EG70の続きです。‘be’動詞です。‘A is B’の構文の内訳はどうなっているのかを考えたいと思います。以下、見ましょう。
(1)John is a teacher. (ジョンは教師です。)
(1)では、主語‘John’「ジョン」は、何かというと、すなわち、‘a teacher’「教師」である、ということで、「ジョン=教師」という関係を文にしたものですね。EG70では、‘be’動詞が固有の意味、「存在する」をもっている場合がある、ということを説明しましたが、一方、(1)の文では、‘be’動詞の‘is’に、そのような意味はなく、ただ、‘A is B’「AはBだ」というように、AとBを、「イコールの関係」で連結するような役割しか果たしていません。
ですので、(1)は、‘be’動詞が、現在形‘is’というカタチをもっているということを考慮しても、時間に関する意味、つまり、「時制」以外は、特に、実質的な意味はもっていないと言ってもよいでしょう。そこで、普通、‘be’動詞と言えば、一般的に文法上の機能、つまり、「前後の連結」というカタチが主な役割ということになります。
(2)John is running. (ジョンは走っている。)
(3)Sue was sued. (スーはスーされた(訴えられた)。)
(2)の進行形、‘be+-ing’や、(3)の受身文、‘be+過去分詞’のような文でも、カタチ全体から、その意味や文法上の機能が決定されるだけで、‘be’動詞そのものが固有の意味をもっているとは言えません。というわけで、こういったことを踏まえた上で、‘A is B’「AはBだ」の構文を考えてみたいと思います。
(4)A teacher is John. (×) (教師はジョンです。)
(4)は、いきなりアウトですが、(1)の主語‘John’(=A)と、‘a teacher’(=B)の前後をひっくり返して、‘B is A’「BはAだ」の文にしたものです。算数などでは、「A=B」は、「B=A」としても、論理的には、不都合はないんですけど、コトバの場合は、ちょっと、そういうわけにはいきません。これは、学校などの英文法でよく教えられるように、単純に、「A=B」と解釈して、ハイ終わり、というものでもなく、コトバの基本である、「主語・述語」の特徴を考えなければならないからです。
(5)The teacher is John. (その教師はジョンです。)
(5)は、もちろん、OKの文ですが、(4)の不定冠詞‘a’が付いた ‘teacher’を、定冠詞‘the’がついたものに変えただけです。ここから、‘A is B’の構文の中では、Aに対して、ある条件が付いているのがわかります。つまり、(4)のように、「不定」の解釈になるようなものは主語にはなれない、ということです。
「不定」というのは、「ジョン」、「日本」、「この人」などのような「唯一的」解釈ができないもので、かわりに、「種類」としての扱いを受けるものの中の1つ(単数)、または、いくつか(複数)のことを指して言います。例えば、世の中には、「教師」という職業の人は、たくさんいますので、その中から、誰とは特定せずに、「ある1人の教師」という場合や、「何人かの教師」という場合は、「不定」になります。しかし、一方で、「その教師」、という言い方からは、どの教師であるかが、わかっている、ということになりますので、「定」ということになります。(EG31も、あわせて参照)
(6)A teacher is a kind of office worker. (〇) (教師だって、会社員みたいなものだ。)
(6)の‘a teacher’は、(4)とは違って、OKなんですが、なぜなんでしょうか?これは、‘a’が付けば、何でも「不定」になる、というわけではないからなんです。(6)の‘a teacher’は、その意味からして、「教師というもの」、「教師という職業の人」、というように、この世の中の「教師」とされる全員を対象にして、その1人1人が誰だって、と言っているわけですね。
このように、ある種類というワクの中の「1つ」とか、「いくつか」の場合は、「不定」になっても、一方で、まるまる、そのワクの中にある全てをひっくるめて、対象者として扱う場合は、「不定」にはなりません。まさに、ある「種類」の中のどれであろうと例外なく、という感じの解釈になりますね。
こういった解釈を受ける、(6)の‘a teacher’のようなものを、よく文法の本などでは、「総称」と呼んでいます。ですので、このような「総称」解釈の‘a teacher’は、もともとの意味が違う、という点で、(4)のような、「不定」解釈の主語がアウトになる文に対する反例にはなりません。ですが、これで、‘A is B’の構文の本質が、スッキリわかったかと言えば、ちょっと厄介な例もありまして、それは、以下のようなものです。
(7)One of them is John. (ヤツらの1人はジョンだよ。)
(8)A friend of mine is John. (私の友達の1人は、ジョンよ。)
(7)の‘one’「1人」は、そのまんま、‘them’「ヤツら」の中の任意の1人を指し、一方、(8)の‘a friend’「1人の友達」も、そんまんま、‘mine’「私の(友達)」の中の任意の1人を指しているわけですから、‘one’も、‘a friend’も、どちらも、「不定」ということになります。これは、さすがに、(4)の「不定」解釈の‘a teacher’がアウトになる文と矛盾しているように見えます。
しかし、この場合、‘one’も、‘a friend’も、ある「特定」を受けた、‘them’や、‘mine’というワク、つまり、「種類」とは異なっていて、むしろ、「特定された数」の中の1人である、という点が、ポイントになります。この「特定」を受けている、‘them’や、‘mine’といった表現の中に、‘one’や、‘a friend’といった、「不定」解釈を受けるものが置かれていても、それは、完全には、「不定」ではないもの、として扱われるのです。これを言いかえれば、‘one of them’や、‘a friend of mine’全体を見て、「弱い特定」と言ってもよいかも知れません。
この、「弱い特定」の概念の有効性を支持する証拠は、まさに、(5)の例で、「その教師」の意味として、指している人物そのものは、主語‘the teacher’の段階では、まだハッキリとは明示されていなくて、‘~ is John’「~ はジョンです」という、述語の部分でハッキリと明示されるわけですね。
つまり、(5)の文は、主語が、特定は特定でも、段階性がある特定ということで、「弱い特定」になるのに対して、それをハッキリさせるために、述語の部分で、「完全な特定」を述べているわけですね。(7)と(8)も、全く同様に、この解釈が成り立ちます。ここから、「弱い特定 → 完全な特定」という解釈が、‘A is B’「AはBだ」の構文の表している意味の1つだと思われます。
ここで、‘A is B’の構文が表している意味の「1つ」、と言ったのは、もちろん、(1)のような文があるのを忘れてはならないからです。(1)のような文は、主語である「ジョン」が、まさしく、「完全な特定」の解釈であり、「弱い特定 → 完全な特定」、という解釈の公式に当てはまりません。そこで、よく考えると、実は、(1)のような文は、以下のような文と類似の構文なのです。
(9) John is very tall. (ジョンはとても背が高い。)
(10)An elephant is very heavy. (ゾウはとても重い。)
(9)や(10)のような文は、‘A is B’の、Bの部分に形容詞‘tall’「背が高い」や、‘heavy’「重い」がきていて、名詞以外の表現がきていますが、形容詞や副詞や前置詞句などがきても、OKなのです。この構文の解釈上の特徴は、(5)、(7)、(8)のような、必ずBが名詞表現になる、「イコール」の解釈というものではなく、Aの「性質」や「様態」を述べる、というものです。
この点、(2)や、(3)も、カタチの上では、名詞以外のものが、‘be’動詞の後にくるので、(9)や(10)の仲間に入りますが、表現できる意味は、「性質」や「様態」以外に、「行為」や、「出来事」も含まれるので、純粋な意味での、‘A is B’の構文ではありません。
そして、(9)や(10)は、主語(=A)の部分には、(9)の、「定」解釈になるもの‘John’や、(10)の、‘an elephant’「ゾウ(というもの)」のように、「総称」として解釈されるものがきますので、(1)のような‘A is B’の構文の主語(=A)に対する条件と、全く同じです。そこから考えると、(6)の文は、(9)や(10)の文の仲間ということになりますね。その証拠として、以下の文はアウトになります。
(11)A kind of office worker is a teacher. (×) (一種の会社員は教師だ。)
(11)は、(6)の、‘a teacher’(=A)と、‘a kind of office worker’(=B)を、ひっくり返した文ですが、意味不明でアウトになっています。これは、(1)がOKで、(4)がアウトである、という関係と全く同じものですね。‘a kind of office worker’「一種の会社員」という表現は、会社員という職業もいろいろあるわけですから、その中の1つ、つまり、職種の中の1つとして考えられるので、「不定」になりますね。では、確認のために、今度は、「イコール」解釈を受ける、(5)、(7)、(8)の文も、‘A is B’の、AとBをひっくり返して、Bを主語にしてみます。
(12)John is the teacher. (〇) (ジョンが、その教師だよ。)
(13)John is one of them. (〇) (ジョンは、ヤツらのうちの1人なのさ。)
(14)John is a friend of mine. (〇) (ジョンは、私の友達の1人よ。)
やはり、「イコール」解釈の‘A is B’構文は、純粋に、「イコール」の特徴が出ているようで、‘A is B’の、AとBをひっくり返して、Bを主語にしても、意味がおかしくなる、ということはありませんね。つまり、「完全な特定 → 弱い特定」という、逆の流れからの解釈も許す、ということですね。
以上から、今回のポイントとして、EG70の、「存在」の‘be’動詞以外に、連結機能をもった‘be’動詞がある、ということがわかったと思います。そして、この連結タイプの‘be’動詞を大きく分けると、意味の面から、2タイプの解釈がある、ということです。1つは、「イコール」解釈の連結で、AとBの特徴は、「弱い特定(A) → 完全な特定(B)」 か、または、「弱い特定(B) → 完全な特定(A)」 という、どちらの流れでもOKになる、ということです。
そして、もう1つは、AとBをひっくり返すことができないもので、「イコール」関係というよりも、純粋な意味での、「主語・述語」の関係、という解釈ですね。このタイプは、「イコール」関係の解釈である、‘A is B’と同様に、主語が、「不定」であってはならない、という特徴がありますが、「イコール」関係解釈の‘A is B’との、決定的な差異は、主語に、「総称」解釈の表現を許す、ということです。この、「主語・述語」タイプの‘A is B’は、述語に、「性質」や「様態」の意味が表現されているので、名詞以外に、形容詞の他、いろいろな品詞がきてもOKです。
この、‘A is B’の構文を、細かく見ていけば、まだ、ちょっと分類分けできるのですが、最も押さえておくべき特徴は、今回の2タイプです。‘be’動詞って、奥が深いですね。
■注1 :今回、‘A is B’の、AとBを、「ひっくり返す」と表現しているのは、「倒置」する、という意味ではありません。純粋に、Bを主語に立てる、という意味です。
■注2 :もちろん、「ジョン」は、「ジョンという名前」、の意味になる場合は、それ自体で、「特定」されているとは言えなくなります。「ジョンという名前」の意味の場合は、「ジョン (という名前の人) は、たくさんいるからね。」、などとと言えます。
■注3 :今回は、‘the teacher’「その教師」と、‘one of them’「ヤツらの内の1人」などを、「弱い特定」と、ひと括りに扱っていますが、これらの間にも、当然、「特定」の意味に、段階性はあります。‘the teacher’の方が、‘one of them’よりも、「特定」している感じは強いと言えます。
●関連: EG31、EG70、
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(1)John is a teacher. (ジョンは教師です。)
(1)では、主語‘John’「ジョン」は、何かというと、すなわち、‘a teacher’「教師」である、ということで、「ジョン=教師」という関係を文にしたものですね。EG70では、‘be’動詞が固有の意味、「存在する」をもっている場合がある、ということを説明しましたが、一方、(1)の文では、‘be’動詞の‘is’に、そのような意味はなく、ただ、‘A is B’「AはBだ」というように、AとBを、「イコールの関係」で連結するような役割しか果たしていません。
ですので、(1)は、‘be’動詞が、現在形‘is’というカタチをもっているということを考慮しても、時間に関する意味、つまり、「時制」以外は、特に、実質的な意味はもっていないと言ってもよいでしょう。そこで、普通、‘be’動詞と言えば、一般的に文法上の機能、つまり、「前後の連結」というカタチが主な役割ということになります。
(2)John is running. (ジョンは走っている。)
(3)Sue was sued. (スーはスーされた(訴えられた)。)
(2)の進行形、‘be+-ing’や、(3)の受身文、‘be+過去分詞’のような文でも、カタチ全体から、その意味や文法上の機能が決定されるだけで、‘be’動詞そのものが固有の意味をもっているとは言えません。というわけで、こういったことを踏まえた上で、‘A is B’「AはBだ」の構文を考えてみたいと思います。
(4)A teacher is John. (×) (教師はジョンです。)
(4)は、いきなりアウトですが、(1)の主語‘John’(=A)と、‘a teacher’(=B)の前後をひっくり返して、‘B is A’「BはAだ」の文にしたものです。算数などでは、「A=B」は、「B=A」としても、論理的には、不都合はないんですけど、コトバの場合は、ちょっと、そういうわけにはいきません。これは、学校などの英文法でよく教えられるように、単純に、「A=B」と解釈して、ハイ終わり、というものでもなく、コトバの基本である、「主語・述語」の特徴を考えなければならないからです。
(5)The teacher is John. (その教師はジョンです。)
(5)は、もちろん、OKの文ですが、(4)の不定冠詞‘a’が付いた ‘teacher’を、定冠詞‘the’がついたものに変えただけです。ここから、‘A is B’の構文の中では、Aに対して、ある条件が付いているのがわかります。つまり、(4)のように、「不定」の解釈になるようなものは主語にはなれない、ということです。
「不定」というのは、「ジョン」、「日本」、「この人」などのような「唯一的」解釈ができないもので、かわりに、「種類」としての扱いを受けるものの中の1つ(単数)、または、いくつか(複数)のことを指して言います。例えば、世の中には、「教師」という職業の人は、たくさんいますので、その中から、誰とは特定せずに、「ある1人の教師」という場合や、「何人かの教師」という場合は、「不定」になります。しかし、一方で、「その教師」、という言い方からは、どの教師であるかが、わかっている、ということになりますので、「定」ということになります。(EG31も、あわせて参照)
(6)A teacher is a kind of office worker. (〇) (教師だって、会社員みたいなものだ。)
(6)の‘a teacher’は、(4)とは違って、OKなんですが、なぜなんでしょうか?これは、‘a’が付けば、何でも「不定」になる、というわけではないからなんです。(6)の‘a teacher’は、その意味からして、「教師というもの」、「教師という職業の人」、というように、この世の中の「教師」とされる全員を対象にして、その1人1人が誰だって、と言っているわけですね。
このように、ある種類というワクの中の「1つ」とか、「いくつか」の場合は、「不定」になっても、一方で、まるまる、そのワクの中にある全てをひっくるめて、対象者として扱う場合は、「不定」にはなりません。まさに、ある「種類」の中のどれであろうと例外なく、という感じの解釈になりますね。
こういった解釈を受ける、(6)の‘a teacher’のようなものを、よく文法の本などでは、「総称」と呼んでいます。ですので、このような「総称」解釈の‘a teacher’は、もともとの意味が違う、という点で、(4)のような、「不定」解釈の主語がアウトになる文に対する反例にはなりません。ですが、これで、‘A is B’の構文の本質が、スッキリわかったかと言えば、ちょっと厄介な例もありまして、それは、以下のようなものです。
(7)One of them is John. (ヤツらの1人はジョンだよ。)
(8)A friend of mine is John. (私の友達の1人は、ジョンよ。)
(7)の‘one’「1人」は、そのまんま、‘them’「ヤツら」の中の任意の1人を指し、一方、(8)の‘a friend’「1人の友達」も、そんまんま、‘mine’「私の(友達)」の中の任意の1人を指しているわけですから、‘one’も、‘a friend’も、どちらも、「不定」ということになります。これは、さすがに、(4)の「不定」解釈の‘a teacher’がアウトになる文と矛盾しているように見えます。
しかし、この場合、‘one’も、‘a friend’も、ある「特定」を受けた、‘them’や、‘mine’というワク、つまり、「種類」とは異なっていて、むしろ、「特定された数」の中の1人である、という点が、ポイントになります。この「特定」を受けている、‘them’や、‘mine’といった表現の中に、‘one’や、‘a friend’といった、「不定」解釈を受けるものが置かれていても、それは、完全には、「不定」ではないもの、として扱われるのです。これを言いかえれば、‘one of them’や、‘a friend of mine’全体を見て、「弱い特定」と言ってもよいかも知れません。
この、「弱い特定」の概念の有効性を支持する証拠は、まさに、(5)の例で、「その教師」の意味として、指している人物そのものは、主語‘the teacher’の段階では、まだハッキリとは明示されていなくて、‘~ is John’「~ はジョンです」という、述語の部分でハッキリと明示されるわけですね。
つまり、(5)の文は、主語が、特定は特定でも、段階性がある特定ということで、「弱い特定」になるのに対して、それをハッキリさせるために、述語の部分で、「完全な特定」を述べているわけですね。(7)と(8)も、全く同様に、この解釈が成り立ちます。ここから、「弱い特定 → 完全な特定」という解釈が、‘A is B’「AはBだ」の構文の表している意味の1つだと思われます。
ここで、‘A is B’の構文が表している意味の「1つ」、と言ったのは、もちろん、(1)のような文があるのを忘れてはならないからです。(1)のような文は、主語である「ジョン」が、まさしく、「完全な特定」の解釈であり、「弱い特定 → 完全な特定」、という解釈の公式に当てはまりません。そこで、よく考えると、実は、(1)のような文は、以下のような文と類似の構文なのです。
(9) John is very tall. (ジョンはとても背が高い。)
(10)An elephant is very heavy. (ゾウはとても重い。)
(9)や(10)のような文は、‘A is B’の、Bの部分に形容詞‘tall’「背が高い」や、‘heavy’「重い」がきていて、名詞以外の表現がきていますが、形容詞や副詞や前置詞句などがきても、OKなのです。この構文の解釈上の特徴は、(5)、(7)、(8)のような、必ずBが名詞表現になる、「イコール」の解釈というものではなく、Aの「性質」や「様態」を述べる、というものです。
この点、(2)や、(3)も、カタチの上では、名詞以外のものが、‘be’動詞の後にくるので、(9)や(10)の仲間に入りますが、表現できる意味は、「性質」や「様態」以外に、「行為」や、「出来事」も含まれるので、純粋な意味での、‘A is B’の構文ではありません。
そして、(9)や(10)は、主語(=A)の部分には、(9)の、「定」解釈になるもの‘John’や、(10)の、‘an elephant’「ゾウ(というもの)」のように、「総称」として解釈されるものがきますので、(1)のような‘A is B’の構文の主語(=A)に対する条件と、全く同じです。そこから考えると、(6)の文は、(9)や(10)の文の仲間ということになりますね。その証拠として、以下の文はアウトになります。
(11)A kind of office worker is a teacher. (×) (一種の会社員は教師だ。)
(11)は、(6)の、‘a teacher’(=A)と、‘a kind of office worker’(=B)を、ひっくり返した文ですが、意味不明でアウトになっています。これは、(1)がOKで、(4)がアウトである、という関係と全く同じものですね。‘a kind of office worker’「一種の会社員」という表現は、会社員という職業もいろいろあるわけですから、その中の1つ、つまり、職種の中の1つとして考えられるので、「不定」になりますね。では、確認のために、今度は、「イコール」解釈を受ける、(5)、(7)、(8)の文も、‘A is B’の、AとBをひっくり返して、Bを主語にしてみます。
(12)John is the teacher. (〇) (ジョンが、その教師だよ。)
(13)John is one of them. (〇) (ジョンは、ヤツらのうちの1人なのさ。)
(14)John is a friend of mine. (〇) (ジョンは、私の友達の1人よ。)
やはり、「イコール」解釈の‘A is B’構文は、純粋に、「イコール」の特徴が出ているようで、‘A is B’の、AとBをひっくり返して、Bを主語にしても、意味がおかしくなる、ということはありませんね。つまり、「完全な特定 → 弱い特定」という、逆の流れからの解釈も許す、ということですね。
以上から、今回のポイントとして、EG70の、「存在」の‘be’動詞以外に、連結機能をもった‘be’動詞がある、ということがわかったと思います。そして、この連結タイプの‘be’動詞を大きく分けると、意味の面から、2タイプの解釈がある、ということです。1つは、「イコール」解釈の連結で、AとBの特徴は、「弱い特定(A) → 完全な特定(B)」 か、または、「弱い特定(B) → 完全な特定(A)」 という、どちらの流れでもOKになる、ということです。
そして、もう1つは、AとBをひっくり返すことができないもので、「イコール」関係というよりも、純粋な意味での、「主語・述語」の関係、という解釈ですね。このタイプは、「イコール」関係の解釈である、‘A is B’と同様に、主語が、「不定」であってはならない、という特徴がありますが、「イコール」関係解釈の‘A is B’との、決定的な差異は、主語に、「総称」解釈の表現を許す、ということです。この、「主語・述語」タイプの‘A is B’は、述語に、「性質」や「様態」の意味が表現されているので、名詞以外に、形容詞の他、いろいろな品詞がきてもOKです。
この、‘A is B’の構文を、細かく見ていけば、まだ、ちょっと分類分けできるのですが、最も押さえておくべき特徴は、今回の2タイプです。‘be’動詞って、奥が深いですね。
■注1 :今回、‘A is B’の、AとBを、「ひっくり返す」と表現しているのは、「倒置」する、という意味ではありません。純粋に、Bを主語に立てる、という意味です。
■注2 :もちろん、「ジョン」は、「ジョンという名前」、の意味になる場合は、それ自体で、「特定」されているとは言えなくなります。「ジョンという名前」の意味の場合は、「ジョン (という名前の人) は、たくさんいるからね。」、などとと言えます。
■注3 :今回は、‘the teacher’「その教師」と、‘one of them’「ヤツらの内の1人」などを、「弱い特定」と、ひと括りに扱っていますが、これらの間にも、当然、「特定」の意味に、段階性はあります。‘the teacher’の方が、‘one of them’よりも、「特定」している感じは強いと言えます。
●関連: EG31、EG70、
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