の強い判断であると思われるような場合に好まれます。

意味的には、どれも同じである、とは言っても、その「使用環境」に関しては、同じではない、ということなんですね。こういったことは、英語の様々な側面から見受けられることなので、また機会を改めて、いろいろと見ていきたいと思います。

●関連: EG62

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英語学習法(89)

2005年08月07日 | 変形
今回、変な英語をやっちゃう前に、その予防策です。以下、見ましょう。

(1)a picture of Mary (メアリーが写っている写真)

(1)のように、‘a picture of ~’「~ の写真」は、普通、「~ が写っている写真」、というような意味で、表現することができます。ですので、意外と単純で、あまり、ゴチャゴチャ考える必要がなくて、便利ですね。さらに、以下を見ましょう。

(2)John's picture of Mary (メアリーが写っているジョンの写真)

(2)では、所有格である、‘John's ~’「ジョンの ~」が、(1)の冠詞、‘a’に、置きかわっています。そして、その意味としては、「ジョンが持っているメアリーが写った写真」、とか、少し、余計に意味が付加されて、「ジョンが撮影したメアリーの写真」、というくらいの意味になります。

(3)Tom saw a picture of Mary. (トムは、メアリーが写っている写真を見た。)
(4)Tom saw John's picture of Mary. (トムは、メアリーが写っているジョンの写真を見た。)

そこで、(1)と(2)を使って、(3)と(4)のような、ごく普通の文にしてみたんですが、もちろん、全く問題なく、OKになります。ここまでは、大したことはありません。ところで、以下の日本語を、英語で表現すると、どうなるんでしょうか。

(5)トムは、誰が写っている写真を見たの?
(6)トムは、誰が写っているジョンの写真を見たの?

これは簡単。もう、おわかりでしょうが、まず、(3)を手掛かりにして、(5)を考えれば、よいわけですね。そして、同様に、(4)を手掛かりにして、(6)を考えれば、よいわけですね。どうやら、‘Mary’「メアリー」が、疑問詞‘who’になるような疑問文をつくってやれば、よいみたいです。では、最初に、(5)を、英語にしてみましょう。

(7)Who did Tom see a picture of _ ? (〇) (訳同(5))

(7)は、(3)の‘Mary’を、‘who’に変えて、文の先頭まで移動しました。こういった、疑問詞を使った疑問文は、英語では、日本語とは違って、その移動がルールとして決まっているので、それに従って、そのまま、(7)のように、文の先頭まで‘who’「誰」を移動しただけです。そして、それは、何も問題ありません。では、今度は、(6)を、英語にしてみましょう。 (疑問詞の移動に関しては、EG47、参照)

(8)Who did Tom see John's picture of _ ? (×) (訳同(6))

ん?アウト?何でデスカ?そうですね。やっぱり、(8)は、アウトなんだそうです。これは、かなり悪い英語なんだそうで、もう諦めるより仕方ありません。そこで、(7)との比較になるんですが、その違いは、‘picture’の前にある、‘a’か、‘John's’か、でしかないわけで、そこに原因を求めるしか、他に方法はありません。ところで、以下もあわせて、比較してみましょう。

(9)Tom saw the picture of Mary. (〇)
  (トムは、メアリーが写っているその写真を見た。)

(10)Who did Tom see the picture of _ ? (×)
  (トムは、誰が写っているその写真を見たの?)

OKである(9)から、(10)の疑問文をつくってみましたが、(10)は、ちょっと、おかしく感じるらしく、アウトです。そこで、(3)は、‘a picture ~’、(4)は、‘John's picture ~’となっていましたが、一方、(9)では、‘the picture ~’というように、定冠詞‘the’になっていますね。

そこで、(8)と(10)を比較してみて、両方とも、アウトになってはいますが、実は、(8)が、かなり悪い、と判断される一方で、(10)は、おかしく感じられる、といった程度の判断を受けるので、アウトである、とは言っても、同じ程度でアウトになる、とは言えません。ですので、(10)は、(8)ほどには、悪くはない、と言えそうです。そこで、さらに、以下の比較材料を、見てみましょう。

(11)Tom saw that picture of Mary. (〇)
  (トムは、メアリーが写っているあの写真を見た。)

(12)Who did Tom see that picture of _ ? (×)
  (トムは、誰が写っているあの写真を見たの?)

今度は、(11)ですが、‘that picture ~’「あの ~ 写真」としてみました。ここでも、やはり、‘Mary’を、‘who’に変えてから、文の先頭に移動させて、(12)のようにしてみました。そこで、(12)も、結果はアウトですが、その判断の中身としては、(8)よりは、マシだが、(10)よりは悪い、ということになるようです。では、以下に、(7)、(8)、(10)、(12)の文法性に関する要点を、まとめてみます。

(13)不定冠詞‘a’ > 定冠詞‘the’ > 指示代名詞‘that’ > 所有格‘John's’

(13)では、‘a’>‘the’>‘that’>‘John's’の順番に、単語を並べてありますが、最も左がOKで、そこから右に行くにしたがって、悪いと判断される度合いが、強くなっています。そこで、ハッキリ言えるだろうこととして、「定・不定」の度合いに、強弱がある、ということですね。

つまり、不定冠詞‘a’よりも、定冠詞‘the’の方が、名詞を特定する力が強いのは、もちろん、当たり前なんですが、一方で、その‘the’よりも、‘that’の方が、特定する力は強いのです。例えば、ただ、話の中に出てきた、「その写真」、よりも、具体的に、目で見て、指差しながら、「あの写真」、という場合の方が、特定している感じが強い、と言えますね。

そして、これが、‘John's’、ともなると、直接、そのまま、誰であるか (何であるか) を指していますから、「特定」感が、最も強い、ということになるわけですね。つまり、こういった「特定」感が、強ければ強い名詞ほど、その中からの要素の移動に対して、障壁となりやすい、というようなことが、英語にはあるんです。 (「特定」の詳細は、EG72、参照)

今回のポイントは、英語の疑問詞の移動と、「特定」の概念との関わり合いです。英語の疑問詞は、移動しなくてはならない、というルールがあるクセに、その一方で、それを妨げるような要因も、同時に内在しているという、何だか、ヘソ曲がりなところのあるコトバなんですが、学校では習わない、こういったことは、実用英語の世界では、重要と思われます。

英語の名詞は、不定冠詞‘a’が付いたり、定冠詞‘the’が付いたりして、よく、「不定」か「定」か、を問題にしやすい傾向がありますので、面倒ではありますが、多少は、こういったことにも、注意しておかなければならない場合があります。

特に、英語に特有の、「疑問詞の移動」は、意外にも、そういった、「特定」感の強さに影響を受ける、といった側面があることが、今回、明らかになりました。疑問詞を使った文を練習する際には、こういったことも考えながら、変な文にならないように、注意して下さいませ。

●関連: EG47EG72

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