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英語脳をつくる!~日本人はいかに効率良く英語を学べるか~

英語学習に関する事いろいろです。日本人がいかにすれば実用英語を身に付けられるか、その最短距離を考察!

英語学習法(68)

2005年03月25日 | 動詞
EG21の続きです。EG21では、「AはBを ~ される」という、日本語の側から、使役動詞‘have’を考えましたが、今回は、構文としてのカタチの側から考えてみたいと思います。以下、見ましょう。

(1) a. Someone stole my bicycle. (何者かがボクの自転車を盗んだ。)
   b. My bicycle was stolen (by someone).
    ((何者かによって) ボクの自転車が盗まれた。)

(1a)の能動文、「主語(Someone)+動詞(stole)+目的語(my bicycle)」から、受身文をつくると、(1b)になりますね。受身文は、能動文に目的語がある場合にのみつくられる、というルールがあったのは大丈夫でしょうか。(EG35参照) (1a)の目的語‘my bicycle’「ボクの自転車」が、主語の位置に移動して、(1b)の受身文が完成します。ここで、(1b)は、もちろん、‘my bicycle’が主語であり、‘stolen ~’は述語ですね。

(2)I had my bicycle stolen (by someone).
  (ボクは (何者かによって) 自転車を盗まれてしまった。)

(2)の文は、使役動詞‘have’の中に、(1b)の「主語・述語」の関係をもった、‘my bicycle stolen (by someone)’を組み込んで、移植したカタチです。その際、(1b)の‘was’は、外してしまうのが、この構文のつくり方のコツでしたね。

ところで、(1b)と(2)の意味の違いは何なんでしょうか?まず、(1b)の意味を考えてみると、自転車が「盗む」という行為を受けているわけですから、自転車の持ち主にとっては、「被害」や「受難」の意味があると考えるのが普通でしょうが、そういった解釈が受身文の特徴である、とまで言い切ってしまうことは、まず、不可能です。

(3)John is respected by many people. (ジョンは大勢から尊敬されている。)
(4)John is trained by his boss. (ジョンは上司に訓練されているんだ。)

一般的に考えて、(3)のように、「尊敬される」というのは、良いことなので、主語‘John’の「受益」、または、話者が家族や親友ならば、話者にとっての「受益」と考えてもよさそうなものですし、一方、(4)のように、「訓練される」という意味は、シンドイことだと思えば、主語‘John’の「受難」になることもあるし、逆に、鍛えてもらっているので、ありがたいと思えば、「受益」にもなります。つまり、どちらの解釈になるかは、状況次第というわけですね。

しかし、さらに、もっと言えば、主語にとっての「受難」か「受益」か、などということは、どうでもいいことかも知れません。ただ単に、話者は、見たまま、ありのままを、事実として、ジョンが尊敬の対象である、ということや、訓練を受けている、と述べているだけ、ということもあり得ますからね。

ですので、(3)にせよ、(4)にせよ、無理に、「受難」や「受益」に解釈する必要はないんです。この点、(1b)も同様であり、「盗まれる」という行為があると、どうも、その持ち主に「被害者」的な雰囲気が漂いますが、「盗む」のように、選ばれる語彙によっては、たまたま、そのように解釈されることが多い、というだけのことなんですね。このように、実は、受身文のカタチそのものには、特に、「被害」や「受益」といった意味を指定するはたらきはなく、解釈の仕方によっては、どうとでも取れる場合が大半です。

(5)I had my eyes examined (by a doctor). (ボクは眼を (医者に)診てもらった。)

しかし、基本的には、使役動詞‘have’を使った場合は、ハッキリと「受難」か「受益」かのどちらかになり、特にどちらでもない、というわけにはいかないようです。(2)では、自転車を盗まれて、イヤな思いをしたのは、使役動詞‘had’の主語である、‘I’「ボク」になります。一方、(5)では、‘had’の主語‘I’「ボク」は、眼を診察してもらっているわけですから、「受益」という解釈になります。つまり、使役動詞‘have’の主語は、積極的に、「受難」か「受益」かの、どちらかを表現している、と言ってよいでしょう。

(6) a. John had Mary do his homework. (ジョンはメアリーに宿題をやってもらった。)
   b. Mary does his homework. (メアリーは彼の宿題をやる。)

(7) a. John had Mary steal his money. (ジョンはメアリーにお金を盗まれた。)
   b. Mary stole his money. (メアリーは彼のお金を盗んだ。)

ここで、(6a)や(7a)からわかるとおり、使役動詞‘have’の後にくる、「主語・述語」の関係における述語部分は、カタチとしては、常に過去分詞とは限らないことに注意して下さい。実は、使役動詞‘have’は、後に、「目的語+原形動詞」のカタチがくることもあります。

これは、EG66とEG67で見た、知覚動詞と同じく、「主語・述語」の関係が成り立っていれば、過去分詞以外に、原形動詞がきても構わない、ということです。(6b)と(7b)の対応している能動文から明らかなように、(6a)と(7a)の‘had’の後にきている、「目的語+原形動詞」のカタチでは、しっかり、「主語・述語」の関係が成り立っているのがわかりますね。

そこで、(6a)と(7a)の解釈ですが、宿題は、普通、人にやってもらうと、楽だし助かる、と思われる傾向があるので、(6a)の主語‘John’にとっては、「受益」ですね。一方、お金を盗むという行為は、盗られた側からすれば迷惑なことなので、(7a)の主語‘John’にとっては「受難」ということになりますね。次は、ちょっと状況によりけりという場合です。

(8)John had Mary drive his car.
(9) a. ジョンはメアリーにクルマを運転された。 (〇)
   b. ジョンはメアリーにクルマを運転してもらった。 (〇)

(8)は、使役動詞‘had’に組み込まれている、目的語‘Mary’と、原形動詞‘drive ~’の間で、「主語・述語」の関係が成り立っていますが、解釈は、「受難」か「受益」のどちらとも決めがたく、文脈によっては、「受難」の(9a)と、「受益」の(9b)の両方の解釈が可能です。

「受難」の解釈(9a)が成り立つのは、運転のヘタクソなメアリーが、ジョンの大事にしているクルマを運転したとか、黙って断りもなく、ジョンのクルマを勝手に使ったような場合ですね。一方、「受益」の解釈(9b)が成り立つのは、ジョンが疲れていたりして、運転が面倒だと感じているときに、運転をメアリーに交代してもらった場合ですね。さらに、以下はどうでしょうか。

(10)John had his lover killed.
(11)a. ジョンは愛人を殺された。
   b. ジョンは愛人を殺してもらった。

(12)John had his rumor go around.
(13)a. ジョンは自分のうわさを広められた。
   b. ジョンは自分のうわさを広めてもらった。

ここで注意して欲しいのは、EG67でもちょっと触れたことなんですが、(10)と(12)から明らかなこととして、‘have’の目的語が、「ヒト」か「モノ」かは、後に続く動詞のカタチを決定する上では、役に立たない、ということです。「ヒト+原形動詞」や、「モノ・コト+過去分詞」の公式は、(10)と(12)の例からは、全く成り立ちません。‘have’に関しては、「ヒト+原形動詞」や、「モノ・コト+過去分詞」の公式による説明が最も多く、解説本にまで堂々と書かれていることすらあるので、知覚動詞の場合以上に要注意です。

(10)の解釈が(11a)であるか、(11b)であるかは、もちろん、ジョンと愛人の関係が良好か否かによります。愛人との関係が良好ならば、愛人を殺されるのは、ジョンにとっては、くやしいことなので、(11a)の解釈になりますが、逆に、愛人に結婚を迫られたとか、妊娠してると脅されて、ヤバイ状況に立たされていれば、計画的に邪魔者を誰かに消してもらおう、とジョンは考えるかも知れませんので、(11b)が自然な解釈になりますね。次に、(12)の解釈としては、(13a)ならば、ジョンにとって恥になるようなうわさの場合で、一方、(13b)ならば、ジョンにとって自慢になるようなうわさの場合ですね。

以上からハッキリしたことは、使役動詞‘have’を使った構文では、そのカタチとして、知覚動詞の構文と同じように、‘have’の後には、「目的語+過去分詞」と、「目的語+原形動詞」がくるということです。そして、一般的に誤解されがちなのは、受身文の日本語訳が、「~ される」や、「~ られる」となりがちなことから、「‘have’+目的語+過去分詞」の構文の方は、‘have’の主語が、「受難」の意味になると思われているフシがあるのですが、そういったこととは関係なく、過去分詞であろうが、原形動詞であろうが、「受難」か「受益」の解釈は、文脈によって決まる、ということです。

これは、既に述べたように、もともとの受身文の解釈の仕方に誤解がある、ということが原因で、(3)や(4)からも明らかなように、受身文のカタチそのものには、「受難」や「受益」を指定するはたらきはなく、文脈や、一般常識から、妥当だと推測される意味に解釈するだけのことであり、その結果として、「受難」になったり、「受益」になったりするだけのことなんですね。ですので、「受難」や「受益」は、どちらかと言えば、付加価値的な意味なんです。そして、場合によっては、「受難」や「受益」など、どうでもいいということもある。

これと同様に、使役動詞‘have’にも、その主語が、「受難」となるか「受益」となるかを、後続する、「目的語+過去分詞」や、「目的語+原形動詞」といった、カタチそのものから指定するはたらきはない、ということなんです。しかし、受身文との違いは、「受難」や「受益」など、どうでもいい、という解釈にはならない、ということで、積極的に、「受難」か「受益」の、どちらかの解釈になります。これが基本的な使役動詞‘have’の使い方です。

あと、使役動詞‘have’には、使い方の問題で、「受難」や「受益」の意味が弱められてしまう場合があります。しかし、後に続く表現は、必ず、「主語・述語」という鉄則は守られていますので、この点だけしっかり押さえて、あとは意味の取り方にだけ注意しておけば、構文としては問題なく使えます。

(14)a. Can you have him come here at two ? (2時に、彼にこっちに来させてくれないかな。)
   b. He comes here at two. (彼が2時にこっちに来る。)

(15)a. Can you have the job finished by noon ? (正午までに仕事を仕上げてくれないかな。)
   b. The job is finished by noon. (正午までにその仕事が仕上がる。)

(14a)や(15b)の文における、‘have’を使った用法は、話者がお願いをしている、ということから、「話者の受益」という点が優先的に解釈され、そのためか、「受難・受益」といった利害の問題は、‘have’の主語である、‘you’には直接は関係ないと解釈される傾向があります。こういった優先解釈の問題で、‘have’の主語が中立的な立場になってしまうこともあります。つまり、他からの干渉や圧力がかかると折れてしまうような、結構、弱い側面がある、というのも‘have’の特徴です。

この場合は、「彼が2時に来る」ように取りはからう、とか、「正午までに仕事が終わる」ように取りはからう、というような、ある状態になるようにもっていく、というような感じになりますので、解釈としては、「~ が ・・・ (という状態)になるようにする」と理解しておけばよいと思います。

と、ここまで言って、使役動詞‘have’の全てを言い尽くせたかというと、そうではありません。今回はごく基本的なカタチと意味に触れたということになりますが、しかし、大体は、こんな感じで使うのが実用的な領域になると思います。むしろ、今回のポイントは、EG66とEG67で扱った、「知覚動詞」とのカタチの上での類似性です。意味の表し方は、基本が、「受難」か「受益」ということと、あとは、「知覚動詞」と「使役動詞」をセットにして、構文としてのカタチを使えるようになることが最初の目標になると思います。一生モノの表現力になることは保証できますので、是非ともマスターして下さい。

●関連: EG21EG35EG66EG67

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